文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
異世界転移すると女子力が低下するのだろうか? ……って、前にも一度言ったことがある気がするけど気のせいじゃないよね!?
異世界転移すると女子力が低下するのだろうか? ……って、前にも一度言ったことがある気がするけど気のせいじゃないよね!?
異世界生活百五十八日目 場所ミンティス教国、聖都、新神殿宮
「とりあえず、俺が聞きたいのはお前達に地球に帰る意思があるのか、そしてその過程で一度死ぬ覚悟があるかの二つだ。正直、今この場で地球に帰還すること自体は可能だが、そうなると神界規定への抵触やら物理法則への過剰な干渉やらで割と厄介な状況になる。そこで俺は神界の神々……まあ、具体的にいうとオレガノさんだけど、彼女と後は老害に交渉を持ちかけて俺達の地球転生への協力を取り付けた。必要なピースはまだ揃っていないが、ほぼ間違いなく俺達は異世界転移した瞬間に戻ることが可能だ。それに、地球転生の過程で因果にも多少干渉することになるから、性別とか見た目とかはリメイク可能……まあ、望むなら自分で第二の自分をキャラメイクできるって感じだな。
旅は地球に帰還するまで。そこから先は各々自分の生活に戻る。
白崎達の吊り橋効果とやらも地球に帰れば終わるだろうし、またいつもの生活に戻るだけだ。
たまに高校に通って、それ以外は家と大学と大学図書館の往復で、時々教授方に自身の研究の雑用として連れ回されながら新しいものを学んだり、貴重な資料に触れたり……そんな楽しい日常に戻る。
この旅はそれまでのもの。……まあ、旅が終わってからどうしろとか言う権利はないってことだ。そっからは各々の勝手にすればいい訳だし、あの異世界転移自体が無かった訳だから再び協力体制を築く必要は無くなる。
「じゃあ、一人ずつ意見を聞かせてもらおうか? 戻るか戻らないか……まあ、心を覗いている訳だから誰がどうしたいかは分かっているけど」
「……地球に帰還するまでは協力してやる。だが、お前と白崎さんの関係を認めた訳じゃないからな」
「……いや、白崎さんとの関係って何? まあ、少なくともお前の考えているような関係ではないな。……それより、いいのか? お前は随分と白崎さんに熱を上げているようだが、お前を慕っている人が近くにいることに気づいていないんだろ? 本当に可哀想だ……可哀想なのか? お前ら四人に関しては全員向いている方向が違うし、一概に誰かを否定するのは無理だわ。じゃ、お次はそんな白崎さんLOVEな春彦だっけ? コイツにお熱を上げている葦屋浦雫さん?」
「…….な、なんでバラすんだ!」
「いや、焦れったいもので。行動を起こさずに悶々としたまま結局空中分解で四人離れ離れになるのは辛いものだろ? まあ、アクシデントだと思ってさ」
「……雫、そうなのか? 俺のことを……」
「もう、アクシデントというよりただの悪意にしか思えないんだが。私もできるのなら地球に帰還したい。……ただ一度死ななければならないっていうのが」
「いや、それくらい覚悟を決めろよ。死ぬことに怯えているようじゃ、少なくとも今の俺にすら勝てない。あらゆる生物の限界を超えた
「勿論地球に帰りたい!! ……しかし、随分と舐めてくれるな。江戸時代から続く葦屋浦流を」
「まあ、その辺りは後で模擬戦なんかをしてじっくりと味わってもらうとして。お次はそんな雫さんのことが好きな宍戸烈君?」
「…………えっ、そうだったの」
「……こうなったら仕方ない。雫さん、俺は貴女のことが好きです」
あっ……開き直って告っちゃったよ。何このパターン。
「あ、ありがとう……ごめんなさい、整理がつかないから一度考えさせてもらえないかしら?」
「甘々な空気醸しているところ失礼します。で、地球に帰りたい?」
