ファイル4 園村沙里恵


 今日もまた、『入れ替わり病院』の平和な一日が終わりました。そこで今回は、施設長ドクター・パーガトリーの本日のスケジュールを記載し、日々どのような活動をしているのかを皆さんにご紹介したいと思います。

 

 AM

 7:00 書類に溢れた研究室ラボで起床。シャワーを浴び、身だしなみを整える。

 8:00 朝食。今週の食堂主任はヤマシタさん。スパゲティに舌鼓を打ち、ついでにお昼の分のお弁当をもらう。

 9:00 スタッフルームにて、朝礼とスケジュール確認の後、始業。今週はスタッフの数が少ないので、施設長である私も忙しいです。

 10:00 午前のカウンセリング。施設内の各部屋を回り、入院されている方々の様子を伺う。異常は特になし。

 11:20 就学支援クラスに呼ばれ、特別講師を務める。と言っても、教室内で授業をするのは苦手なので、生徒たちを連れて外に出て、山の植物観察の授業を行った。

 PM

 12:30 そのまま外で昼食。ラブラブな二人(愛結あゆさんと方太郎ほうたろうさん)と一緒にご飯。風紀の乱れがないように、しっかりと監視。

 14:00 物品搬入のお手伝い。主に食べ物や日用品、電化製品などの、生活に必要な物資がこの施設に届きます。読みたかった本が届いたので、私的にも収穫アリ。

 15:00 第四回レポートのためのインタビューを決行。今回は初診の方。内容は下に。

 17:00 午後のカウンセリング。異常はなかったけど、私はもうヘトヘト。一応これで終業です。

 18:30 夕食タイム。またスパゲティ。みんなで仲良く食べました。

 19:00 研究室に戻って、独りで薬の研究を進める。

 20:00 自由時間。2階の大広間で、みんなと一緒にテレビを見たり、お茶を飲みながら本を読んだり。施設1階にある大浴場で、のんびりと疲れを癒やしたり。 

 22:00 消灯時間の各部屋見回り。リフレッシュ室にて、愛結さんと方太郎さんが仲良く寝ているのを発見。おそらく健全なので、スルーしました。

 23:00 本レポートの執筆。その後は就寝する予定。


 書き出してみると、私けっこう頑張ってますね。

 おそらく明日も、だいたいこんな感じの一日です。ただ、土日や祝日は、もう少し緩めのスケジュールになりますし、季節のイベントがある日は、一部の業務を休止したりもします。クリスマスの日は、食堂のメニューが豪華になったりしますね。


 そして、完成しました。第四回目のレポート。

 今回のお相手は初対面の方なので、私もちょっと緊張しています。

 

 * * *

 

 〜 ファイル4 〜

 「園村そのむら 沙里恵さりえ」(38歳 女性 アルバイト)


 ドクター・パーガトリー = Dr

 園村沙里恵さん = 沙里恵

 

 Dr「それでは、初診も兼ねての第四回のインタビューを始めます。沙里恵さんは、そちらの席にどうぞ。」

 沙里恵「……。」

 Dr「沙里恵さん?」

 沙里恵「あっ! は、はいっ。すみません。」

 Dr「ふふ。緊張してます? リラックスしてくださいね。」

 沙里恵「い、いえ、緊張というわけじゃなくて。昨日は少し、遅くまで起きていたから……。」

 Dr「寝不足? 何をしていたんです?」

 沙里恵「あんまり他人に話せるようなことでは……。」

 Dr「大丈夫。私は、被転身者専門のカウンセラー。ヒトに話せないような悩みを聞くことが仕事ですよ。独りで抱え込まないで。」

 沙里恵「あ、ありがとうございます。じゃあ、落ち着いたら話しますね。」

 Dr「はいっ! とりあえず、イスに座ってください。気持ちを落ち着けるためには、まず姿勢を楽に、ですよ。」

 沙里恵「では、失礼します……。」


 沙里恵さんが着席する。しかし、彼女の腰はすぐに浮いた。

 座り方に違和感を感じてか、自分の定位置を探すみたいに、何度も座り直している。お尻がイスに着くたび、「んふっ……。」という、小さな吐息を漏らした。


 Dr「別のイスを持ってきましょうか?」

 沙里恵「はっ……! い、いえ! 問題ありませんっ!」

 Dr「そうですか? 何か違和感があれば、すぐに言ってくださいね。この私、ドクター・パーガトリーにおまかせです。」

 沙里恵「はい……。」


 恥ずかしそうにうつむきながら、沙里恵さんは静かに腰を降ろした。


 Dr「では、自己紹介から。体の方の自己紹介をお願いします。」

 沙里恵「この体の、ですか……?」

 Dr「はい。まずは外見から。」

 沙里恵「体は、園村(そのむら)沙里恵(さりえ)さんって人です。この名前で、普段も生活しています。仕方なく、ですけど。」

 Dr「沙里恵さんね。えーっと、沙里恵さんは……。」

 沙里恵「……?」

 Dr「うーん……!」

 沙里恵「パーガトリーさん? どうかしましたか?」

 Dr「うーん、困りました。沙里恵さんは、見た目に特徴がない。いつもなら身体的特徴を述べるところだけど……。」

 沙里恵「えっ?」

 Dr「普通の人って感じ。どこにでもいる普通の女の人ですね。」

 沙里恵「そう見えますか……?」

 

