第193話 皇帝ペンギンさん
申し訳ないと泣き崩れる使者達をなだめ、応接室に移動した。
「そうですか、時代劇に憧れて…。」
「はい、最近のお気に入りは『暴れん坊将軍』なのです。火消しの“め組”に居候する貧乏旗本の三男坊・徳田新之助を装う八代将軍・吉宗になりきって、庶民と交流しながら世にはびこる悪を斬りたいと…。」
「庶民と交流し過ぎて勢いで国境を越えてしまい……。」
「楽しくなって酔っ払って……。」
「はしゃぎ過ぎて国境の橋を破壊……。」
「申し訳ございませんでしたーっ!」
ふたたび平謝りの使者たち。
「…みなさんも大変ですね。」
「まずは本人確認も兼ねて面会しませんか?」
モテないトリオの案内で使者たちが病院にやってきた。
酔って正気を無くしていた時にアルコール中毒の疑いがあったため病院に運び込み、そのまま病院で拘束していたのだ。
コンコン!
かちゃ。
使者たちと容疑者の目が合う。
「皇帝陛下!」
使者達が膝から崩れ落ちた。
「しくしくしく……。」
「たぶん犯人は陛下に間違いないだろうと思ってはいたのですが…。めそめそ。」
「間違いであってくれと願う気持ちを抑えきれず…。ぐすぐす。」
隣国で破壊活動を行い拘束された容疑者が自分たちの皇帝であると知り、使者たちが泣きだした。
…… ポン。
容疑者改め獣人国皇帝が
「この者たちの言う通り、自分は獣人国皇帝のスイ=スイカJr.だ(※)。」
バイキングっぽい荒々しいタイプのイケメンがよちよちな皇帝ペンギンに
※ JR(ジェイアール)ではなくジュニアです。
※ Suicaではなくスイ=スイカです。
「迷惑をかけてしまい、遺憾である……。」
むくり。
泣き伏していた使者たちが起き上がり、
ポン。
それぞれホッキョクグマ、ライオン、パンダに
ドカッ!
皇帝ペンギンをどついた。
「あなたは、なぜ偉そうなのですか?」
「本当に悪いと思っているのですか?」
「ワシらにも謝れや。」
使者達がキレた。
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