第39話 一緒にお風呂、その前に。

 ソラとお風呂に入るために、部屋を出て一階に降りた。


「ソラ」


「何?」


「風呂の前にトイレに行って来る。俺のパジャマを持って行ってくれ」


「わかったよ。先にお風呂に行ってるね」


 俺はソラと別れて、トイレに入った。


 さて、風呂の前に用を済ませておくか。お風呂で我慢ができなくなっても出せないからな。


 俺はトイレで用を済ませた。予想以上に大量に出た。スッキリした。


 そして俺はトイレを出て、風呂場に直行した。


 ソラはもう風呂に入っているかな?


 俺は脱衣所に入るためにゆっくりと扉を開けた。扉はスライド式だ。


「あれ? ソラ、まだ風呂に入ってなかったのか」


「うん。服を脱いだところだよ」


 脱衣所には、一糸まとわぬ姿のソラがいた。つまり全裸のソラだ。


 俺はソラの生まれたままの姿を見て目が覚めた。


 今日の俺はソラを見ると、心と体が熱くなっていた。それは恋愛の好きと同じ感覚だった。


 だからお風呂に入る時、ソラの裸を見たら、理性が吹き飛ぶかもしれないと思っていた。


 ——だが違った。ソラは。女の子に見えるだけで、立派な男だ。


 ソラの全裸を見た時、俺の火照った心と体は一気に冷めた。欲情もまったくなかった。俺は平常心に戻った。


 賢者タイムだから欲情しなかったとかではない……よね?


 ふぅ。俺はやっぱり女の子が好きなんだな。ソラのはたがを見ても襲いたいと思わなかったからな。


「拓海君、どうしたの?」


 俺が扉を開けて、脱衣所に入らずにその場にいたので、ソラが不思議そうにしていた。


「いや、扉を開けるとソラではなくて、全裸の可愛い女の子がいたら最高だなと思ってさ」


「それって、ラッキースケベだよね……拓海君、ラッキースケベは小説や漫画の世界だけで、現実では起こらないよ」


 俺は脱衣所に入って扉を閉めた。


「分かってるよ。そもそも現実でラッキースケベになる訳がない」


「だよね。脱衣所の扉を開けるとタイミングよく全裸の女の子がいるとかないよね」


「そうそう。絶対にないよな」


 俺とソラはラッキースケベ談義で盛り上がった。すべってキスとか、女の子の胸に飛び込むとかないよなとか話をした。


 ソラと話している時、俺は服を来ている。ソラは全裸で立派なアレを隠さずに話をしている。


「でも、一度でいいからラッキースケベを味わいたいな」


「拓海君はラッキースケベの経験ないの?」


「ないに決まっているだろ。ラッキースケベは小説や漫画の世界だけって、おまえが言ったばかりじゃないか」


「じゃあ、今からラッキースケベを経験しようよ」


「——はい? どうやってラッキースケベを経験するんだ?」


 ソラは自分の胸を、右の手のひらで、軽く二回叩いた。


「僕が女の子役になってあげるから、拓海君は今みたいに、扉を開けて入ってきてよ」


「……それって楽しいのか? おまえは男だから嬉しくないぞ。それにソレ全開だと無理!」


「いいから、いいから。それに、こうすれば——」


 ソラは首の後ろで、一つ結びにしている髪をほどいた。そしてタオルを腰に巻いた。


「これで、女の子に見えるでしょ」


「毎回お風呂に入る時、髪をほどくのは見ているが……ソラ……おまえホントに男か?」


「僕は……男だよ。ほら」


 ソラは腰に巻いたタオルを広げた。


「こら! ソレをわざわざみせるな! ——ちょっ、ソラ! 四歳児じゃないのだから、ぞーさんをするのはやめなさい!」


 俺が注意をするとソラはぞーさんをやめた。


「それじゃあ、始めようか。第一回ラッキースケベごっこー」


「第一回って……第二回も開催されるのか?」


「それは僕にも分かりません!」


 俺はソラに、脱衣所から出るように言われたので、廊下に出た。


「拓海君、いつでも入ってきていいからね」


 そして俺は脱衣所の扉を閉めた。


 ……何やっているんだ俺? ラッキースケベごっこってなんなのさっ。


 それにしても、髪をほどいたソラはかわいかったな……


 ソラをかわいいと思うなんて……俺ってソラの事が好きなのか? でも、ソラの裸を見たら火照った心と体は冷めたし……


 俺は男にはまったく興味がないのは、ソラの生まれたままの姿を見ても、欲情しなかったから間違いないよな。


 俺のソラを想うこの気持ちは一体なんだろうな……











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