第81話 看病三銃士(リタ)


 病室の入り口を開けて、勢いよく入ってきたのはリタだった。ぴったりとしたナース服にこんがりと焼けた肌は、初めて見る組み合わせだったが、意外と心に刺さった。普通に見惚れてしまう。


 リタは俺の顔を見るなり、慌てた様子で叫んだ。


「アンク!? 大丈夫か!? 『ナース服姿の女の子と看病ごっこをしながら密着していないと死んじゃう病気』って聞いて走ってきた!」


「それはもういい」


「はっはっはっ、知ってる。みんなやってるらしいから、私も来てみた」


 おかしそうに笑って、リタはさっそく俺の上にまたがってきた。


「大方、魔力が枯渇こかつしちゃったんだろ。ほら、私のを分けてやるよ。いやらしいことをしながらな!」


「そこは強調するな……! とりあえず鎖を解いてくれないか!」


「やだ」


 首を横に振ったリタは、すっと唇を押し付けてきた。ねっとりとした舌が、いきなり口腔の中へ入ってくる。

 リタの口の中は熱く、果実のような芳醇こうこつな甘みさえ感じた。思わず恍惚こうこつとなる量の魔力が入ってくるのが分かった。


 リタの吐息が口の中へと静かに吐き出される。


「ん……」


 しばらくそのまま、互いの舌をもてあそんだ。時に絡み合いながら、濃密に、舌と舌を触れ合わせていると、身体が弛緩しかんしていくのを感じた。


「なにか……いれただろ」


「精力剤みたいなもの。2連戦で疲れているかなぁと思って」


「……身体が……あつい」


「効いてきた、効いてきた」


 嬉しそうに笑いながら、リタは首元から俺の服を外していった。彼女長い髪が、俺の胸にかかる。それがこそばゆく、心地良く思えた。


 胸の方から、下腹部の魔力炉の方まで、彼女は舌を使って舐めていった。アイスクリームでも舐めるみたいに、彼女の舌は俺の身体の上を滑っていた。


「あ……つ」


「ふふ、気持ち良いでしょ?」


「く……そ。道具を使うなんて卑怯だぞ」


「そんなこと言われてもねー。ほら、魔力炉がすごくたぎっている。熱くて、今にも暴発しそう」


 俺の魔力炉をリタはくすぐるように動かした。リタからの魔力が流れ込んでくるのが分かった。沸騰ふっとうしたように自分の身体が興奮している。


 あつい、あつい。

 どくん、どくんという心臓の音が脳の奥まで響くように大きく聞こえている。


 服をはだけさせたリタは指を動かしながら、俺の身体にぴったりと身体をくっつけた。耳を俺の心臓の上にぴたりとつけると、目を閉じた。


「すごい。やっぱりあんたは生きているんだね」


「何を……言っているんだ」


「生命力に溢れているってこと。ほら、膨れ上がった魔力が弾けて……」


 魔力炉の方へと顔を動かしたリタは、その部分を静かに舐めた。


 過剰な魔力供給を受けて、俺の身体は限界だった。

 彼女の舌から一筋の唾液が出ると、膨れ上がった白い魔力がパチンと、水風船が弾けるように飛び散った。


 どろりとした液体上に変化した魔力がリタの肌にかかる。


「さすが……大英雄。すごい魔力だね。まだ渦巻いているみたい。ねぇ、解いてあげるよ」


 服の胸ポケットから鍵を取り出すと、リタは俺を縛っていた鎖を解いた。鉄の鎖が床にぶつかると、ガシャンという大きな音が鳴った。


「来て……」


 ベッドの上に寝転んだリタは、俺を迎え入れるように手を伸ばした。


 主導されるのは柄じゃなかったが、これ以上どうすることも出来なかった。リタの上に覆いかぶさって、彼女の服をむいた。


 むき出しになった魔力炉を舐めると、リタは子うさぎのように甲高い声で鳴いた。


「ひゃん……!」


「お」


「や、ば。この精力剤、つよ……すぎ。私も……ちょっとしか飲んでないのに……」


 この姉妹はこういう抜けているところがある。

 今がチャンス。遠慮なく彼女の肌を貪るように、いじりつくす。


「やっ……あ、ん」


 俺が指で撫でるだけで面白いようにリタはあえいだ。身体を熱くして、悔しそうに涙目になりながら、リタは叫んだ。


「し、失敗した……! こんなはずじゃなかったのに」


「もう遅い。徹底的にやってやるからな」


「きゃあ。そ、そんなところ、舐めないで……!」


 彼女の魔力炉に触れると、リタは身体をよがらせて言った。肌からは汗が滲んでいて、それがぷっくりと膨らんだ乳首を流れていた。

 

 真っ白いシーツの上でリタは、何度も身体を動かし喘いだ。もはや俺の責めに対して、何の抵抗も出来ていなかった。


「あっ……あぁ……!」


 下腹部にあるリタの魔力炉からは湧き出す魔力はますます膨らんでいった。溢れだす魔力は眩いくらいの緑色で、初夏の新緑よりも綺麗に照っていた。


 お腹をくすぐると、シーツを力強くつかんでリタは喉の奥で鳴いた


「……やだっ、もうだめっ」


「すごい、かわいいな」


「ばかっ……!」


 リタは目に涙をいっぱいに貯めて、俺のことをにらんだ。だが、下腹部を舐めるとすぐに仰向けになって息を荒げていた。


 精力剤の効果は恐ろしかった。

 下腹部から漏れ出す魔力は、あたり一面を緑のモヤで包むほどに大量に発せられていた。


「うぅっ、あぁっ……!」


 そこに自分の魔力炉を重ね合わせると、リタは大きく息をはいた。ベッドに横たわっていたリタは、手を伸ばし俺の身体を強く抱きしめた。


「お願い……私、もう……」


 下腹部を重ね合わせると、互いの魔力がせきを切ったように流れ込んできた。奔流し合う2つの魔力は、電球のように発光し熱くなっていた。


 予想以上の快感を、一身に感じる。あまりに気持ちよくて、心地の良い快楽の奔流に身を委ねる。


「あっ、あぁっ……!」


 やがてリタの緑の魔力が弾ける。同時に俺の白い魔力も弾け飛んで、ポタポタと液体状になって2人の身体を濡らしていく。


 リタは湧き出した魔力を一身に受けて、ぐったりとしながらベッドに横たわっていた。


「はぁ、はぁ……」


 疲れ切った彼女は褐色の身体を、ベッドに横たえた。恍惚こうこつとした表情で仰向けになったリタは、しばらく起き上がることが出来無かった。


 

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