 顔も普通。スタイルもごく普通。

 取り立てて美人というわけでもなく、ブサイクというわけでもない。人間的な派手さはなく、ひたすら地味。少し幸の薄そうな雰囲気のアラフォー女性。

 

 Dr「これまでの3人と比べると、ね。太ってるわけでもなく、毛深いわけでもなく……。」

 沙里恵「困ってるようには見えませんか?」

 Dr「正直ね。入れ替わりによる悲惨さ、のようなものは見えてこない。しかし、あなたが抱えてる事情を理解する気はありますよ。一つ一つ話を聞かせてもらいたいです。」

 沙里恵「ありがとうございます。今まで、誰に話しても分かってもらえなかったので、助かります。」

 Dr「言葉も上手く話せていますね。コミュニケーションは特に異常なし、と。」

 沙里恵「……。」

 Dr「あ、もしかして結婚されてる方ですか? いきなり人妻や母親になってしまった苦悩を抱えてる、とか?」

 沙里恵「いえ、独身です……。」

 Dr「結婚もしていない、かぁ。つつましくて清楚な雰囲気の人だから、旦那さんくらいいるかと思ったけど。」

 沙里恵「清楚……? じょ、冗談はやめてくださいっ!」

 Dr「ん?」

 沙里恵「け、決して、清楚なんかじゃありませんっ!!! 絶対に違うっ!! そのせいで、僕はっ!! 僕は……うぅっ……!!」

 Dr「わぁっ! びっくりした……。『僕』が出たってことは、中身は男の人?」

 沙里恵「そうですっ! 本当に、今までいろいろあって……! 何から話せばいいのか……!」

 Dr「OK。順番に聞きますよ。ふふっ、不謹慎ですけど、ちょっと面白くなってきましたね。」


 肉体の自己紹介が終わり、次は精神の自己紹介に移る。


 沙里恵「能登木(のとぎ)斗也(とうや)。」

 Dr「それが、あなたの本当の名前?」

 沙里恵「うん。元々は……沙里恵さんと入れ替わる前は、高校一年生でした。」

 Dr「へぇー。つまり、外見は40歳手前の女性なのに、中身は男子高校生なんだ。意外だねぇ。」

 沙里恵「信じてくれますよね……?」

 Dr「そりゃあもちろんね。あなたと同じような事情抱えてる人、この施設にはいっぱいいるし。」

 沙里恵「良かった……。理解してもらえた……! 今日、パーガトリーさんとお話しできて良かったです……!」

 Dr「待って待って。まとめに入らないで。ここからが本題だよ。」

 沙里恵「あっ! す、すみませんっ!」

 Dr「ふふ。中身が男子高校生だって分かると、なんだかちょっと可愛く見えてきたよ。」

 沙里恵「僕が高校生だったのは、3年前ですけどね……。」

 Dr「んん!? どういうこと? もう卒業してるってこと?」

 沙里恵「もし3年前に沙里恵さんと入れ替わらなければ、学年が上がって、そうなってましたね。」

 Dr「なるほど。あなたが沙里恵さんになった日から3年経過してるってわけね。よし、じゃあ3年前の話を聞こう。その日、何があったのかを。」

 沙里恵「少し長くなりますけど、話していいですか?」

 Dr「うん! しっかり聞くよー。」

  

 沙里恵さんという人物の歴史を紐解く。


 沙里恵「まず初めに……パーガトリーさん、オンラインゲームってやったことあります?」

 Dr「オンラインゲーム? うーん、やったことないね。パソコンでやるゲームってことは知ってるけど。」

 沙里恵「『ファンタピア』っていう名前の、オンラインゲームでの話です。ゲームというよりは、ネットの中にもう一つの世界があると思ってください。」

 Dr「斗也くんは、そのゲームのプレイヤーだったの?」

 沙里恵「はい。高校一年生の時、このゲームにハマってて……。そこまでやり込んでたわけじゃないですけど、大きなギルドに入れてもらえたので、アイテムをトレードして資金を増やしたり、S級クエストに参加したりして、ゲームを楽しんでいました。」

