東雲の空で猫と飛ぶ
浮蕾 秋華
第1話
【東雲色】
東雲色(しののめいろ)とは、夜が明け始めるころ太陽で白み始める東の空を思わせる明るい黄赤色のことです。
飼い猫が溺れて死んだ。
あれは去年の年末年始、母方の実家に帰省する際に飼い猫の飲み水として浴槽に水を張って出かけた。
我が家の猫、ナギはふろ場が大好きで浴槽の水を飲むこともしばしばあった。冬場には、暖かい寝床を求めて湯を張った浴槽の蓋の上で寝ている姿をよく見たものだった。
そんな飼い猫が帰省から自宅に戻るとふろ場に浮いていた。私が生まれて13年間、ずっと一緒に過ごしたナギだったが、悲しさは無く、かわりにナギがいないことへの虚しさ、溺れ死んだことへの呆れからすごくモヤモヤしたまま学校は三学期へと入っていった。
なぜ急にこんな話をし始めたかというと、先日スマホをいじっている時に「野生の猫は普通に泳げる」という写真付きの記事を見つけたことがきっかけだった。その記事を見つけた瞬間、深夜2時にも関わらず私はは
「あの子が溺れたのデブだったからじゃん」
と叫んでしまい、その後親に1時間も説教をくらった。(そんなヒマあるなら寝ればいいのに、、、)
その夜は久しぶりにナギの夢を見た。昔のように隣の家の犬と睨み合いをしながらも、最後には一目散に逃げていく姿がなんとも微笑ましかった。
東雲の空で猫と飛ぶ 浮蕾 秋華 @fly_lock613
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