第123話 暖炉も楽しい でもセントラルヒーティングは…

「今日は冷えるわねえ!」

魔女の館でサマンサが暖炉に薪をくべる。

使い魔たちは寒がりが多いのかブルブルと震えながら火にあたっている。もちろんジジ&マリーも一緒だ。使い魔たちが身体を丸めて火にあたる後姿が可愛い。


「魔女の館は暖炉なんですね、エンマ絵本とかでしか見たことなかったです!」

魔界ランドはいろいろな種族が暮らしているから、種族ごとに違う暖房器具を利用しているはずよ、でも暖炉を使う家は多いんじゃないかしら。」

「天界では暖炉は使わないの?」

「天界には冬がありませんから!」

「・・・そういえば聞いたことあるわ。」

「春~夏(短い)~春・・の繰り返しだったかしら。」

「そうです、秋と冬がありません。エンマ、秋が好きになりました。みんなで焚き火してお芋を焼いたりして楽しいです!」

気に入ったのは秋なのか焼き芋なのか。


「昨日、じいじとダイちゃんが炬燵こたつを出してくれました、エンマ炬燵こたつも初めてです。」

「コタツって聞いたことはあるわ。」

「私の故郷の方では似たものがあるわ。コルシとかサンダリとか呼んでるわね。暖かいのよねえ。」

大多数の魔女は知らないようだがファティマの故郷に似たものがあるらしい。

「エンマ、とっても好きになりました。ジジ君とマリーちゃんは中に入って出てこないのですよ。」

「暖炉には暖炉の良さがあるのよ、じっくり煮込み料理をする時とかね。今日は暖炉でココアでも作りましょうね。」

わあ!

エマの顔に喜びが溢れる。


「さ、どうぞ。」

「ありがとうサマンサちゃん。」

「エマちゃんとジジとマリーにはマシュマロをどうぞ。」

アニーが浮かべてくれたマシュマロがココアの熱で溶けてゆくのが楽しい。

「ありがとう、アニーちゃん!」



今日はテオとニナの家にお泊り会だ。

「外は寒かっただろう、ミルクティーをどうぞ。」

「ありがとうテオ君。」

「エマちゃんのセーター、可愛いわね。」

「!」

エマが嬉しそうだ。

「これはダモが編んでくれたのです!お揃いでカーディガンとかもあります。」

「へえ、上手いのねえ。」

「あのね、デイモンさんは私たちにも編んでくれたの!」

「エマのセーターとお揃いのブランケットなんだぜ!」

ジジ&マリーも嬉しそうだ。

「やるわねえ!デイモン君。」

デイモンに好意的なニナとエマたちが盛り上がる。女子は恋バナが大好きなのだ。

「・・・・・・。」

良い話だがテオは面白くない。


「そういえばニナちゃんたちのお家は暖炉ですか?お部屋が暖かいです。」

「セントラルヒーティングだよ。この鉄のパネルの中にお湯が通る仕組みだそうだよ。」

やっとテオも参加できる話題だ。

ドヤ顔でセントラルヒーティングを指し示す。


パネルに洗濯物が掛けられていた。


炬燵こたつでアイスや暖炉で料理…など夢のある利用方法の真逆だった。

「・・・・・現実的ですね。」

「良いシステムだよね。」

さっと乾くんだよ、とテオは満足そうだ。

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