第2話 行動開始

 「何よ励ましただけじゃないの」

 そうアリンが言った

 「少し揺れるぞぉ」

 運転手がそう告げると車体は大きく縦方向に揺れた。車内のほとんどの人、物が飛び散る。

 「「何が少しだよ」」

 俺とアリンがほぼ同時に叫ぶ

 「これでも抑えた方なんだがなぁ・・・。まあいい、ほれついたぞ」

 閉ざされていた幌をたくし上げた。アリンが。そこに現れる砂地、うっすらと顔を出す太陽、遠くには山々が連なっているのが見える。

 「ここがこれから君たちオパドス師団の基地ホームになる野戦基地だ!。

 それから、アリン。オパドスを起こしてくれ」

 「師団長 到着しました。」

 「・・・もうついたのかい、アリン」

 師団長と呼ばれた中年ほどの男性はゆっくりと体を起こす。

 「起きるのが遅いですよ、小隊長」

 僕の言葉に返答するように手を振りながらオパドスは車から降りる。それに続くように第一分隊の面々、僕やアリン、フィンなどが降りる。

 かなり大きな隊舎と今まで乗ってきたトラックを除けばあたり一面の荒野が広がっていた。

 「ついに来たんだな、俺たち。」

 後ろを振り向くと僕たちと同じほどの年齢の男性が立っていた。

 「君もオパドス師団の人間か?」

 「はい、北方訓練所出身のガイツ・クリネルです。階級は上等兵です。」

 「おーい、ガイツ荷物下ろせぇ」

 遠くから呼ばれたガイツは一礼して呼ばれた方に駆けていく。

 「懐かしいな、俺らにもあんな時期があったんだよな。」

 と言いながらフィンは伍長の階級章をを揺らす。僕たちは平時でなければありえないほどのスピード出世を果たし今、ここにいる。

 「まあつい2ヶ月前だがな」

 「明日でちょうど2ヶ月のはずだよ、ダイチ。」

 この2ヶ月でこの師団は起きな成長を遂げたはじめは50人ほどの中隊規模であったが今は後方支援テグルムも含めれば1000人を超える。この国ではイロン師団に続いて三番目の規模になっている。

 「アリン、さっきの彼の所属わかる?」

フィンが唐突に尋ねる。

 「紋章からすれば第三分隊のはずだけど。それが何か?」

 「いや、少し気になっただけ」

 フィンがこんな風に尋ねるのはこれが初めてではない。今までにも何回かあって、その度に異常事態アブノーマルに巻き込まれている。

僕たちがこの師団員になったのも元を正せばフィンが首を突っ込んだ事件によるものだ。

「また変なことたくらんでるんじゃないだろうな、フィン?」

 「別に何も企んじゃいないさ。たださっきの彼なんか気になる、何が違うとか明確にはわからないけど。」

 「あ、っそう。」

 そうこうしているうちに最後のテグルムを乗せた車が到着したと連絡が入った。

 「それじゃあ、第一分隊の諸君、ブリーフィングを始めるぞ。私についてきたまえ」

 そう言ってオパドスは皆を引き連れホームに入っていった。


 

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