第101話 地下祭壇での戦い
地下祭壇に潜んでいたヒドラは、巨大な部屋を埋めつくさんの大きさだった。
立ちはだかる巨大なヒドラを見て、ラサラが嬉しそうに微笑んだ。
「あぁ、バイシェ、お久しぶりです」
「……このヒドラが?」
「はい、バイシェの成れの果てです。魔力炉を暴走させて、魔物化してしまったんですね。
人間が魔物へと
こいつはバイシェだ。間違いない。
「サティ、お前にも分かるか」
「たぶんね。分析には少し時間はかかるけれど、9割間違いない」
サティが
殺気を
このバイシェの考えることは1つ。俺たちの
「ラサラ、説得は出来そうか」
「無理ですね。さすがにこうなってしまっては私の声は届きません。催眠魔法でもあれば別ですが、あなたたちの戦いで片目を動かすのがやっとです」
ラサラは残念そうに言った。
「説得は無理……か」
「考えている間はないぞ、アンク」
サティが注意を
ヒドラの頭の1つが雄叫びをあげながら、俺たちに向かって突撃してきていた。口の中は先が見えないほど深い
「オオオオオオ゛!!!!」
「みんな
突撃してきたヒドラの頭をイメージの箱で包む。突撃の威力を抑えて、皆が逃げる余地を作る。
「……ちっ」
展開した魔法は3秒と
魔力量が違いすぎて、イメージの箱がすぐに破られていく。巨体だけではない、魔法耐性も
わずかながら止まった時間で、それぞれ部屋の中の方へと散っていった。
一箇所に固まっていれば、
「ラサラ、俺と来い!」
負傷しているラサラを抱えて、左方に回って敵の攻撃をかわす。
魔法が切れた瞬間に、地面とヒドラが激突する音が響き、床にしかれていた石畳がひっくり返った。
「すげぇな……」
「もともと彼の魔法が『
なんとか敵の攻撃をかわして、後方へ逃れる。紙のように軽いラサラの身体を落としてしまいそうで、一瞬ヒヤリとした。
「それにしても……おまえ……」
「何ですか?」
「……なんでもない」
彼女の身体から目をそらす。
ラサラの身体はガリガリにやせ細っていて、持っているという感覚が無かった。危うく落としてしまいそうになるほど、彼女の身体は軽かった。
以前、レイナを抱えた時を思い出してしまった。
「しっかり
「ありがとうございます。すいません、掴めるほどの肉がないのです。お礼に胸の1つでも
「……しっかり掴まってろよ」
冗談を言っている間にも、次の攻撃は迫ってきている。
確認できたヒドラの頭は7本。それぞれが独立して動いていて、俺たちを攻撃しようと素早いスピードで襲い掛かってきている。
遠くの方で雷鳴が轟き、地面を砕く音が聞こえているから、ナツとパトレシアもそれぞれで交戦しているようだ。
「散らばったのは悪手だったのかもしれないな……
「あら、せっかく大英雄の戦いが間近で見られると思いましたのに、何かとっておきがあるのではないですか?」
「残念ながら、俺が使える魔法は2つだけだ」
どちらも敵を攻撃するのではなく、捕えるためにしか使えない魔法だ。でかい生物を固定するには、それ相応の魔力を引っ張り出さなければいけないし、逃げ場のない部屋の中では不可能だ。
ラサラをかばいながら、2つの頭を相手取る。固定魔法のおかげで、逃げる隙はあるが、
そんな余裕はない。このままではジリ貧だ。
活路があるとしたら、懐に飛び込んだあいつに頼るしかない。
「天の魔法、
舞い上がる砂埃の中から、光の
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