第72話 リスのミミちゃん
「二人とも気を付けるのだぞ。」
「きのこや木の実を鑑定せずにお口にいれちゃだめよ!おやつまでに帰ってきなさいね。」
「はい、わかりました!」
「行ってきまーす!」
エマとデイモンがランチの後で裏山に出かけることになったのだ。
目的は”またたび”だ。
「俺、またたびって初めてなんだぜ。」
「わたしもよ。」
ジジとマリーが嬉しそうだ。
カールたちに教えられた、またたび自生地へタブレットのGPSを頼りに向かう。その途中でハーブやきのこ、木の実を採取する。
今回はきちんと鑑定して採取している。
エマ達が木の実を採取していると、藪の向こうから、ガッサ!ガッサ!と乱暴な音と気配が聞こえる。
「エンマ、僕の後ろへ。いざとなったらジジとマリーを抱いてお空に逃げてください。」
フェンリル化したデイモンがエマを庇うように立つ。
エマに見せたことがないフェンリルらしい険しい顔をしている。
ガサッ!
藪をかき分けて現れた生き物と険しい顔つきのデイモンの目が合った。
「きゃあーーーーーーー!!!!!」
現れたのは・・・リス獣人の幼女だった。
でっかい尻尾を抱いて丸くなり、ガクブルと震えている。
「あなたは、だあれ?」
「俺はジジ、この美猫は俺の番のマリー!向こうにいるのは俺たちの最愛の主のエマと、エマの番でフェンリルのデイモンな!」
ぴょこんと飛び出したのはジジとマリーだった。
ブルブルと震えながら顔をあげるリス獣人の幼女。
「小さいのね。」
「生後半年だからな、当分は子猫なんだぜ!」
「エンマはエンマ!お名前教えて?」
デイモンの隣に立つエマが羽をはばたかせながら声をかける。
初めて同じくらいの年の女の子に会って、エマの羽が興奮している。
「僕はデイモン、フェンリル族だよ。」
自己紹介しながら人型に戻り、エマと手を繋ぐ。14歳の美少年なデイモンは優しいお兄さんに見える。
「今日はジジとマリーのために“またたび”を探しに来たんだ。君は一人で山に入ったの?」
危ないよ、ご家族は?と、デイモンが優しく問いかける。
「・・・う、うわーーーん!」
リス幼女がギャン泣きだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます