第178話 エマのバレンタイン
「ふふっ。順調に成長しました。」
思わずクフフと笑いがこみ上げる。
バレンタインに向けてエマの温室で育てたカカオ豆が収穫の時を迎えた。エマの想いのこもったカカオ豆は豆の一粒が胡桃ほどのサイズだった。
収穫したカカオ豆を丁寧にラッピングしてインベントリに収納したら準備OKだ。
2月14日の朝
「おはようございます!」
「おはようございます、エンマ。」
朝から元気よくハグするデイモンとエマ。
「ダモ、これエンマからのバレンタインです!」
「ありがとうございますエンマ!感激です!!ずいぶん大きいですね!」
カカオ豆が実るカカオポッドは、通常は長さ20センチほどのサイズで形はラグビーボールに似ている。その中に30~40粒のカカオ豆が入っているが、エマのカカオポッドは巨大で60cmくらいある。
デイモンが包みを開けてみた。
「……ラグビーボール?」
「エンマの育てたカカオ豆です!」
収穫したまま、丸ごとだった。
「ありがとうエンマ、とっても嬉しいです!」
エマからバレンタイン、大事なのはそこ。
モノじゃない。
その後、エマはカールにテオやヒース、フギンとムニン、サタン、閻魔大王たちに巨大なカカオ豆を贈った。
エマからのバレンタインは嬉しいが、この巨大なカカオ豆をどう調理したら良いかと皆が悩んでいると、エマが神棚にカカオ豆をお供えした。
するとエマに植物の加護を与えた神の
「
「エマ、お供えをありがとう。これはとても良いカカオだな。」
褒められてエマが嬉しそうだ。
「どれ…。」
ものすごい音がした。とても人には真似できない。
「うん…とても美味しいカカオだね。さすが僕らのエマだ。ニンサルやタレイアも喜ぶよ。」
「
エマから巨大なカカオ豆を贈られた者たちを振り返り、
「こんなに香り高いカカオ豆は滅多にないよ。良かったね。」
それを聞いて、エマが期待するように皆を見上げる。
エマからカカオ豆を贈られた者たちの表情が絶望に染まる。
『ハードル上げ過ぎです!』←心の声
『そのまま食べるのは無理です!』←心の声
「ふふっ。ちょっと意地悪だったかな…それ。」
「エマ、人はカカオ豆をそのまま食べる事は出来ないんだよ。」
「そうなのですか。」
『神さま、ありがとう!』←心の声
エマにカカオ豆を贈られた者たちの気持ちが1つになった。
「カカオマスの状態からなら、加工も比較的
楽だろう。」
皆がコクコクと肯く。
エマのカカオ豆を気に入った
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