 Dr「ごめん、専門用語が分からない。ギルド? クエスト?」

 沙里恵「えっと……他のプレイヤーとチームを組んで、一緒に冒険に出かけるってことです。」

 Dr「なるほど。ゲーム内のチームね。」

 沙里恵「ある日、そのギルド内でオフ会をしようって話になって。」

 Dr「オフ会? お風呂に入る会……?」

 沙里恵「いえ。ゲーム内で仲良くなったプレイヤー同士で、実際に会ってみようという会のことです。」

 Dr「はー。ゲーム世界で一緒に遊んだ人たちと、現実世界でご対面するわけだ。」

 沙里恵「そうです。僕もそれに参加することにしたんです。会場につくと、15人くらいの人がすでに集まってて……高校生、大学生、20歳〜40歳くらいまで、年齢も性別もみんなバラバラでした。ただ、男で一番歳下なのが当時の僕で、女で一番歳上なのが当時の沙里恵さんだったことは、今も覚えています。」

 Dr「ふむ。つまり、斗也くんと沙里恵さんの出会いは、そのオフ会ってやつなんだね。」

 沙里恵「そうですね……。あの時、オフ会に参加していなければ、こんなことには……。」

 Dr「続きを聞かせて?」

 沙里恵「はい。オフ会では、若い女の人とおじさんたちが積極的に話をしていて……僕と沙里恵さんは、グループの余り物というか、蚊帳の外のような存在でした。だから、オフ会の間はずっと、二人で話していました。」

 Dr「沙里恵さんは、どんな人だった?」

 沙里恵「この見た目通り、おとなしくて控えめな人でした。とにかく遠慮しがちで、口数も少ない人でしたが、話しにくいというわけではなく、僕も穏やかな気持ちで沙里恵さんと話していました。」

 Dr「へぇ。なかなか好印象なんだね。」

 沙里恵「この時はまだ、ですね……。そしてオフ会も終わりの時間に近づき、沙里恵さんは僕に言ったんです。」

 Dr「なんと?」

 沙里恵「『ごめんなさい、斗也くん。こんなおばさんと話してても、全然楽しくなかったよね……?』って。僕は『そんなことないですよ。沙里恵さん、今日は楽しかったです。』と返答しました。本心で。」

 Dr「あら、良い人そう。」

 沙里恵「僕も良い人だと思って、沙里恵さんとは連絡先を交換して別れました。友達になった証(あかし)だと思って、ほんの軽い気持ちで……です。断る理由も特になかったですし……。」

 Dr「うん? 連絡先交換はマズかったの?」

 沙里恵「その日、オフ会から帰ると、沙里恵さんからメッセージが届いてたんです。『今日は私と話してくれてありがとう。斗也くん』って。僕は『こちらこそありがとうございました。沙里恵さん』と返信しました。」

 Dr「うーん、まあ普通じゃない?」

 沙里恵「次の日の朝も、沙里恵さんからまたメッセージが来ました『おはよう、斗也くん。気持ちの良い朝だね』。そしてその日の夜は、『おやすみ、斗也くん。明日もがんばろうね』って。」

 Dr「うん。」

 沙里恵「次の日は、昼にも届きました。『斗也くんは、お昼何食べた?』。そして、その二時間後に『今は授業中かな? だったらごめんね』。夕食後には『斗也くん、今何してるの? お勉強?』。」

 Dr「あー……。」

 沙里恵「どんどん増えていって。『斗也くん、今日はどこにいくの?』『好きな食べ物はなに? 私、知りたいな』『斗也くん、最近ログインしてる? 一緒にゲームしない?』『部活は何やってるの? 教えて!』『好きな子はいる?』『彼女は?』『家族は何人?』『どこに住んでるの?』『誕生日はいつ?』『ねぇ、斗也くん』『斗也くん? メッセ見てる?』『斗也くーん♡』」

 Dr「おお、おおお……。」

 沙里恵「そして、1週間後の夜10時ごろ。僕が自室で休んでいると、またメッセージが。内容は……『斗也くん、今エッチなこと考えてるでしょ?』『男の子だからいつも考えてるよね』『男子は性欲が強いんだよね? 私、知ってるよ』。……これ、普通じゃないですよね? パーガトリーさん。」

 Dr「うん。確かに普通じゃないね。」

 沙里恵「『考えてないですよ。今は自分の部屋のベッドで休んでいます』って、僕は返しました。すると……。」

 Dr「すると?」

 沙里恵「『☓☓☓☓してる時の声、電話で聞かせて♡』。」

 Dr「うわうわうわ。ヤバい人だ。」

 沙里恵「そしたら急に、沙里恵さんから電話がかかってきて。」

 Dr「電話に出たの?」

 沙里恵「出られませんよ! でも、スマホがずっと鳴りっぱなしで。怖くなって、スマホの電源を落としました。」

 Dr「怖いねー。」

 沙里恵「次の日、まずは連絡先を全て変更しました。それからオンラインゲームのギルドの方にも、『リアルが忙しくなったので引退します。さようなら』と書き残し、二度とログインしないでおこうと決めました。」

