SS この世界を諦めない(リズ)
平行世界へと戻って来たリズは、己の目の前……そこに居並ぶ勇者パーティとエキストラを見つめる。
「ほんと無理ゲーにも程がある状況だけど、やってやれない事はないんだから。気張って行くわよ」
言葉を聞く面々の内訳は、ユリカとネージュ、そしてラクシャータとセリア。
後者二名は、しばらく連絡が取れなかったので死んでしまったのかと思っていたが、平行世界に帰還してから一週間、無事に根城にしている地下施設に戻って来たのだ。
「そうねぇ。ネル君もまだ完全に魔王に乗っ取られてるわけじゃないみたいだしぃ」
「意識あった。私達の事、トドメ刺さなかったから」
セリアとラクシャータは五体満足でちゃんと生存して、リズの前に立っている。
帰って来る前の出来事から考えて、一時はそのネルに殺されてしまったとばかりにリズは思っていただけに、再会の喜びは大きかった。
リズは、そこにいる者達へ言葉を続ける。
「作戦はこうよ、ネージュを中心にネルを抑え込む。そして隙を見て、対魔王兵器をぶち込む。どう? シンプルで良いでしょう」
「シンプルでいいと言いますか、それしか思いつかなかったと言いますか」
説明する言葉に情けなさそうに応えるのはユリカだ。
「何よ。仕方ないじゃない。それしか方法が本当にないんだから」
リズ達は今、再び魔王討伐に赴くための作戦会議をしている。
終わりかけの見本のような世界だが、リズは自分達が生きてきた世界を無かった事はせずに、あえて不確定な未来を掴む道を選びとった。
人生にやり直しはない。
例えそんな事が出来たとしても、リズは断っただろう。
もし、やり直してしまえば、そこまで歩いてきたすべてを犠牲にしてしまう。
だから、リズはこの絶望的な状況を覆そうとする事に力を注ぐのだった。
「きっと、あいつも同じ事を思ってるはず。だから……、もうちょっとだけ気張んなさいよ。絶対に助けるから」
リズはどこかにいるこの世界のネルへと言葉をかける。
悲しい事も辛い事もあった。
けれど楽しい事も嬉しい事もあった、この世界を失くしたくはないから、と。
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