第13話 リンちゃん
ルナには同世代の友達がいないらしい。
「なぁルナ。同世代の友達は一人くらいはいるんだろ?」
「一人も友達はいないよ……あっ、でも親友は一人いるよ。最近会っていないけどね」
ルナには親友がいるのか。俺にも親友はいるけど良いよね親友は。頼りになる存在だよ。
「そっか、ルナには親友がいるのか。えっと、同世代以外には友達いるんだろ?」
「友達は一人もいないの。親友のリンちゃんだけなの」
ルナはそう言いながら左の人差し指で地面をこすっている。
——もしかして俺ってルナの心の傷を開いてる? 無神経すぎたか。
「ルナ、友達がいるからって偉くもなんともないぞ。それにさっ、友達がいる、いないでその人物の価値が上がるとか下がる訳でもないしな。それより親友が一人いた方が断然いいと思うぞ」
「拓海君もそう思っているんだぁ。私と同じ考えだね。嬉しいな」
ルナが笑顔になっている。よかった。
「でも、なぜルナは友達いないんだ?」
ぐわぁー! ついうっかり聞いてしまった! 興味本位で聞いてしまった!
何故だ? 何故聞いたんだ⁉︎ はっ! ルナの笑顔だ。ルナの笑顔は相手の胸の内を言わせる効果があるんだ!
「ご、ごめん。変な事聞いて」
「別に良いよ。拓海君になら話しても構わないから」
いい子だ、なんていい子なんだ! 抱きしめたい!
「私ね、足がとても遅いの」
足が遅い……それを聞いただけで俺はルナの話の内容が何となく分かった。
「小さい頃、女の子だけの幼稚園に通っていたんだけど、その幼稚園で親は来ない子供達だけのクラス対抗の運動会があってね」
やはりか。ルナに友達がいない事について、俺が思っている九割は正解だろうな。
しっかし、ルナの園児時代は可愛かっただろうな。マジ天使だろうな。ルナは女神だけどさ。
でも、俺には幼女趣味はない! 同世代の女の子が好きなんだ!
「拓海君、聞いてる?」
「ちゃんと聞いているよ」
ルナにジト目で見られた。かわいい女の子のジト目にキュンとした。俺はMなのか?
「その運動会でリレーがあって、私のいるチームは一番だったけど、私の時に最下位になってそのままアンカーまで渡って最下位でゴールして終わったの」
俺の予想通りの展開だな。
「一位になるとチームが逆転優勝だったの。みんなから凄く責められて、私泣いちゃったの」
「園児だから感情のままに言ってしまうと思うけど、それは辛いな。俺がその場にいればルナの事守れたのに」
「ありがと。拓海君は優しいね。その時はね、親友のリンちゃんが一生懸命私を
リンちゃん素敵。さすが親友。
「それでもクラスの皆は、私を責めるのをやめなかったの。もう幼稚園に来るな。とかも言われたの」
「ひでーな。先生は止めなかったのか?」
「その悪口を言っていた中心人物のお母さんがその幼稚園の保護者の会長をやっていて、お父さんは天界で偉い立場の神だったの。だから先生は何も言えなくって……」
そんな事、ホントにあるんだな。ドラマの中だけと思ってた。
「だからずっとクラス全員で私に悪口言っていたの。私は泣く事しか出来なくてね」
「ごめん、辛い事を思い出させて……」
「大丈夫だよ」
ルナには辛い話の筈なのに、ルナの顔が何故か辛そうには見えない。
「でね、リンちゃんがずっと庇ってくれていたけど我慢の限界が来て、怒ってその子に決闘を申し込んだの」
「決闘?」
「そう、天界や魔界は何か問題が出た時は双方が了承すれば決闘で解決していいの。もちろん園児も決闘して良いの。でもね、リンちゃん凄く強いからその子嫌がっていたの」
リンちゃん、マジカッコいいです。でも決闘って……俺の予想とは大きく変わったな。
「そしたらリンちゃんがね、同じチームの園児達にも決闘を申し込んだの。だけど皆嫌がってね」
「負けると分かって決闘はしないからな」
「だったらって言ってリンちゃんは、自分と私対チーム全員で決闘をするって言いだしたの」
「へっ⁉︎ 圧倒にルナたちが不利じゃないか!」
「リンちゃんは私達が負けたら幼稚園辞めるって言ったの。私たちが勝っても相手には何も望まないとも言ってね。それなら決闘をするってなったの」
「あのさっ、決闘って一対一でするんじゃないの?」
「そうなの? 天界や魔界は双方が了承すると人数は何人でも良いけど?」
「そうなんだ……で、そのチームは何人いるんだ?」
「私達含めて二十人だよ」
二十人って事は二対十八⁉︎ それって勝てるのか?
ルナがここにいるから負けてはいないとは思うけど、そもそも決闘があったのかも謎だし。
きっと先生が止めたんだよな? ……この先の話を聞くのが怖い……
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