第194話 反省する皇帝ペンギン

「……。」

よろり……。


使者たちにどつかれた皇帝ペンギンがヨロヨロと起き上がった。


「すまなかった。」

ペコリ。


「く…!」

「かわいい…!」

「いつもながら、あざとい…!」

ペコリと頭を下げる皇帝ペンギンは可愛かった。すぐに許してしまいそうになるくらい可愛かった。


すぐに許してしまいたいところを我慢して厳しい表情をキープするホッキョクグマ、ライオン、パンダの苦しそうな表情もまた可愛らしかった。



「よろしいでしょうか?」

「身元が判明したところで今後についてです。」

モテないトリオがビジネスライクに説明を始めた。この3人に皇帝ペンギンの可愛らしさは通用しないようだ。


「すでに身元が判明した者達は裁判が行われ、処分が決定しています。彼らの処分は罰金刑と3年で100時間の社会奉仕ですが、皇帝陛下の場合、黙秘を続けて捜査に非協力的だったことが裁判で不利に働くでしょう。」

「さらに、身元確認にかかった人員のコストが請求されます。」

淡々とビジネスライクに告げるモテないトリオ。


「な、なんと…。」

「この愛らしい、スイ=スイカ坊っちゃまに厳しいスタイル……。」

「斬新……!」


……斬新?

モテないトリオの額に青筋が走る。

「法に従って処分が決定するのは当たり前のことです。」

「貴国では違うのでしょうか?」

「違くない……。」

語尾が弱々しいライオン。



「裁判のスケジュールが決まり次第、お知らせいたします。」

モテないトリオがビジネスライクに去った。

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