第10話 拓海君の記憶は消える⁉︎
「人間界管理機関? そんなのあるの?」
「そうなの。人間界の人達を管理する機関なの」
「なんだか恐そうな所だなぁ」
それを聞いてルナは手を左右に振った。
「恐くは無いよ。人族が亡くなって、魂になったら天界と魔界へちゃんと行ってるか確認するくらいだからね」
「確認だけ?」
「うん。基本的にシステムが自動でやるから、私達は何もしなくて良いけどね」
システム? 機械か何かかな?
「あと今の拓海君のような事が起きた時に手動で対応するくらいだから。だから暇で退屈なの」
「暇で退屈って……お菓子でも食べならやってるとか?」
「お菓子? 人間界の食べ物ね。私達は食事はしないの。人族の魂も同じだよ」
「へー、そうなんだ」
「そのシステムで管理って何なの?」
「
俺は少し疑問に思った事を言ってみた。
「なんだか話だけ聞いていると、人族の為に他の種族がいるって感じだよなぁ」
「たぶんそうだと思う。私達は人族の後に古代神様に作られたって話だから、拓海君の言うように人族の為に作られた存在だと思う」
「ルナはそれで良いの?」
「私も含めてみんな当たり前の事と思っているよ。ただ、それに対して疑問に思っている人達がいるの」
「疑問?」
「
「天界や魔界ではテロ行為はないの?」
「天界や魔界だと、凄く強い人達が普通に生活しているから、テロ行為したら囲まれてボコボコよ。だからテロ行為は無いの」
囲まれてボコボコって……
「なるほど。ところで、ルナはその人間界管理機関って所で何年くらい働いているんだ?」
「……それにね、建物も凄く頑丈なんだよ」
俺の質問をルナはスルーしたぞ。どうしてだ?
「今更ながら俺気付いたんだけど、俺とルナは普通に話しているけど、ルナは日本語で話してるの」
「違うよ。神世界共通語だよ。人族が魂になると神威システムが人族の言葉を神世界共通語に切り替えるみたいなの」
なんて便利なシステム。色々聞いているけど機密情報とは無いのかな?
「色々と教えてもらっているけど大丈夫か? 機密情報とかあったりしないの?」
「皆知ってる事だから大丈夫だよ。それに……」
ルナは途中で話すのをやめて、何か言うのを
「それに?」
途中で話をやめたルナに俺は問いかけた。
「えっとね……拓海君は生き返る時にここに来てからの記憶全部消すから何を言っても大丈夫なの」
「——えっ⁉︎ 全部?」
「うん。全部。私の事も忘れるの」
「マジで? でもどうして?」
俺は何故か悲しそうにしているルナに聞いた。
「人間界に戻ってここの事を言う可能性があるからなの。人間界の混乱を避ける為に記憶を消すの。記憶を消す事は古代神様が決めた事ではなく、私達が考えたルールなのよ」
ルールかぁ、なら仕方ないか。ルナの事も忘れるのかぁ。
そういえば、最初に神世界の事を俺に教えても大丈夫ってルナは言っていたな。記憶を消すからだったのか。
「あのね、拓海君。記憶が消えるのを知ったけど、まだ神世界の事聞く? ……もう生き返る?」
ルナは覇気の無い声で聞いてきた。俺は最後まで聞こうと思う。
「ここまで聞いたんだ。最後まで聞くよ」
「うん。わかった」
ルナは俺に嬉しそうに笑った。ルナの笑顔の破壊力はもはや戦略級だ。神世界の話が終わったらルナとはもう会えない。
ルナの笑顔を見れなくなる、忘れてしまうと思うと胸が苦しくなるのは何故だろう——
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