第196話 保釈された皇帝陛下と側近

「久しぶりにお外に出たな…。」

側近のホッキョクグマ、ライオン、パンダをお供に、よちよちと歩く皇帝ペンギン。


魔王城の敷地内に滞在し、裁判を待つ身だ。

うっかり問題を起こさないよう、側近の説得もあり魔王城の敷地から出ない範囲内で自由を満喫している。


皇帝ペンギンのよちよち歩きは、あざといほどに可愛らしい。側近のホッキョクグマ、ライオン、パンダが頬を桃色に染めてみまもっている。


「おや、子供がいるぞ。」

皇帝ペンギンの指し示す方向をみると、子猫を2匹連れた幼女がいた。


よちよちよちよちよちよちよちよち!

ペンギン歩きで必死にかけよる。


「エマちゃん、誰か来るわ。」

「ペンギンさんです!」

エマとジジ&マリーがペンギンに駆け寄る。


「どうしましたか?」

「ぜえぜえ……。」

「大丈夫ですか?」

「うむ。大丈夫だ。そなたはここの子か?」

「はい、エンマです!」


「もしかして次期魔王のデイモン君の許嫁の女の子では……。」

「ええー、そんなの決まっていないですし!」

バシッ!

照れながらライオンをぶっ叩くエマ。


「しかし、デイモン君の番は愛らしい天使族の女の子だという噂で…。」

「天使族に番とかないですからー!」

バシッ!

照れながらホッキョクグマをぶっ叩くエマ。


「その愛らしさにデイモン君がベタ惚れだと近隣諸国でも評判で…。」

「褒めすぎですよー!」

バシッ!

エマがパンダをぶっ叩く。


エマに叩かれたホッキョクグマとライオンとパンダがヨロリと後ろに下がる。


「ペンギンさん、とっても可愛いですね!

エンマ、ペンギンさんに会うのは初めてです。」

立ち上がったホッキョクグマとライオンとパンダが『そうであろう』と満足そうに肯く。


「お手!」

「……。」


ポン。


ペンギンにお手を要求したら、ライオンが手を差し出した。

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