第4話 ギルド「トライアングル」

 ギルド「トライアングル」――そこに着いたことに、俺はひとまず安堵する。 


(これがギルドか!)


 ギルドはフ○アリーテイルで見たことはあるが、実際に見るのは初めてだ。


(こんなにでかいのか!)


 テレビごしで見るのとは違い、やっぱり大きく見える。


 俺が住んでいるログハウスよりも少し大きく、木は白い木を使っているようだ。


「最初に悠さんが来た時も、同じような反応をしていた、とボスさんから聞きましたよ」


 隣の飛鳥は俺を見ながら、そんなことを言う。


 そのことについてはやっぱり思い出せない。


 高校生になる前の話だから、中学生のときのことだと思う。


 記憶力はあまりないほうだが、飛鳥みたいに分かりやすい少女と会って、覚えていないということはないはずだ。多分。


「どうかしましたか?早く入りましょう」


 そんな思考にはしっていると、俺は飛鳥に背中を押されて、中に入れられる。


(広いなぁ~)


 ギルドに入って最初に感じたのはそれだ。ギルドの中には五つの部屋があるようで、左に二つ、右に二つある。そして、中央には一際ひときわ大きな扉がある。


「この五つの部屋は何なんだ?」


 すると飛鳥は「しょうがないですね」と言った後、軽く説明する。


「左上の部屋から順番に言います。

 まず、左上の部屋は私の部屋です。部屋の中は綺麗きれい整理整頓せいりせいとんされているので、下着泥棒したぎどろぼうとかするとすぐにばれますよ」


「しねーよ!」


 俺は素早くツッこむが、飛鳥はそれをスルーした。


「次の左下の部屋は悠さんの部屋です。自分がどんな部屋にいたか、気になるでしょうから入ってもらいますが、先に聞きますが、オタクじゃないですよね?」


「…それは違うけど」


「…では入ってもらいましょう」


 飛鳥のが少し気になったが、うながされたので、入ってみることにする。


 するとそこには誰の趣味か分からないポスターがられていたり、グッズがところせましに並べられている。


「……」


「これでも違うっていえます?」


 飛鳥あすかのそんな後ろからの抗議こうぎを無視して、俺はしみじみと自分が昔いた場所をながめる。ポスターやグッズには、ほこりがチラホラと見えるが、その場所以外は問題なく掃除されている。


「これ、飛鳥が掃除したのか?」


「はい――そうですが何か?」


 掃除すらうまく出来ない俺からすれば、綺麗きれいに出来てる、と言うしかない。


 俺が部屋から出るのを待ってから、飛鳥は歩き出す。


 「では、次はボスさんに会ってもらいます。ボスさんは中央の部屋――大広間にいるはずですよ」


 「あれ?まだ入ってない部屋があるんじゃ?」


 「片方の部屋は入れないですし、もう片方の部屋は「まだ入れるな」と言われてますから」


(誰に言われてるのだろうか?)


 それについてはよく分からないが、止められている部屋に入ろうとは思わないので、おとなしくその「ボスさん」に会うことにした。









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