 Dr「ふぅ。これで一安心だね。」

 沙里恵「そうですね。それからしばらくは、平和な日々が続きました。学校の部活……バドミントン部の活動に打ち込み、休みの日は友達と遊びにいったり、アルバイトをしたりと、とにかく忙しくも楽しい日々でした。」

 Dr「あ、恐怖はまだ終わらないのね。」

 沙里恵「はい。原因はおそらく、僕の友達がやっていたSNSだと思うんですけど……。」

 Dr「友達のSNS?」

 沙里恵「友達は写真をアップしたんです。部活のみんなでボウリングに行った時の写真を。楽しかった一日の記念に、みんな笑顔の集合写真を。それが……。」

 Dr「まさか、沙里恵さんに見つかった?」

 沙里恵「どうやって調べたのか、沙里恵さんはその写真に辿り着いていました。そして、翌日の……バドミントンの大会があった日。沙里恵さんがその会場に現れました。」

 Dr「うわぁ……。」

 沙里恵「観客席で、沙里恵さんは微笑みながら僕に手を振っていました。僕は一度も目を合わせず、なんとか沙里恵さんと関わらずに一日を終えました。でも、その日だけで終わるはずがなく……。」

 Dr「うぅ、また怖くなってきた。」

 沙里恵「友達と映画館に行った日は沙里恵さんもその場所に現れ、バイトがある日は沙里恵さんもバイト先のお店に現れ、高校の文化祭の日は沙里恵さんはついに僕の学校にまでやってきて……。とにかく“偶然”通りがかったかのように、何度も僕の近くに現れました。」

 Dr「あくまで“偶然”ってわけね。さらに危害を加えてこないとなると、警察に相談しても動いてはもらえないだろうね。」

 沙里恵「その通りです。女性のストーカー自体が珍しいというのもあって、誰に相談しても良い回答は得られませんでした。そんなの放っておけばいいと言われるばかりで。」

 Dr「放っておいたらマズいことになりそうだけど……。」

 沙里恵「はい……。事件が起こったのは、それから数日後。部活動で帰りが遅くなった日のことです。一人で夜道を歩いていると、僕の数メートル後ろから、コツ、コツ、コツとハイヒールの音が聞こえてきて。その音はだんだん僕に近づいてきて……。」

 Dr「おお……。これはヤバい。」

 沙里恵「僕もそう感じて、近くに公園があったので、そこの男子便所に逃げ込みました。個室の中に隠れて、電話で誰かを呼ぼうと……。そのつもりで個室の扉を開けた瞬間、背中をドンッ!と突き飛ばされ、中へと押し込まれました。」

 Dr「……!」

 沙里恵「振り返ると、沙里恵さんが立っていました。『やっと二人きりになれたね。斗也くん』なんて言って、微笑みながら。」

 Dr「怖っ!」

 沙里恵「『ねぇ、どうして私を避けるの?』『どうして嫌がるの?』『私がおばさんだから?』『気持ち悪いおばさんだと思ってるの?』『おばさんと話すのが嫌なんだね。斗也くんは』。沙里恵さんは一方的に喋り、僕は震えて声も出せませんでした。」

 Dr「まあ、そうなるよね……。」

 沙里恵「『傷ついた……。私、すごく傷ついたんだよ?』『分かんないよね。おばさんの気持ちなんか』『なってみればいいよ。私と同じ気持ちに』『ねぇ、交換しよ? 私の人生とあなたの人生』『その方がいいよね。私が男の子で、あなたがおばさん』『ずっと斗也くんと交換したいと思ってたんだよ。園村沙里恵は、あなたに全部あげる』『明日の朝が楽しみだね♡』……。そして、僕は無理やり変な薬を飲まされ、意識を失ってしまいました。」

 Dr「変な薬? ああ、最近出回ってるアレかな?」

 沙里恵「気がつくと、そこにはもう沙里恵さんはいなくて。僕は急いで帰宅し、布団を被って震えていました。その時までは、まだ確実に僕は斗也だったんですけど、その後ぐっすり眠ってしまい……。」

 Dr「翌朝、目を覚ますと……ってヤツ?」

 沙里恵「はい……。知らない人の家にいました。」

 Dr「知らない人の家?」

 沙里恵「見たことない天井、見たことない布団、見たことない部屋。体もなんだか重くて、違和感しかないという状態で。意識がはっきりしたのは、自分の体を見た時でした。」

 Dr「衝撃的だろうね。自分が歳上の異性になってるなんて。」

 沙里恵「胸が大きく膨らんでいて、重みで少し垂れ下がってもいて……。それに、女性用の下着をつけていたんです。そばにあった鏡を見ると、下着姿の沙里恵さんが映っていて、驚いたような顔でこちらを見つめていました。」

