第11話 ルナに彼氏はいるのかな?

 俺は笑顔のルナに天界と魔界の事を聞いた。


「天界と魔界って、どんな所?」


「えっとね、天候は一定で雨は降らなくて昼と夜はあるの。太陽とかは無いけどね」


 太陽が無いのなら日焼けはないよな。だからルナのお肌は、透き通るような白色なのか。


「天界も魔界もとても広いけど、広さは分からないの。あと地球と違って陸地は浮いているよ」


「浮いている?」


「陸地の大きさは色々あるけど日本が空に浮いていると思えば良いかな?」


 端から落ちたら確実に死ぬな。


「浮いている陸地は天界と魔界、両方共3000個以上、私達が住んでいるのは500個くらいかな? あと時間経過は人間界と同じだね」


「ふむふむ」


「天界は、神族、女神族、天使族が住んでいて、魔界は魔王族、魔人族が住んでいるの。二つの世界は自由に行き来できるんだよ」


「ほうほう」


 「人族は人間界で普通の生活を送って死んだら天界へ、悪い事をしたら魔界へ自動で送られるの」


「天界へ行ったら何するんだ? 魔界へ行ったら拷問とか?」


「天界へ来た人族は私達と一緒に生活するの。仕事とかは無いからのんびり散歩したりして過ごすの」


 人は天界、魔界に行ったらニートになるのか。


 「それと、魔界に送られてきた人族に拷問はないよ。魂鍛錬たましいたんれん機関が大きな一つの大陸で、色々なトレーニングで魂を鍛え直すの」


 運痴で帰宅部の俺には耐えがたい苦痛だな。


「トレーニングの教官は魔人達。性格が熱血な種族だから教官にむいているんだよね」


 トレーニングねぇ。テレビでたまに放送される国を守っている組織に一日体験入隊で熱血指導で鍛えるやつか?


 それかダイエットではげまされて頑張って最後は感動するあれかっ?


「あー、何となく分かる。トレーニング中は凄く暑苦しそうだな。俺は遠慮したい」


 そう言って俺はため息をした。それを見てルナは少し笑った。


「 トレーニングをして魂を浄化すると、悪い気持ちも無くなって善人になるの」


「悪人と善人はどうやって分かるんだ?」


「悪人はひたいにバツ印があるの。それが消えると善人になった証になるんだよ。バツ印が無くなったら、魔界や天界を自由に行動出来るようになるの」


 ルナは両手の人差し指でバッテンを作り自分のひたいに当てた。


 ひたいにバツ印って……絶対悪い事はしないようにしよう。


「天界も魔界も自由に移動出来て日本の様な生活をしているって思って良いのかな? それに、死んで天界や魔界に来た人族って何年いるんだ?」


「ほとんど日本と似たような生活だね。人族は最低一年は居て、あとはいつまでも居て良いの。でも天界にも魔界にも、娯楽設備が無いから一年で転生する人がほとんどかな?」


「娯楽施設がない? 何故?」


 「私達は人族を管理する為に作られた存在みたいだから、天界にも魔界にも娯楽設備が無いの」


「それって退屈しない?」


「それは大丈夫。だって人間界に遊びに行っているから。地球は特に人気だよ。日本の温泉も人気があるんだよ」


 温泉が人気ねぇ。俺はそんな事はどうでも良かった。だから俺はルナに質問した。


「ルナに聞きたいのですが、彼氏はいる? それか結婚して旦那いるとか? ルナは女の子だよね?」


「えっ? な、な、何を突然聞いてくるの?」


 ルナさん、慌ててますなぁ。美少女でたゆんたゆんのおっぱいで、スタイルが良いルナなら彼氏とかいそうだし、結婚してるかもだし気になるよね!


 一応女の子か確認もしてみよう。


「日本と似たような生活って言ったから彼氏とか、結婚して旦那さんいるのかなと思って。ルナは可愛いから、彼氏や旦那の一人や二人いるのかなと。モテそうだしね」


 俺ってルナに可愛いとか言っているけど、生きている時は可愛いって言葉使った事ないんだけどな?


 なんでだろ? 死んで頭のネジが一本外れたか?


「私の性別は女です。女神は女しかいません! 結婚はしてません! もちろん子供もいません! 彼氏も私が生まれてからいません。それにモテた事なんて無いです!」


 ほう、旦那も彼氏もいないか。やっぱり女の子だったのね。確認は出来ないけど間違いないだろう。


 モテないとかは嘘だろうな。子供はいないって言ってるけど、人族以外も子供は産めるのね。


「た……拓海君は彼女はいるの? もっ、もしかして結婚してる?」


 彼女ね……そんなのいないに決まってるじゃないかー!……片思い中の好きな子はいるけど……


 一年生からの告白を断った事はあるけどさ。好みではなかったしね。


 それと俺が結婚って……俺は結婚してるようにみえるのか?


「彼女はいません。もちろん結婚もしていませんよ。子供もいない。ルナと同じで生まれてからずっと彼女なんていない」


「そっかぁ。拓海君も私と同じなんだねー」


 なぜルナは嬉しそうな声で言っているんだ? 普通は悲しそうな声になるだろ?


 ん? ルナも生まれてからいない? ルナって何歳だ?


「ちなみにルナって何歳?」


「えっとね……地球の人族年齢で16歳かな?

 私達は十歳までは人族と同じ速さで成長して、十歳過ぎると体はゆっくり成長するから」


「いや、ルナの実年齢を——」


「十六歳です!」


 十六歳と言ったほぼ同時にルナは両手で地面に平手打ちした。


 十六歳って言い切った……本当は何歳だ? まぁいいか。見た目が俺と同じくらいの若さで胸が大きい美少女が目の前にいる……それで良いじゃないか!


「ルナから話を聞いてるとさ、今の神世界って天界、魔界の住人が遊ぶ人間界という娯楽場を人族以外で管理をしているように感じるのですが?」


「そうだね。今は拓海君の言っている様になっているのかな? 時代と共に神世界も変化してるって事だね」


「時代の変化ね……」


「最初、私達は人族を管理するだけの為に作られた存在だったけど今は人族と娯楽場を管理する存在になった……かな?」


「変な関係だなぁ」


 そんな事を俺が言ったら二人で笑ってしまった。


 そして俺は神世界の話は終わったと感じた。

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