第305話 賢者と王女と異世界人

 

 ティナの説得はなんとかなった。


 今晩からは、残りの妻たちの説得だ。

 しばらく、ティナとは寝ない。


 ティナ以外の妻たちの番。

 彼女がそうしていいと、言ってくれた。


 そうしたわけで、まずは──



「こんばんは、ハルトさん」


 二番目に、俺の妻になったリファが来た。

 いつも寝にくる時より、だいぶ薄着。


 ティナから少し、事情を聞いているようだ。


「寒いでしょ。早くおいで」

「はっ、はい!」


 リファが、勢いよく布団に潜り込んできた。


「ティナから聞いてると思うけど俺は、邪神の所に行ってみようと思ってる」


「はい。ティナ様からお聞きしました。神界に行くとなると、私は恐らく足手まといになってしまいます。ですからここで、ハルトさんやティナ様のお帰りをお待ちしておりますね」


「わかった。リファ、ありがとな」


「いえ。それより……」


 リファが、俺の身体に手を伸ばす。


「そ、その……ハルトさんが、シてくださると」


 ティナ、そこまで話しちゃったのか。


 でも、既に知ってるなら、ティナだけってのはダメだよね?


「いいけど……リファも子ども、ほしいの?」


「ほしいです。でも、今回じゃなくていいです」


「ん?」


 どうやらリファも、ティナと同じく好きな時に子を成しやすくする魔法を修得したが、今日はそれを使ってないという。


「ティナ様が妊娠されたら、その間の家事はほかの誰かがやらなくちゃいけません。私は、ティナ様が落ち着いた後で大丈夫です」


 いろいろと考えてくれてるんだな。


「子を成すつもりは、まだありません。ですが……れ、練習は必要だと思います」


 自分で言ってて、恥ずかしかったのだろう。

 俺に見られないように、顔を俺の胸に埋めてきた。


 実はティナ以外とは、そーゆーことをまだしたことはない。


 ティナと最後までシてからって、決めていたから。


「わかった。練習ね」

「や、やさしくしてください」


 普段は活発で強気なリファが、ちょっと涙目になっていた。


「うん。できるだけ、やさしくする」


 俺は二回目だ。


 昨日は気持ちよすぎて、途中から暴走しかけたけど、今日は大丈夫。


 ……だと、思う。




 ──***──



 ダメだった。


 気持ち良すぎる。

 あと、声を我慢してるリファが可愛い。


 終始優しくするとか、無理だった。


 その結果──



「ハルト。ルナを泣かせたら、顔面引っ掻くからにゃ!」


 リファと寝た次の晩、メルディとルナが一緒にやってきたのだけど、リファが昨晩のことを伝えていたようで、メルディにすごく警戒されてしまうこととなった。


 本当ならメルディの番だったのだが、彼女は俺と初めてする時、ルナと一緒にやると約束していたらしい。


 だから、ルナとふたりでやってきた。


 まだ三回目なのに俺、ふたりを相手にして上手くできるのだろうか?


 ちなみに獣人族は発情期があるので、魔法に頼らなくてもいいらしい。


 逆に魔法を使った後の影響がどうなるかわからないので、メルディは魔法を使わないと言っていた。


「できるだけ優しくするよ」


 引っ掻かれたくないからな。


「で、どっちからする?」


「メルディさんで!」

「──にゃ!?」


 ルナが即答し、メルディが驚いていた。

 打ち合わせとかは、してないようだ。


「ル、ルナ……なんでにゃ?」


 まるで裏切られたと言わんばかりの表情で、ルナを見るメルディ。


「本当なら、今日はメルディさんの番です。私はただの付き添い。ですからまずは、メルディさんをどうぞ!」


 ルナがメルディの背中を押し、俺の方につれてくる。


 実はルナって結構、夜の活動に前向きだったりする。一方でメルディの方が、普段とは正反対の大人しい感じになってしまう。


「ハ、ハルト……ルナが最初の方が、よくないかにゃ?」


「大丈夫。ほら、おいで。メルディ」

「にゃ!?」


 ちょっと強引に、ベッドに引き摺りこんだ。


「メルディさん、私がついてますよ。ずっとここにいますからね」


 ルナが、メルディの手を握って励ます。

 メルディの方が、今にも泣きそうだった。


「ルナ。メルディを気持ちよくするの、手伝ってくれる?」


「もちろんです!」


 創世記に書かれたという魔導書を、ルナはほぼ丸暗記している。


 この世界の森羅万象が網羅されている魔導書が、俺の味方になったのだ。


「えっ──ちょ、ちょっと待つにゃ。ふたりでするのはズルいにゃ! ル、ルナ。手を離すにゃ!! ダメにゃ、そこ、あっ、ヤバっ──」


 ルナ魔導書は、猫系獣人娘の弱点をピンポイントで押さえていた。


 その結果──



「ふにゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」


 メルディの嬌声が、俺の部屋に響き渡った。

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