 Dr「自分の体を見て、性的な興奮はしなかったの? 男性が女性になった場合、そういうこともよくあるみたいだけど。」

 沙里恵「パニックになっていたので、そんな気持ちにはなれませんでしたよ……。それに、沙里恵さんは僕の親と近い年齢の女性でしたし、そういう目では見られなかったです。」

 Dr「そっかー。約20歳差だもんね。」

 沙里恵「自分の身に起きたことがまだ理解できなくて、何度もほっぺたをつねったりしました。でも、鏡の中にいる沙里恵さんは全然消えなくて……。不安や焦りはどんどん大きくなって、発狂しそうになりながら、僕はその部屋を飛び出しました。」

 Dr「ハレンチな格好のまま、外に出ちゃったんだ。」

 沙里恵「扉をあけると、そこは寂れたアパートの2階でした。右を見ても左を見ても知らない景色が広がっていて、怖くなった僕は、また部屋の中へと引き返しました。」

 Dr「つまり、いきなり知らない土地に連れてこられ、帰ることもできなくなった、と。」

 沙里恵「そうです……。どうしようもなくなって、僕は床にへたり込み、頭を抱えて『これは悪い夢だ……! 早く覚めてくれ……!』と、とにかく何度も願いました。でも、自分の口から出る声はもう完全に女の人の声だったし、髪の毛も女の人みたいに長くて、自分が沙里恵さんになってるという現実ばかりがどんどんハッキリとしていきました。」

 Dr「入れ替わり直後の混乱だね。」

 沙里恵「それからしばらく経って、突然、寝床のそばに置いてあった黒いスマートフォンが鳴ったんです。僕はハッと気が付いて、そのスマートフォンの画面を見ました。すると、その電話の相手が……『能登木(のとぎ)斗也(とうや)』。僕だったんです。」

 Dr「自分からの電話かぁ。」

 沙里恵「僕はすぐに電話に出て、『沙里恵さん……!? 沙里恵さんですよね!?』と問いかけました。そしたら向こうは『沙里恵さんはあなただよ。私は……僕はもう斗也だから。間違えないでね』って、僕のフリをして、挑発するような態度をとってきたんです。」

 Dr「自分に成り済まされたわけね。」

 沙里恵「だから僕は、頭に血がのぼって、その……大声で怒鳴りつけてしまったんです。『ふざけないでくださいっ! 早く僕の体を返してくださいっ!』って。自分では、そう言ったつもりだったんですけど……。」

 Dr「つもり?」

 沙里恵「相手には笑われてしまいました。『ねぇ、自分が言ってることの意味分かってるの? 沙里恵おばさん』って。だから僕は、もう一度同じことを言い直しました。」

 Dr「なんて?」

 沙里恵「えっと……『ふざけないでっ! 早く私の☓☓☓☓を斗也くんの☓☓☓☓で気持ちよくしなさいっ! 私は今すぐ☓☓☓☓がしたいのよっ!』。」

 Dr「ん……!?」

 沙里恵「だから、『私の☓☓☓☓を、斗也くんの☓☓☓☓で……』。」 

 Dr「ストップ! ダメだよ下品な発言は!」

 沙里恵「ぼ、僕だって、そんなこと言いたくありませんっ! でも、その……勝手にそうなって、口から出てしまったんですっ!」

 Dr「えぇ……? つまりどういうこと?」

 沙里恵「後で分かったことなんですけど、沙里恵さんはとても性欲が強い女性で……。体が欲求不満の状態だと、下品な言葉や卑猥な妄想が、常に頭の中に浮かび上がってくるんです。意識すれば抑えられるけど、無意識のうちに口から出ちゃうこともあって……。」

 Dr「なるほど。体の特質みたいなものだね。これはまた厄介な。」

 沙里恵「愕然として、思わず自分の口を塞いでしまいました。でも、沙里恵さんはそんな僕に、追い打ちをかけるみたいに聞いてきたんです。『ねぇ、沙里恵おばさん。僕の☓☓☓☓してる時の声、聞きたい?』って。」

 Dr「立場が逆転してる……。」

 沙里恵「その瞬間、僕の心臓の鼓動がドクドクと早くなって、全身がどんどん熱くなっていきました。右手で電話を持ちながら、左手は落ち着きを求めるかのように股間へと伸び……。心では拒否したけど、体では拒否できなくて、それで……!」

 Dr「なんて答えたの?」

 沙里恵「『お願い、聞かせてっ! わ、私の声も、聞かせてあげるからっ!』って、答えてしまったんです。そしたら、『あはは、おばさん気持ち悪いよ。もう二度と電話してこないでね』って言われて、電話を切られてしまいました……。」  