「それは勿論。帰ることができるのなら、こんな世界とっととおさらばしたい」
「では、お次はそんな宍戸君のことが大好きだけど、幼馴染の枠に拘って恋心を隠してきた天宮日奈子さん」
「…………えっ」
「……折角隠してきたのになんでバラしちゃうのよ!!」
「いや、この程度で空中分解するのならその程度の関係でしょう? 一度互いに事実を認識してから熱き青春? の恋バトルを繰り広げればいいと思うし、本当の友達ならそれでも友達のままで居られると思うよ? で、どうするの? 帰還するの? このまま異世界に留まるの?」
「それは、勿論地球に帰れるのなら帰りたいよ!!」
ということで、現状の帰還希望者四名。まだまだ増えるのかな? 面倒だな……。
「お次は人気アイドルらしい夢咲莉乃さん? いや、知らないけど。ただ記憶を辿った感じだとかなり努力をしてきているみたいだし。ちょっと好感は持てるかな? 何かの目標に向かって努力する人にならどんな協力でも俺のできる範囲ならしたい。そうやって基礎的なことを教えた連中は何故か鳶が鷹を生んで全員遥か彼方に行ってしまった」
「……聞いている限りだと貴方より強くなったお弟子さんはいないと思うよ。……そうね、私もできるのなら……いえ、絶対に地球に帰る! 私のことを待っているファンのみんながいるから!!」
「うん、模範解答。聞くまでないけど自己評価低めの自称マネージャーさんはどこまでも莉乃さんについていくんだよね? ……ちなみに、莉乃さんの評価の中では貴女が思っているような醜女ではないし、磨けば光るのにと思っているみたいだよ? それに、『私のことよりも自分のことを大事に生きて欲しい』って思っているみたいだし……さっきの四人組もそうだけど、つくづくすれ違っているな、お前ら。少しは他人の気持ちを考えたらどう?」
「……草子君、草子君。ブーメランって帰ってくるのよ?」
「いや、それなら聖さん達も少しは俺の気持ちを考えてもらいたい。……全く感情ってのは難しいものだよね」
人が自分の研究をしようってタイミングで邪魔をしてきたり、デートを強要して散財させる連中……まあ、金は魔法薬の売却とかで稼げているし、問題ないんだけどさ。
「……莉乃さん」
「そうね……ずっと言わないといけないと思っていた。今までありがとう……でも、もういいよ。瑞希さんには今まで迷惑を掛け続けた……私がアイドルになりたいって言ったら全力でサポートしてくれて……私があの世界でアイドルとしてやってこられたのは私の隣で瑞希さんがずっと一緒に戦ってくれたから。……でも、これからは自分のために生きたって」
「莉乃さん……私は好きで莉乃さんのマネージャーをやっているんです。貴女と一緒にならどこまでも一緒に行けるって、こんな私でも莉乃さんの夢のために力になれるって、そう思ったから莉乃さんと一緒に歩んできた……そのつもりです。莉乃さん、私はもう用済みですか?」
「そんなことないわ! 私も、瑞希さんが居てくれたからここまで来ることができた。……でも、マネージャー業はもうやめてもらおうかな? 地球に帰ったら今度は二人でアイドルの天辺を目指すわよ!!」
「わ、私なんかが……醜女の私が」
「って言っている奴ほど実は磨くと光るんだよね。……ってどこのプロデューサーさん?」
「草子君、【身嗜み技理】を瑞希さんに使うことってできないかしら?」
「それなら同じのを持っている草子君がやった方がいいと思うけど。女子同士なんだしさ」
「……そもそも、アタシ達がするよりも草子君がした方が上手だし、アタシ達の普段のメイクも草子君にお願いしたいのだけど」
「自分達の身だしなみくらい自分で整えなさい」
「……あい」
なんだろう? いつから女子力を失ってずぼらになってしまったのだろうか? あれか? 異世界転移してからか? 異世界転移してからだよな!? やはり、異世界転移すると女子力が低下するのだろうか?
