第117話 期待にこたえる唄子さん

「上手に描けているねえ!このエビフライなんて美味しそうじゃないか。」

「えへへ。」

唄子さんはエマの扱いも上手い。エビの尻尾を褒められてエマが嬉しそうだ。


「ねえ、唄ちゃん!」

「何を言いたいのか分かるよ。」

ワクワク顔のヒースに、やれやれ仕方ない顔の唄子さん。

「でも3人の好きなフライ全部を1皿にすると、さすがに多すぎるんじゃないかい?」

「そうなのです!エンマ、ダモやヒース君のミックスフライ定食も好きなんです。でも全部は無理です・・・。」

少食なエマとジジ&マリーのちびっ子組が項垂れる。

「フライが続くと胃に負担になるから、毎日フライにする訳にもいかないしねえ。」

ミックスフライ定食は食べたいが、ちびっ子の胃袋では受け止めきれない。

全部一度に食べられるとしたら、育ち盛りで食べ盛りなデイモンくらいだろう。


「うーん、じゃあ明日のお昼はフライにしようか、今夜はチキンカレーを仕込んでいるからね。」

二匹と3人から歓声があがる。

朝から仕込む唄子さんのチキンカレーは絶品なのだ。

デイモンは2回、おかわりした。



「ただいまです!」

いつものように飛んで帰ると、バルコニーでデイモンが抱き留めてくれた。

「おかえりなさい。」

「今日のお昼が楽しみでそわそわしちゃいました。」

ジジ&マリーも、うんうん頷く。

「僕もですよ。」


「おかえりー。」

ダイニングで唄子さんが待っていた。

「お腹空きました!」

「僕も!」

大皿にいろいろなフライがドーンと盛られていた。

「うわあ!」

二人と二匹から歓声があがる。

「まあ予測はついたと思うけど、全部を小さめに作ったから好きなものを食べられるだけ取ってね。」


エマにエビフライ、ジジ&マリーにはんぺんチーズフライとささみフライを取り分けた後、それぞれの好みのフライを小さくカットして取り分けるデイモン。

小さくカットしたので多くの種類を味わえる。もちろんカットした残りはデイモンが美味しくいただく。食べ盛りで育ちざかりのデイモンはペロリだ。

「ありがとうダモ!」

「デイモンさん優しい~。」

「俺もデイモンみたいな男になりたいんだぜ!」

「どういたしまして、かわいいミックスフライ定食になりましたね。」

「ダモのは特盛ですね!」

「ふふふペロリですよ。」

ヒレカツをとんかつソースでペロリ、エビフライにタルタルソース、アジフライにポン酢。味変しながら次々と平らげるデイモンが幸せそうだ。


「唄ちゃん、このハムカツ最高!」

山盛りキャベツとハムカツを美味しそうに食べるヒース。

みんなの喜ぶ顔をみて唄子さんも嬉しそうだ。



「じいじ・・・それ、美味しいのですか?」

カールがアジフライに麺つゆをかけて美味しそうに食べていた。

「私もこの組み合わせはどうかと思うんだけどカールはお気に入りなのよねえ。」

カールの組み合わせを批判しつつ、ダイアナはコロッケにスイートチリソースをかけていた。

「・・・・・・」

思わず無言になるダモエマとジジ&マリー。


「美味しいと思う組み合わせで食べるのが一番だよ。」

唄子さんの包容力が今日も半端なかった。

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