 Dr「ああー……。」

 沙里恵「でも興奮は収まらなくて、その後も何度も電話をかけました。メッセージもたくさん送りました。でも、一向に相手からの返信はなくて。欲求は満たされず、体温は上がっていくし、呼吸は荒いままで全然落ち着かないんです……! だから、き、気持ちを抑えるために、仕方なく、自分の指で……。」

 Dr「えっ? したの?」

 沙里恵「はい……。頭の中が真っ白になるまで……。」

 Dr「あらら……。」

 沙里恵「それからは時間も忘れて、下着が汚れるまで指でひたすら弄り、終わったら疲れて眠ってしまうという、体の欲求に忠実な行動を繰り返しました。性欲と睡眠欲が、交互にやってくるんです。」

 Dr「良くない生活だね。あまり性的な快楽を得すぎると、精神が肉体に定着してしまうんだよ。男性でも女性でもね。」

 沙里恵「良くないことだとなんとなく分かってたけど、やめられなくて。結局、その欲求の渦から解放されたのは数日後……。空腹を感じて、やっと手が止まったんです。」

 Dr「食欲が出てきたわけね。」

 沙里恵「冷蔵庫を空けて、ペットボトルの水をガブガブ飲み、ほんの少し入っていた食料も全て食べました。すると、全ての欲求が一旦落ち着き、これからどうしようかを冷静に考えられるようになりました。」

 Dr「判断力が戻ったんだね。」

 沙里恵「そうです。まずはパソコンやスマートフォンの電源を入れ、自分が今どこにいるのか……つまり、沙里恵さんの家の住所を調べました。そして最寄り駅を調べたら、僕の家から電車で3時間ほどの距離にある場所だということが分かったんです。」

 Dr「往復で6時間……。沙里恵さんって、そんな遠くに住みながら斗也くんをストーカーしてたのね。」 

 沙里恵「でも、行けない距離じゃないんです。次にお金が必要だと思い、沙里恵さんの財布を見つけました。中に入っていたのは、ギリギリ電車で往復できる程度のわずかな金額でしたが……。」

 Dr「ストーカー行為もお金がかかるんだろうね。」

 沙里恵「洋服もほとんど売っていたらしくて。クローゼットの中には、ハンガーばかりで服が全然ありませんでした。でも、下着のままじゃ外には出られないから……恥ずかしいですけど、クローゼットの中に残ってたノースリーブのセーターとミニスカートを着て、ハイヒールを履いて、駅へと向かいました。」

 Dr「異性の服を着るのは、ちょっと恥ずかしかった?」

 沙里恵「それもありますけど……。電車に乗っている時、僕の方をチラチラ見ながら、女子高生が噂してたんです。」

 Dr「ウワサ?」

 沙里恵「『あの人の格好、ちょっとキツくない?』って。言われてみると、確かに肌の露出が多い服装で……。おばさんが必死に若作りしてるように見えたらしいんです。」

 Dr「へー。私はファッションのことよく分かんないけど、キツい格好ってのがあるんだねぇ。」

 沙里恵「僕はとても恥ずかしくなりました。でも、誰にも見られないように身を縮こまらせながら、電車が着くのをひたすら待つしかありませんでした。」

 Dr「それはなかなか辛いね。」

 沙里恵「それからやっと電車が到着して、僕は久しぶりに僕が住んでいた街に帰ってきました。時刻はもう夜でしたが、とにかく高校の近くまで行ってみようと歩き出して……そしたら、ちょうど帰り道を歩いていた僕『能登木斗也』と、偶然出会ったんです。」

 Dr「おおっ! 運命の再会だね!」

 沙里恵「ただ……その斗也の周りには、高校の友達がいて。友達は僕を指さして『この人誰?』って言ったんです……! 斗也も、その質問に『ああ、僕のストーカーしてるおばさんだよ。ここまで来たんだね』って、ヘラヘラ笑いながら答えて……!」

 Dr「こっちが本物の斗也くんなのにね。」

 沙里恵「僕は動揺して、何も考えが浮かばなくなりました。でも、ここで退き下がるわけにはいかないと思って、必死になって斗也に詰め寄りました。はぁはぁと、息を切らして……。それで……!」

 Dr「それで?」

 沙里恵「……。」

 Dr「ん? どうなった?」

 沙里恵「……気が付いたら、僕は警察署にいたんです。」

 Dr「はあぁ!? なんでっ……!?」

 沙里恵「自分でも覚えてないんですけど、警察の人が言うには、僕はいきなり斗也に突進し、押し倒したらしくて。」

 Dr「押し倒した……!?」

 沙里恵「斗也の右手を自分の胸に押し当てながら、『ほら、私の☓☓☓☓に触れなさい! こっちはもう☓☓☓☓まで☓☓☓☓☓☓になってるんだから!』とか、『☓☓☓☓! ☓☓☓☓がしたいっ! ☓☓☓☓☓を見せなさいっ! 私の☓☓☓☓と☓☓合いっこするの! 私の☓☓☓☓☓☓☓☓☓とっ!』みたいな、卑猥な言葉をたくさん叫んでいたらしいんです。」

