第30話
驚くのは、そんなことを考えてもいなかったのに突然違ったことを思ったり、思い出したりすることで、人の思考回路を疑いたくなるのだけれど、ふと陽子ちゃんのことを思い出してしまった。だから、『死』はどこにでも入り込む強力な浸透性を持ったものだと思うのだけれど、視点を変えれば、仕事で忙しいときなどは別のことなんて考えられないので、別の考えが浮かぶということは余裕のあることだといえるのかもしれなくて、でも、それも言い換えれば『暇』ともいえるのだけれど、ここは『余裕がある』のままにしておこう。輪廻転生という考えがあるのは宗教を勉強しなくても漫画や小説で出てくるから知っているのだけれど(どうして輪廻転生のことを考え始めているのかは僕にもわからない)、ここまで科学が人類誕生の経過を研究してしまうと、どうしても信じることができなくて、増えるばかりの人口の、元である魂はどこからやって来るのか不思議だし、魂の数が(もし)不変であったとして、昆虫だとか魚だとかの魂も人間に変われるのだとしても、人口がこんなにも増えてしまったということは、別の所で同じだけ生物が死んでいるはずで、それよりも地球ができる前に、その魂はどこにあったのだろうかというのも不思議だし、例えばサンゴは魂を持っているのかどうかというのも気になってしまい、こんなことは朝から考えることじゃない。
難しい計算をしたり、哲学的なことを考えたりするのは朝することじゃなくて、朝にセックスのことを考えるのも嫌だ。
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