これから……&姫命 編

第173話 打ち上げ!


「──皆!月光祭、お疲れ様ぁー!!!」


俺がノリノリでジュース片手に叫ぶと……


「「「「「──おおぉぉぉぉ!!!!!」」」」」


俺の声に続いて、クラスメイト達がノリノリで答えてくれる!


今日俺は、1年3組の皆(奈緒先生を除く)と月光祭の打ち上げに来ていた。


本来ならば月光祭が終わってすぐに打ち上げをしたかったのだが……俺や夜依が月光祭実行委員としての後片付けがあったり、そもそも月光祭が終わる時間帯が遅かったり、皆が案外疲弊していた為、後日に持ち越しになっていたのだ。


そんな皆にとって待ちに待った、打ち上げ。

少しでも俺と長く居たい為か、同時に性別逆転メイド喫茶で学年売上1位に輝いた事で得た“1日俺を自由にできる権利”を行使し、打ち上げ兼皆とお出掛け……という形になった。


そんな最高の1日を、1分1秒足りとも無駄には出来ないとクラス過半数の強い要望で、朝早くからクラス全員が集まり、カラオケに来たけど……朝っぱらだというのに、皆のテンションが馬鹿みたいに高い。


朝が弱く、スロースターターな俺にはまだ本調子とは行かないが、皆が楽しそうで俺も満足である。


……そう言えば、私服姿の皆は案外見た事がなかったので新鮮である。雫や夜依、特別男護衛官の智佳達はよく見るので知っていたけど。

春香や由香子ら、残りのクラスメイトは制服や部活の練習着でしか見た事がなく、いつものイメージとは全くの正反対な子やガッチガチの清楚系な子、ゴスロリ!?など、色々と目の保養で楽しめました。

──ご馳走様です!


人生初のカラオケで、俺は何をどうすればいいのか分からず困惑するけど、大体の人がカラオケという公共施設に行き慣れているようで、初めからフルスロットルで楽しそうにそして美しく……透き通った歌声を披露してくれる。


特に歌が上手いと思ったのは、特別男護衛官で偶に会う、仁奈……かな。

その仁奈の尊敬するほどの美声は、俺が思わず

「すごい。」と、言ってしまうほどのレベルであった。


というか、全体的にレベルが高いなぁ。音程とか詳しくは分からないけど多分完璧で、カラオケの採点もほとんどが90点以上だし……

カラオケ初心者である俺は完全に萎縮してしまう。


なので、しばらく春香や由香子と一緒に過ごし、クラスメイトを観察した。そしてようやくカラオケという新たな環境に慣れてきたと思ったら……


「──じゃあそろそろ優馬くんも歌ってみてよ♪」

「そ~そ~、なんでも出来る優馬くんなんだから、歌とかも完璧なんだろうねぇ~~」


何て酷いことを言うんだお二人さんっ!?


「ちょ、春香、由香子!?俺、カラオケ初めてだって説明したよね?そんな、練習もしてないのに皆の前で歌うなんていくらなんでもハードルが高すぎるよ!」

「大丈夫だよ、何となくリズムに合わせて歌えばいいんだから♪」


嫌がる俺に春香が助言をするが……本当に大丈夫なのだろうか?

そもそも、俺って音楽が“大”の苦手で、選択授業も音楽を選んでないし……この世界に転生してから歌という存在に触れてすらない。だから、そんなの無茶である。


だけど……ここはカッコ良さを改めて見せるチャンスなのでは無いかと思った。それに転生して生まれ変わった俺は歌が上手いかもしれない。そう信じよう。


──よし!やるか!やってやるか!

そう心に決めた俺は皆の前に、マイク片手に立つ。

クラス全員から期待の視線が俺に集まり、緊張するが……


「すぅ……」


俺は大きく息を吸い込み──

頑張って歌い切るのであった。


☆☆☆


午前中はカラオケで大宴会。

俺は正直、物凄く楽しかった。カラオケというものが案外楽しかったというのもあるからだろう。


でも、どうしてだろう。皆が途中からぐったりしてる。それに、俺は楽しかったからもう一曲を歌おうとしたけど、全力で阻止されたし……


「──カラオケ楽しかったね!」


そう、ぐてーとしてる雫に話し掛けると……憔悴した目で、


「……そ、そうね。」


と、言われた。

……んん?


「ま、また来ようね!」

「「(……)」っ!?」


え、なんで!?雫、夜依は俺の言葉に、大きく動揺した。


「……んーっと、それはちょっと。私、音痴で恥ずかしがり屋だから。」

「そう……ね。私もカラオケは余り得意でないから、遠慮したいわ。」

「えー、そうなの……じゃあ、葵でも誘ってみるか!」


そんなテンション高めな俺だったけど、2人は余り乗り気では無かった。なので、葵と一緒に行く事にしよう。


でも、俺がそう言った後に2人して天に手を合わせる仕草をしていた様だけど、一体どうしたんだろう。


まぁ、いいや。まずは打ち上げを楽しむとしよう。


☆☆☆


──その日、1年3組のクラス全員(優馬と奈緒先生以外)はある理解した。


二度と優馬の前で音楽の話題を出しては行けない

……と。


そう思われてしまうほど、優馬の“歌”は破滅的で、壊滅的であった。1番近くで壊滅的な歌を聞いていた春香や由香子は気絶寸前の所まで追い込まれ、周りのクラスメイト達もかなりの精神的ダメージを食らったとか……


そして精神的ダメージを受けている事を隠しながら、優馬を傷付けないために最大の配慮をし、午後を過ごす事となる。


☆☆☆


午後からは皆で買い物などに行った。

買い物が終わり、昼食を食べ終えた後、学生らしくプリクラを撮ったり、ゲームセンターでトーナメントを開催し勝者を決めたり、雑貨屋によってクラスのお揃いの文房具を揃えたり……これまでほとんど話した事がなかった人と話せたり、今日1日は俺にとって最高に寄り良い日であった。


そんなこんなで月光祭の打ち上げは終了したのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る