第130話 エマ、初めて空気を読む
カールフェンリルとダモフェンリルの目が飛び出した。
「わあ!ふわふわです。」
「やっぱり可愛いわね!」
エマとダイアナが4匹のサモエドに囲まれ、モフりまくっていた。
最愛の人から離れやがれと念を送りつつギリリと睨むが、無邪気に尻尾を振るサモエド達は気づかない。
ヴラドのゴッドハンドは名残惜しいが、すぐさま起き上った。
「ダイちゃん!」
「エンマ!」
魔界ランド最強のフェンリル2頭が涙目だ。
「ダモ!みてください、ふわふわで可愛いです!」
エマが天然ぶりを発揮する。
「僕の方がふわふわで可愛いです!」
ダモフェンリルがお目々いっぱいに涙を溜めて主張する。
「えっと・・・ダモはフサフサだけど、そんなにふわふわじゃないです。」
エマは正直すぎた。
ガーンという文字を背負ったデイモンがこの世の終わりのような顔で崩れ落ちる。
「フワフワじゃないです…。フワフワじゃないです………」
壊れたレコードのようにつぶやいている。
あまりの展開にカールフェンリルとダイアナも黙る。
「ね!ダモもふわふわしてみたら、きっと好きになりますよ。」
—————— 好きになる訳がない。
床に伏せたダモフェンリルが涙でいっぱいの目でエマを見つめる。
「・・・ダモ?」
なぜ泣かれるのか意味の分からないエマ。
「エ、エマちゃん、デイモンさんの毛皮が一番好きでしょう?好きよね?ね!?」
「白いワンコたちも可愛いけど、一番はデイモンだろ?そうだろ?」
どうかYESと言ってくれとジジ&マリーの目が訴えている。
「も、もちろんです!」
さすがのエマもこの空気に違和感を感じたようだ。
今日、エマが生まれて初めて空気を読んだ。
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