 Dr「わーお。完全に変質者じゃん。」

 沙里恵「そのまま警察を呼ばれ、警察署で厳重注意を受けました。体が入れ替わってることを伝えたけど、やっぱり信じてもらえなくて。最後に誓約書みたいな紙を書かされました。」

 Dr「誓約書?」

 沙里恵「『私はもう二度と能登木斗也さんにストーカー行為をしません』っていう誓いの文書です。」

 Dr「あちゃー。接触は大失敗かぁ。」

 沙里恵「それが……実はそうでもなくて。」

 Dr「えっ?」

 沙里恵「警察署から出て、帰りの電車に乗っていると、斗也からメッセージが送られてきたんです。」

 Dr「どんな内容?」

 沙里恵「『欲求不満みたいだね。もし本当に我慢できないのなら、ハグくらいはしてあげてもいいよ。毎月15日、公園の男子便所の一番奥の個室。ハグ1回一万円ね。来たいなら来なよ』。」

 Dr「えーっとつまり……お金を払えば、月に一回だけハグをしてくれる、と。これは完全に遊ばれてますね。」

 沙里恵「はい……。本当にバカにしていますよね。こんな体を僕に押し付けて……! それで、無視してやろうと思ったんですけど……。」

 Dr「せ、性欲には勝てなかった……と。」

 沙里恵「やっぱり我慢はできなくて……。せめてキスや愛撫くらいはしてほしいと頼んだんですけど、『ワガママ言うなら警察につき出すよ。ストーカーおばさん』って、脅されてしまって。」

 Dr「ん? んー……?」

 沙里恵「それからずっと、アルバイトをしながらお金を貯め、毎月15日には例の男子便所に行く……という生活になりました。あと、たまに斗也の留守電に自分の☓☓☓☓の時に出てる声を吹き込んだり、こっそり斗也の後をつけて、どんな生活をしてるのか観察したりもしていました。」

 Dr「それじゃあ、今やあなたが完全にストーカーじゃないですか。そ、それでいいの?」

 沙里恵「よくないですよっ! でも、分かっていてもやめられないんですっ! 今だって、斗也の☓☓☓☓を私の☓☓☓☓に☓☓してほしいとか、そんなことばっかり考えてしまうんですよっ!!?」

 Dr「わ、分かりました。落ち着いて。ここまでがエピソードだとすると、私としては、あなたに一つ疑問が残ります。」

 沙里恵「疑問?」

 Dr「この病院に来た理由ですよ。ナゼ今、この施設へ?」

 沙里恵「……。」

 

 沙里恵さんは瞳を伏せ、恥ずかしそうに答えた。


 沙里恵「れ、連絡が……とれなくなりました。」

 Dr「はい??」

 沙里恵「斗也は高校を卒業して、大学生になりました。ただ、その大学がどこで、今どこに住んでるのかが分からないんです。実家を出て、一人暮らしを始めたらしくて。」

 Dr「そりゃあ、ストーカーに自宅や連絡先を教える人はいないでしょうよ。」

 沙里恵「でも、あの体は元々僕の体ですっ! 勝手にどこかに行ってしまうなんて、おかしいじゃないですかっ!!」

 Dr「うーん、ちょっと待ってください。あなたの言葉の真意が見えない。」

 沙里恵「真意……?」

 Dr「イェス。単刀直入に聞きます。あなたは能登木斗也の現在地をつきとめて、どうしたいんですか?」

 沙里恵「そ、それはもちろん……!」

 Dr「……。」

 沙里恵「……。」

 Dr「ほら、またエッチなこと考えてる。」

 沙里恵「なっ!? だ、だって!! 今は性欲が抑えきれないほど体に溜まってるんです!! 仕方ないじゃないですかっ!」

 Dr「いいですか? この施設の支援を受けられる人は、『元の自分に戻りたいと願う人』か、『新しい自分の人生を歩もうとしてる人』か、どちらかです。ストーキングの支援はしません。」

 沙里恵「だから、『新しい自分の人生……!」

 Dr「ううん。諦めて肉欲に走ってるだけです。あなたはそっちじゃない。」

 沙里恵「えっ……?」

 Dr「私が聞きたいのは、あなたの心の一番奥にある言葉。本当はどうしたいのかを言ってみて。斗也くん。」

 沙里恵「そ、それはっ……! そりゃあ、僕だって……。」

 

 沙里恵さんの声は震え、瞳からは涙がこぼれた。

 

