第90話 デイモンのリア獣な秋
「わあ、栗ご飯!」
秋らしい献立にエマが大喜びだ。
「秋だからね、メインは鮭のホイル焼きだよ、きのこ汁も良い出汁がでて美味しいよ。」
「秋の美味しいものがいっぱいですね!」
「今度良い秋刀魚が安く手に入ったら塩焼きにしようね、たっぷりの大根おろしと酢橘を添えてね。」
唄子さんは、お手頃価格にならないと買わない主義だ。
エマたちは秋の味覚を堪能した。
「お腹いっぱいです、美味しかったですね!」
食後のお茶を飲みながら、ご機嫌だ。
「エンマ、この間一緒に選んだ毛糸が届きましたよ。」
「みせてください!」
冬に備えてエマのセーターや手袋などを編むためにエマとデイモンの二人で選んだ毛糸が届いたのだ。
「わあ、綺麗ですね!」
天然繊維と天然染めにこだわったデイモンお気に入りの毛糸メーカーの毛糸だ。
「セーターとカーディガン、マフラーと手袋、お揃いでバッグも作りましょう。」
「わあ!ありがとうダモ!」
「デザインは、この間からエンマと一緒に考えたものですよ。」
ばさりとデザイン画を描いたクロッキーを広げる。
「まずはセーターから編みましょうね。」
ソファに座って編み物を始めるデイモンの背中に密着し、デイモンの両肩に両手を置き、肩に顎を乗せ、後ろから覗き込むスタイルだ。
エマに密着され、デイモンの尻尾がブンブン振られる。
エマと一緒に毛糸を選び、エマと一緒にデザインを考え、エマに密着されながら編み物をする。デイモンの秋は幸せの季節だ。
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