第21話 モテないトリオのワンオペ育児

「3人とも、やつれてしまって…。」

子ケルベロスを連れ帰ったモテないトリオ。

翌朝、子ケルベロスを抱いて出勤したが、3人とも寝不足だった。


「昨日ミルクなどを購入して、陛下のアドバイス通りに世話をしたのです…。可愛いのですが、この生活に慣れるまでは大変そうですよ。」

「3~4時間おきにミルクを飲ませるのは大変ですね、飲み終わってもなかなか眠ってくれませんし…。モレクは元気ですね?」

寝不足の目をショボショボさせたイブリースとアルコンが答える横で、モレクがキラキラしていた。

「昨日、この子を連れて帰ったところ、可愛い妹のマルゴが夢中になりましてね、一緒に世話をしたのですよ!」

大人になっても妹離れできない兄をウザがっていた妹と、久々のふれあいにシスコンが浮かれていた。


「そ、そうか、ワンオペ育児はつらいのう…。サポートが必要ならば遠慮なく言うのだぞ。とりあえず、出勤したら保育施設に預けられるよう手配済じゃから、今日から預けられるぞ。子ケルベロスの生態は謎だが、保育士たちは皆ベテランじゃ。何かあればすぐに知らせてもらえるし、昼休みに会いに行くこともできるからの。」


魔王の宮殿には福利厚生として保育施設がある。天界同様に魔界ランドも滅多に子供が生まれないため、天界も魔界ランドもペットと共に生活する魔族は少なくない。

どちらの国でも、飼い主とペットにはしつけ教室に通うことが義務付けられており、一定時間以上放置すると虐待行為として罰せられるなど法整備もできている。

そのため魔王城にはペットのための保育施設があり、職員は無料で利用できるのだ。


「昼間は姉妹で一緒に過ごせるから安心するのだぞ。」

子ケルベロスたちの頭を撫でる陛下の顔はニコニコだ。

「手続きありがとうございます。それでは少し失礼して預けてまいりますね。」

「急いで戻らなくても良いぞ。知らない場所に置いてゆかれたら不安であろうし、子ケルベロス達の様子をみながら、育て方について相談しておいで。」

なんだかんだ要領の良い3人は、至れり尽くせりな魔界の制度をめいっぱい利用し子育てと仕事を両立させることになる。


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