第146話 光とレティ

食事が終わり、お茶を飲みながらお喋りが始まったが、少し離れた場所でフェンリル化したレティをひかるがモフっている。2人ともとても幸せそうだ。


ひかるさんがレティを気に入ってくれたのは奇跡ね……。」

「レティがやらかす度に、オワタ………レティの恋、オワタ………と胃を痛めたのもじゃあ。」

ダイアナとカールが涙ぐむ。


「バイオレットは魅力的な美人ですから。淫魔の本能でひかるがバイオレットに惹かれるのも当然でしょう。

それにひかるは愛犬の藤壺ふじつぼちゃんを溺愛していたのですが藤壺ふじつぼちゃんを病気で亡くして、それはもう嘆き悲しみまして……バイオレットとの出会いを運命だと信じているのですよ。

子犬…失礼、子フェンリルだった頃のバイオレットに何度も会ったことがありますが、やんちゃで可愛かったですね。まだ子供のバイオレットに将来は自分の妻になるのだと言って聞かせて………子犬…失礼、幼い女の子を洗脳するような事はいけないと何度も注意したのですが……。

それに幼いバイオレットが訪ねてきたら、お家に送り届けるべきなのに匿うような真似をして…さぞかし心配だったでしょう。本当に申し訳なく思っています。」

朱雀すざくが申し訳なさそうに頭を下げる。


「ご迷惑をお掛けして謝罪するのはこちらの方じゃ!行方不明になった時は、間違いなく光さんのところじゃったし………。」

「私たちが心配したのは、光さんのところに行く途中で色々な人に迷惑を掛けていないかってことで……まあ、あちこちでやらかしていたのだけど……。」

カールとダイアナが恥ずかしそうに俯く。


「それもこれも光が唆したから……。」

「いやいや!レティが……。」

と大人達の大人なやりとりを余所に光とレティがイチャイチャ・モフモフしていた。


「エマちゃん眠いの?」

大人の会話に飽きたエマが欠伸をしたことにマリーが気づいた。

「今日は移動もあったし疲れただろう?あたし達は失礼しようか?」

唄子さんがエマの顔を覗き込む。

「あい。唄子ちゃんヒース君、おやすみなさい。」

「お邪魔しました、お鍋美味しかったよ。エマちゃん、うちにも遊びに来てね。」

「あい…ありがとうキース君、ちよ子ちゃん、朱雀おじちゃん。」

トロンと眠そうなエマがデイモンに抱かれながら手を振る。


—————— すざく おじちゃん だと!?

朱雀の目がカッと見開かれた。

—————— ………良い!すごく良いぞ!姪っ子というのは可愛いものだな。


お年玉に、ものすごく期待出来そうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る