第307話 賢者と九尾の母娘

 

 次の日、ヨウコがやってきた。


「我は多少、激しくされても大丈夫なのじゃ!」


 俺の部屋に来て早々、彼女がそう宣言した。

 ヨウコもメルディやエルミアから、色々と聞かされていたそうだ。


 ほかの妻と違うのは、ヨウコがそれを楽しみにしてるってこと。


 激しいのをお望みなら、シてあげよう。

 ちなみに多少って、どこまで?


 通常魔法の分身と、神属性魔法の分身の合わせ技とか、やってもいいかな?


 昨日、マイとメイと、神属性魔法の分身ふたりでヤッたのは、かなり凄かった。


 ふたり分の快楽が、同時にくるのはヤバい。



 でも今日の相手は、ヨウコひとりだ。


 さすがに神属性魔法の分身を使った二対一は、止めておこう。


 そのうちそーゆーのもヤッてみたいけど、最初からはマズいよね?


「激しく……か。なら、これは?」


 通常魔法の分身を、二体作ってみた。


「ま、まさか──」


「「「三人で相手してあげる」」」


 さすがのヨウコも、少しひいていた。


「え、えっと……初めては、その、主様ひとりがいいのじゃが──」


「大丈夫。するのは、俺だけ」


 そう言って俺は、狼狽えるヨウコを抱き上げベッドに運ぶ。


「「俺たちは、ヨウコを気持ち良くさせるサポートだけだから」」


 ベッドにヨウコを寝させると、分身二体が逃げ場をなくすように、ヨウコの両サイドにやってきた。


 ちなみにこの分身たちは、俺と同じように読心術が使える。


 他者を洗脳する能力を持った九尾狐のヨウコは、読心術ってスキルに耐性を持つけど、俺の読心術はスキルじゃない。


 だから九尾狐を相手にしても、効果がある。


 どこがいいか、どうしてほしいか。

 ヨウコの思考が、手に取るようにわかる。


「まっ、待つのじゃ! むり、むりじゃ!! 三人同時は──」



 三人がかりで、ヨウコが身動きできなくなるまで相手した。



 ──***──


わらわは、ハルト様おひとりでお相手していただきたいのです。よろしいですね?」


 翌日、キキョウが俺の部屋に来て開口一番で、分身を使うなと言ってきた。


「あの子、今日は食事当番なのに、ハルト様のせいで未だに起き上がれなくなっております。そのせいでわらわは、食事当番をひとりでやらねばなりませんでした」


 ちょっと言葉に、トゲがあった。

 キキョウは、料理があまり得意ではない。


「でも今日の晩御飯、おいしかったよ」


「まぁ! 本当ですか!?」


「うん」


「ありがとうございます! これからも、がんばりますね」


 ふははは、チョロいな。


「ハルト様。今、わらわのことを、チョロいと?」


 おっと、キキョウはデフォルトで他人の思考が読めるのを忘れていた。


「ごめんね。でも、晩御飯がおいしかったのはほんとだよ」


 おいしかったよ。

 お肉が、ちょっと焦げてたけど。


「……いいでしょう。今後はもっと腕を上げてハルト様を、わらわの食事の虜にしてみせます」


 ほう。それは楽しみだ。


 ティナの料理で舌の肥えた俺を楽しませられるよう、是非とも頑張ってほしい。



「それじゃ、寝ようか」


 ベッドにキキョウを誘う。


「…………」


「どうしたの?」


「ハルト様。わらわはやはり、貴方様と子は成せません」


「……ヨウコの、お父さんがいるから?」


「はい」


「それならそれでいいよ」


 二百年経っているが、いざそういうことをしようとしたら、気が引けてしまったらしい。


 数万年の時を生きる九尾狐のキキョウにとって、二百年はそこまで長い期間ではない。


「どうする? いつもみたいに、一緒に寝るのもやめとく?」


「それはします!!」


 キキョウが、ベッドに飛びこんできた。


 彼女が一緒に寝る日は、朝まで俺に抱きついて、吸えるだけ俺の魔力を吸っていく。



「邪神の所へいくのですよね? なにがあるかわかりません。ですから──」


「うん。できるだけ魔力をあげとくね。キキョウが吸うのと、俺が送り込むの。どっちがいい?」


 キキョウが俺の魔力を吸うと、彼女の魔力量の限界までしか魔力が入らない。


 しかし彼女は、この世界最強クラスの魔族である九尾狐だ。


 俺が強引に送り込めば、その限界を超えて魔力を受け入れることができる。


わらわは、その……ハルト様に、入れていただきたい、です」


 顔を真っ赤にしながら、そう訴えてきた。


 ヤバい。


 ちょっとキキョウを、襲いたくなった。


 おちつけ。

 俺のハルトよ、鎮まれ。鎮まるのだ。


「ハ、ハルト様。大丈夫ですか?」


 大丈夫じゃ、ない。


「え、えっと。その──」


 だいたいキキョウは、子がいるなんて思えないくらい美人すぎるんだよ。


「ひゃ、ひゃう!?」


 我慢できなくなったので、全力でキキョウを抱きしめ、彼女に魔力を送り込み始めた。


 あー。

 もしかして俺、キキョウに魅了されてる?


「そ、そんな!? わらわの魔法は、ハルト様には効かないはず」


 でも、現にこうしてキキョウがいつもより魅力的に見えてるし。


わらわは、本当になにも──」


 まぁ、実を言うと、今日まで毎日みんなと寝てきて、突然お預けくらって、我慢できるか!


 ──って、ことなんだよね。


「それでは。ま、まさか!?」


「あっ。それは、大丈夫。嫌がってるキキョウを、無理やり襲うことはしないから」


 襲いはしない。

 でも少し、発散を手伝ってもらおう。


 魔力って、一度に大量に放出すると、なかなか爽快感がある。ちょっと、男のアレに近い。


 そして俺の腕の中には、膨大な魔力を受け入れられる器がいる。


 ちなみに俺の言う『大量』って、百万単位なんだけど。


「む、ムリです! ハルト様、その量は──」


 大丈夫、大丈夫。

 イケるって!


「ひっ!? う、うそ……やめっ──」



 その後、朝までかけて何度も、百万の魔力をキキョウの中に注ぎ込んだ。

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