第33話 はじめてのお使い

「エマ、今日はどこへ行くのだ?」

「城下町のヤスミン雑貨店です!」

「そこで何をするのだ?」

「ハーブを納品します!」

「うむ。100点だ!」

フギンとムニンが満足そうに頷く。

今日はエマの初めてのお使いだ。

もちろんフギンとムニンも同行する。


「俺も行くぞ。」

ファティマの腕に白銀の腕輪のように巻き付いていた白蛇のカバディールがしゅるりと解けて巨大化した。

「私も。」

火蜥蜴のサラがエマの肩に飛び乗る。サラはアビゲイルの使い魔だ。

「いってきまーす!」

大鴉2羽と巨大な白蛇と手のひらサイズの火蜥蜴をお供に元気よく魔女の館を飛び出した。

必要なものはすべてインベントリに収納してあるので手ぶらだ。


「ここですね!ごめんくださーい!」

「はあい、いらっしゃいませ。」

奥から頭にヘジャブを巻いたエキゾチックな美女が現れた。

「こんにちは!魔女の館からお届け物です。」

インベントリから取り出したハーブをカウンターに置く。

「あらあら、ありがとう。確認するわね・・・注文通りね、ありがとう。」

「ここにサインください!」

納品書の控えを渡してお使い完了だ。


「偉いぞ!エマ!!」

「うむ!よくやった!」

「ありがとう、フギン君、ムニン君」

フギンとムニンは感動してちょっと泣いていた。


「ちゃんと挨拶もできたな。」

「納品書の控えを渡すのを忘れなかったわね、偉いわ。」

「はい、カヴァディール君もサラちゃんも一緒に来てくれてありがとうです。」

はじめてのお使いを全うしたエマをお供の使い魔たちがもてはやす。


「魔女の館に帰るまでがお使いだ。」

「うむ、まだ気を抜いてはいけないぞ。」

感動をまき散らす使い魔たちをお供に歩いているとエマを呼ぶ声が聞こえた。

「エンマ、呼ばれたような気がします。」

通りの先を眺めながらつぶやくと使い魔たちも聞こえたという。

大鴉のフギンと巨大な白蛇のカヴァディールが先に行くと言い、ムニンとサラはエマの護衛だ。

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