第81話 初めての学校

翌日、サタンに付き添われて登校し、さっそく授業に参加した。

「読み書きも計算も、よくできるのね!」

と、しっかり者な10歳のお姉さん、マギーが感心する。

「えへへ、ありがとう。」

「でも学校は始めてなんだって?」

やんちゃそうな8歳のテッドが質問する。

「はい、近くに学校がなかったのです。」

「僕はアンディー、マギーと同じく10歳。この子は妹のベス、6歳だから、エマより年下だね。」

「アンディーくん、ベスちゃん、エンマです。よろしくね。」

「俺はジェフ。5歳、ジェフって呼んでいいぜ。」

一番のチビは生意気そうだ。

エマの家が一番学校に近いらしく、全員でエマに道案内がてら一緒に下校することになり、仲良くお喋りしていた。


「あ!」

珍しいものだらけでキョロキョロしていたエマが石畳に足を取られて転んだ。

転んだ場所が石畳なので当然痛い。

「エマ!」

しっかり者のお姉さんマギー(10歳)や優しいお兄さんのアンディー(10歳)がエマに声を掛け、助け起こそうとする。


じわりと涙が溢れてくるが、ここにデイモンはいない。

いつもなら飛んできて抱き上げてくれるのに・・・突然独りぼっちにされたような心細さに襲われ、涙が溢れる。

「・・・うっ・・・ぐすっ・・・・。」

「なんだよ、すっげー泣き虫じゃん!」

生意気なジェフ(5歳)だった。

「こらジェフ!」

「俺だったら転んだくらいで泣かないぜ。」

優しいお兄さんのアンディー(10歳)がジェフを叱るが、ひるまない。


「大丈夫?」

おっとりな妹ベス(6歳)がエマに声をかける。

年下のくせに生意気なジェフに反発する気持ちと、自分よりも年下のベス(6歳)に気遣われたことで、なんとかギャン泣きをこらえる。

「・・・・・あい・・だいじょうぶでしゅ。」

全然大丈夫ではないが、ここはやせ我慢だ。


「痛そうだな、俺がおぶってやるぜ?」

「ぜんぜん・・・だいじょうぶですから・・。」

生意気なジェフ(5歳)の兄、テッド(8歳)の提案を退けるが、まったく大丈夫そうではないので皆、心配顔だ。

「・・・ほら、お家がすぐそこですから。」

あの家までなら我慢できる。


家の前でバイバイして家に入り・・・

「うわああああああん、ルーちゃん!痛いですーー!」

ギャン泣きした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る