第175話 甘々な保護者たち
「ダモ〜。」
エマがダモフェンリルにしがみついて首のフサ毛に顔を押し付けてフサフサする。エマに甘えられてデイモンがデレデレと尻尾を振る。
横浜から戻ってからエマがデイモンに甘える姿が目立つ。
ダイアナとカールはそんな2人を見て嬉しそうだが、テオとサタンとフギンとムニンがイラついていた。
「エマ、少しスキンシップが過ぎるんじゃないか?」
「うむ。留学で自立を学んだのではないか?」
テオとサタンの言葉にフギンとムニンが肯く。
「ちょっと……いい加減にして。7歳のエマちゃんがペットのワンちゃんを可愛がって何が悪いの!?」
「あの…僕はペットでは…」
ペットじゃないし、犬でもないと否定しようとしたデイモンだったが、グイッと押しのけられ、最後まで言わせて貰えなかった。
「そうよ、小さな2人が仲良しで可愛らしいじゃない!」
「エンマ、チビじゃ…」
自分はチビではないと否定したかったエマだったが、ひょいと持ち上げられてダモフェンリルの背中に乗せられた。
「せっかくなのでエマは新しいタイプのお友達を作ったらどうだろう。」
「いいな。いつもデイモンとばかり遊んでいては視野が狭くなる。」
「エマちゃんのお友達が増えるのは賛成だけど、貴方達が勧める人物はいろいろ偏っていそうね…。」
「私もそこが心配だわ。どんなお友達を薦めるつもり?どこの誰?」
「……。」
「……。」
テオとサタンがお互いをチラチラ見る。
「……。」
「……。」
「考え無しに思いつきでケチを付けていたということかしら?」
「最低ね」
ニナとルーシーが蔑むように見てくる。
「い、いやいやいや!候補はいるぞ!」
「そうだそうだ!」
「あ、あれだ!あの方だ!」
「あの方って?」
「……。」
「ただ感情的に勢いで発言したということかしら?」
「愚かね…。」
「そっ、そんな事はないぞ!」
「そっ、そうだ!」
咄嗟に言い返すテオとサタンだったがニナとルーシーの視線が冷たい。
「あ、あの方はあの方だ!」
「わしらに伝手が無いから
汗ダラダラのフギンとムニン。
「それで、あの方って?」
ルーシーの声がいつもより低い。
「あ、あの方とは!
「乳母としても申し分なく、政治家としても優秀で、幅広い教養を身につけた女性だ!」
フギンとムニンが胸を反らしながら主張する。
「それはいいな……。」
「ナイスだ、フギン、ムニン!」
テオとサタンが大喜びだ。
「ばっかじゃないの!ばーか!ばーか!」
ニナの反応にムッとする2人と二羽。
「エマちゃんのお友達と言ったはずよ。それじゃ家庭教師じゃないの!」
ルーシーも激おこだ。
「そ…それは……!」
サタンとテオが反論を試みる。
保護者たちの言い争いは当分、終わらないだろう。
「ねえ、エマちゃん。」
「何ですか、マリーちゃん。」
「そろそろおやつの時間よ。」
「そうでした!」
「お腹が空きましたねえ。」
「唄子さんのおやつ、楽しみなんだぜ!」
言い争う保護者たちを置いて、おやつを食べに行く2人と2匹だった。
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