最終話 プロポーズは許しません!
「エマ…嘘だと言っておくれ……。」
青ざめてやつれたテオがエマを訪ねてきた。
「テオ君!」
驚いたエマがテオに駆け寄る。
むぎゅう!
テオがむせび泣きながらエマを抱きしめる。
「テオ君、いったいどうしちゃったのですか?」
「…ニナから聞いたよ。」
「何を?」
「デデデデイモンが…」
「ダモが?」
「エマに……」
「エンマに?」
「……。」
「テオ君?」
「……ぷ…」
「プリン?」
「違う……。プロポーズしたって……。」
「?」
何ですか?それ、どこ情報ですか?と言わんばかりの表情で首を傾げるエマ。
「違うのかい?」
「そんなこと無かったですよ。」
ジジ&マリーも、ウンウンと肯いている。
むぎゅう!
もう一度テオがエマを抱きしめる。
「エマちゃんたら!デイモン君にこれからずっとエマちゃんのお洋服を作り続けるって言われたんでしょう?」
「それは言われました。」
ジジ&マリーも、ウンウンと肯いている。
「エマちゃんは、ありがとうって言ったのよね。」
「言いました。」
テオが再び泣きそうだ。
いつのまにか現れた自称エマの保護者たちも絶望的な表情だ。
「やっぱりプロポーズじゃない!」
「ぜんぜん違いますよ!プロポーズは“結婚して下さい”って言うんですよ!」
「……エマちゃん、“これからもずっと君の手料理が食べたいな”って男性が女性に言う場面を想像してみて。」
「しました。」
「どんなシチュエーション?」
「地上げ屋から立ち退きを迫られている食堂の女将さんに、常連さんが、移転しても通いますって宣言してます。」
「……。」← ニナ
「うむ。チビが正しいな。」
「ああ、間違いなく女将さんを励ましているな!」
「何言ってるのよ!」
「バカじゃないの!バカ!」
いつものように閻魔大王やサタン、ルーシーとガネーシャ達がエマとデイモンの関係を巡り大喧嘩を始めた。
突然の成り行きに呆然とするエマとジジ&マリー。
「エンマ。」
振り返るとダモフェンリルがいた。
「僕たちはまだ子供だけど、僕は大人になったら一番最初に、エンマにプロポーズします。」
「エンマもダモとずっと一緒にいたいです。春が来たら一緒にお花見して、夏が来たら泳ぎに行きましょう。
秋がきたらお芋を焼いて、冬になったらコタツで一緒にアイスを食べるのです。毎年ですよ。」
ピンと耳を立てて尻尾を振るダモフェンリルがエマに
デイモンの尻尾とエマの羽根が幸せそうに揺れた。
幸せな未来しか予感できない。
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初めての作品で読みづらい場面が多い中、最後までお読みくださって、ありがとうございました。
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