 沙里恵「も、元の自分に戻れるのなら、戻りたいですよぉ……! ぐすんっ……!」

 Dr「そう、それ! 希望を持つことが大事。元に戻りたいってことでいいんですよね?」

 沙里恵「はいっ……! お、お願いしますっ! 元に戻る方法を、教えてくださいっ! 僕の大事な高校の3年間を奪われて……ずっと園村沙里恵さんとして生きていくなんて、絶対に嫌ですっ!」

 Dr「ハッキリ言わせてもらうと、今のあなたはその体に馴染みすぎてる。ストーカーおばさんとしての欲求が、男の子だった心まで侵食して、意思決定まで阻害してる。入れ替わってから3年も経ってるからね。」

 沙里恵「じゃあ、もう元には戻れないんですか……?」

 Dr「いいえ、それはやってみないと分からないよ。うちの施設は、あなたのためにやれることを全てやるから、あなたも自分を見失わない努力をしてほしい。OK?」

 沙里恵「わ、分かりました……。」

 Dr「並行するプランは3つ。まず、うちの法務担当のスタッフと相談して、本物の沙里恵さんが通う大学や下宿先をつきとめ、連絡をとる。再転身の交渉までいければベストだね。」

 沙里恵「はい……!」

 Dr「次に私の担当分野。入れ替わり薬の研究だね。現在流通している精神の入れ替わりに使われる薬は、実はある程度解析されてる。決して表には出てこない闇の薬物だけど、入れ替わりアイテムとしては珍しいものじゃない。」

 沙里恵「えっ!? そうなんですか!?」

 Dr「衝突による入れ替わりとかと比べると、遥かに治りやすいね。検査さえ受けてくれれば、そこからデータを抽出して、再転身用の薬を私が作るよ。ふっふっふ、私に任せなさい。」

 沙里恵「と、とにかく……できるならお願いしますっ!」

 Dr「そして最後のプラン。いやあ、実はこれが一番大変なんだよ。」

 沙里恵「なんですか……?」

 Dr「リハビリ。あなたのね。」

 沙里恵「ぼ、僕の……?」

 Dr「もしあなたが、心の底まで完全に沙里恵さんに染まってしまったら、それで全ておしまい。その体をしっかり受け入れて、新しい人生の希望を探す方向にチェンジだね。」

 沙里恵「……!」

 Dr「現在はほぼ染まりかけてる。ほら、今はどんな妄想してるの?」 

 沙里恵「えっ? そ、それは……。」

 Dr「隠しちゃダメ。」

 沙里恵「と、斗也くんに、私の☓☓☓をたくさん☓☓てもらいながら、指で☓☓☓☓☓を優しく刺激してもらい、声をあげながら☓☓☓☓を情けないくらいに垂れ流す妄想……です……。」

 Dr「それはいけないね。まずは妄想する回数を減らそう。」

 沙里恵「えっ!? も、妄想をですか!?」

 Dr「そうすれば☓☓☓☓の頻度も減らせる。今は、週に何回?」

 沙里恵「ま、毎日です……。暇があればっていうか……。」

 Dr「週に一回。それが努力目標ね。OK?」

 沙里恵「えっ……。でも今だって……!」

 Dr「興奮を抑える薬を飲んでみる? それを飲めば、少しはマシになるかも。」

 沙里恵「あ、ありがとうございます……。」

 Dr「できれば入院してほしいけど、それは難しい?」

 沙里恵「い、いえ……! させてもらえるなら、是非っ!」

 Dr「分かった。手続きを後でしてもらうね。……よーし、これでだいたいの説明は終了かな。何か質問は?」

 沙里恵「質問……。あの、パーガトリーさんは、男の人なんですか?」

 Dr「へっ? 私? 私が……男?」

 沙里恵「パーガトリーさんも、他の誰かと入れ替わって、その姿に?」

 Dr「あはは、違う違うっ! 私は生まれも育ちもフィメイル。女オブ女です。誰かと入れ替わったことはありません。」

 沙里恵「ご、ごめんなさいっ。この病院の施設長だから、てっきり入れ替わり経験者かと……。」

 Dr「施設長になったのは、勝手に任命されたからで……。まあ、その話はいいよね! とにかくインタビューはおしまい! おつかれさま!」

 沙里恵「は、はいっ! 今日は本当にありがとうございました!」

 Dr「最後に写真を撮ります。ほら、そこに立って。」

 沙里恵「えっ、写真!? うぅ、なんだか緊張してきた……。」

 Dr「いい顔だね。ハイ、チーズ。」

 

 パシャリ。


 * * *


 はい。第四回のレポート、これにて終了です。いやあ、今回もなかなか大変だったけど、面白い話がたくさん聞けましたね。


 インタビューレポートの一部に、☓印の自主規制を入れました。そのまま掲載するとちょっぴり下品なもので、また口うるさい上司から何を言われるか……あはは。とにかく、精一杯規制はしましたので、苦情などはできるだけ寄越さないように! 次回のレポートでお会いしましょう。さようなら。

 

 

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