第9話 ベッドの上で――

(初めてした決闘で負けたのか…)


 そもそも決闘自体が、俺にとっては初めてだった。その決闘に一矢報いることすら出来ずに俺は負けたのだ。

 身体的にも、精神的にも、ダメージは大きい。


(俺って、弱いのかな……)


 そう思いながら、ベッドの上で、体を右に向ける。


 俺が今いるのは、「トライアングル」にある自分の部屋のベッドの上だ。


 ボスによると、飛鳥に決闘で負けた俺は気絶して、飛鳥によって、お姫様だっこで自分の部屋に運ばれたらしい。


 ”普通は逆だろう”と思うが、今はそんなことはどうでもいい。


 コンコン、と扉をノックする音が聞こえる。


「はい、どうぞ」


 俺がぶっきらぼうに答えると、扉をノックした主が入ってくる。


「大丈夫ですか、悠さん」


「大丈夫じゃない」


 俺は速攻で返した。


「大丈夫そうですね」


「人の話聞いてた!?」




 飛鳥には驚かされてばかりである。




「まさか気絶するとは思いませんでしたよ」


「そりゃどうも」




 俺が数秒で負けた戦いなど、思い出したくもない。俺のプライドに関わる。このプライド自体はどこかへ捨てたいが。




「けど、あの『孤独の破壊者』がこんなに簡単にやられるとは、私もボスさんも思いませんでしたよ」


「『孤独の破壊者』?」




 飛鳥は一瞬ポカンとしたが、思い出したようにうなずいた。




「そう言えば、途中でしたね。まずはその話からしましょうか」




 そう言って、飛鳥は話し出そうとするが、俺は一刻も早く元の世界に返りたかった。


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『孤独の破壊者』 @murata2

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