「まあ、その辺りは【身嗜み技理】を持っている同性の方々にお願いするとして……莉乃のファンクラブ会員ナンバー一番の堰澤兵悟君、莉乃のファンクラブ会員ナンバー二番の吉祥寺寛也君両名は勿論帰還組だよな。聞くまでないよな」
「「勿論、莉乃様と共にどこまでも!!」」
「……うん、完全に負んぶに抱っこだ。まあ、一人帰るのもみんなで帰るのもほとんど変わらないんだけどさ」
これで八人……試しに聞いてみたが、全くと言っていいほどこの世界に未練ないんだね。
「瀧野瀬芽依さん、氷鏡将輝さん、南雲麻衣子さんの図書委員組は?」
「……私達も同行させてくれないかしら? それがこの世界から地球に帰るための唯一の選択肢みたいだし」
「この場で一番頼りになりそうなのは、草子君だからな。俺からもお願いしたい」
「これで地球に帰れそうね。良かったわ」
うん、聞くまで無かった。即答で三人追加……マジでこのまま全員とかだったらシャレになんねえぞ! どんだけ強化しないといけないんだ。
「姫川秋桜君? さん? と氷岡麗緒さん? 君? のカップルは?」
「勿論、帰還できるのなら連れて行ってもらいたいよ」
「それに、僕達が本当の性別になれるのなら、偽って暮らす必要がなくなる訳だし、怪我の功名ということだね」
この二人は一ノ瀬以上に【性転換】が必要そうだからな。女装男子と男装女子……それが趣味ではなくgender dysphoriaで体と心の性別が異なるからなら、性別すらも自由に選ぶ転生はまさに怪我の功名だろう。
「そんな二人に振り回されてきた平城山泉都君は?」
「勿論……っちゅうか、この二人から解放されるならなんでもいい」
この二人に好きなように使われて地獄だったね。……ご愁傷様です。
「ぼっちでたいしたスキルもなく成り上がってきた、非常に好感が持てる山田太郎君は?」
「……軽くDISられている気がしますが、気のせいじゃなさそうですね。俺も帰れるのなら帰りたいと思っていました。少なくとも死と隣り合わせのこの世界はもう懲り懲りです」
「いや、地球でも急に車が飛び出してきたりするし、店に突っ込んでくるし、割と死と隣り合わせだけどね。特に日本は地震大国だし、自然災害が比較的起こりやすいし……まあ、でも異世界カオスに比べたら命は重いか。えっと、くノ一オタクが転じてパルクールに嵌まった女子高生の白鷺織姫さんは?」
「……私達のことを覚えていないって言っていたのに、もう見透かされてしまったのね。私も連れて行ってもらえるなら連れて行ってもらいたいわ」
「てっきり織姫さんは残る派だと思っていたけど。こっちの世界の方でくノ一として活躍した方がその技術を生かせる訳だし、目に見える形で反応が返ってくる……織姫さんに限ってはこの世界に残ってもいいと思うけど」
「確かに身につけた技術を使って評価されるこの世界は私に合っているかもしれない。でも、魔獣のような危険がない地球で暮らせることが一番よ。こういう戦闘技術が使われない世の中の方がいいのよ」
まあ、こっちは年中魔獣の脅威に怯えながら過ごしている世界だしね。……人間も魔族側も。
その分、身分が流動しやすいから上手くやれば出世も可能なんだけど。
まあ、織姫が選んだのならこれ以上口を挟むべきではないな。
そもそも帰還したいならお好きにどうぞ、が俺のモットーだし。
「色付き空気で度会のことが好きな不知火陽炎さんは?」
「……あっ、度会君以外で初めてちゃんと認識してもらえた」
「初めて入った店でいつものが出てきそうな感じだからね。ってか、実際に出てくるんでしょう? 存在があるようでない。認識されはするけど、正確に認識される訳ではない……結構苦労してきたみたいだね? まあ、良し悪し? で、帰還希望?」
「勿論地球に帰りたいな」
