第129話 目の前で浮気されるフェンリル

「でもジジ君とマリーちゃんが、こんなに寒がりだと雪遊びは難しいかなあ。その分、観光を楽しめばいいんだけど、僕としては雪と戯れる子猫って可愛いと思うから見てみたかったなあ。」

「かんべんなんだぜえ。」

「私たちの毛皮はデイモンさんみたいにフサフサじゃないから死んじゃう~。」

「ダモの毛皮がフサフサなのはダイちゃんに似たのですか?」

「そうだと思いますよ、母さんと僕の模様はシベリアンハスキーに似ていますので、この地方の血を引いていると丸わかりですね。」

「ダモは寒くないのですか?」

「寒さを感じない訳ではありませんが、寒さには強いと思いますよ。」

デイモンがプニプニの肉球でエマの頭を撫でる。


「そうだ!言い忘れていたけどヴラドも来るから!みんなに会いたがっていたんだよね。」

「ヴラドさんて誰ですか?」

「私とブラムの従兄弟なの。真っ白でモコモコの犬を4匹飼っているのよ。」

ぴくっ。

カールとデイモンの耳が警戒するように動いた。


「こんにちはー!お邪魔しまーす。」

「あら、噂をすれば!」

わっふ!わっふ!と犬たちの荒い息遣いが聞こえ、カールフェンリルとダモフェンリルがウロウロと歩き回る。


「久しぶり!カールさん!デイモン君!」

うわあ、可愛いなあ!と言いながらカールフェンリルとダモフェンリルをモフるヴラド。

ヴラドのゴッドハンドに骨抜きになるカールフェンリルとダモフェンリル。腹を晒してゴロリと横たわり、撫でられるがまま恍惚としている。

撫でられる気持ちよさに夢中で気づかなかった。


—————— エマやダイアナがヴラドの愛犬たちを撫でまわしていることに。

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