「あっ、はい。……後、影介君を見失いたくないのなら、注意力をもっと鍛えた方がいいよ? 折角の技術なのに全くと言っていいほど鍛えていない。……その能力で苦労したみたいだけど、正確にコントロールできない上に技術としても粗があるようじゃ、真面には使えないからね。えっと、そんな陽炎さんのことが極端に嫌いな、最早顔も見たくないと思っている度会影介君。……全く、折角頑張って? 手に入れた【不可視】のスキルを先天的に持っているのにさ。どんだけサボってたの? サボタージュしているの? ポタージュが食べたいの? ……ちょっと脱線した」
「もしかして、見えるのか? 僕のことが」
「勿論……ってか、普通に俺も使えるし」
「――消えた!?」
「王と呼ぶことを求めた伝説の暗殺者の努力が神業の領域に達した領域――【不可視之神】。ここまでにしろ、とは言わないけどさ。まともに使えるくらいにはしろよ。勿体無いだろ? その技術。まあ、それが無くても元から影が薄いみたいだし……その辺りはご愁傷様としか言いようがないな。で、どうする? 地球に帰るの?」
「僕も帰れるのなら帰りたいですよ……もう帰れないんだって諦めていましたが」
「了解。そこの色付き空気さんとはしっかりと折り合いを付けるのをおススメするよ。じゃあ、自称天才君とエリーゼさん……なんとなく『舞姫』の匂い漂うお二方は?」
「ふん、僕は自称ではなく本物の天才だ。だが、今回は型破りな君の話に乗るのが一番だろう。……言っておくが、僕の方が君よりも絶対に賢い」
「へいへい、そもそも俺と比較する時点で品位を落とすことになるからやめようね〜。というか、正直自分が賢いと思っているなら噛みつかないと思うけど。……エリーゼさんは?」
「私は、相沢さんのいた世界に一緒に行きたいです」
「了解。お似合いなカップルだし末長くお幸せに。……リア充、爆裂しやがれ!! と、以上?」
「……あの? 俺達のことを忘れている気がするんだけど」
ん? 誰も忘れて……いないよな?
「ただし、オタクと不良。てめえらはダメだ。オタクは俺をアーカイブとして扱った罪、不良どもはなんか危険そうだから。まあ、とにかく万死に値する」
「なんか、俺達不良の扱いが雑なんだけど!!」
「そもそもなんで俺達が不良よりヘイトを溜めているんだ? 同じオタク仲間だろ?」
「誰がいつどこで、どの世界線で地球が何回回った時にお前らの仲間になったんだ? お前らは俺を変態と位置づけて放置したくせに都合のいい時だけ利用しただろう? 俺はそういう奴が大嫌いなんだよ。俺がコツコツと集めた知識はお前らのためにあるんじゃない、全て文学研究のためにある!! その上澄みを掬おうっていうのがそもそも間違いだ。俺にとってはクラスの嫌われ者の不良より、ぎゃあぎゃあビッチ共よりも何より、志島さん達とお前ら、後一ノ瀬が嫌いだった。殺してやりたいほどね、以上。……まあ、ここで殺すのは得策じゃないのは明らかだし、お前らがもう俺を好き勝手に利用して上澄みだけを掬おうなんて虫のいいことを考えないのなら命だけは奪わないでやるよ」
「……わ、分かった。分かったから、もうしないから殺さないでくれ!!」
はい、言質頂きました。よっしゃー、これで地球に帰っても誰にも邪魔されずに一人で、或いは浅野教授達と楽しく文学研究できるぞ!!
「じゃあ言質戻ったことだし命までは奪わないでいてやるよ。そこの改心系なんちゃって不良君もお情けで見逃してやる。……しかし、お前ら揃いも揃って【即死】使いのボス猿不良と取り巻きのなんちゃって達に怯えるとか……そもそも時間対策と即死対策は必須であり、高レベルになっても対策しない方が悪いって至高の御方を見て学ばなかったの? 特にオタ共」
「いや、あれは創作の話で……まさか?」
「確か、草子君ってエリシェラ学園に来た時点で既に耐性スキルは全部獲得していましたよね? そして、即死耐性貫通即死魔法攻撃もその頃には獲得していたと記憶しているけど……」
「確かにエリシェラ学園の一件でフルゴル・エクエスに〝死が確定する十三分-The god of death keeps ridicule of life for 13 minutes-〟を使ったのが最初だったっけ? あっ、【消滅耐性】は持っていないからコンプリートではないよ? まあ、俺が持っているのは
……欲しいと思うと手に入っちゃうところが俺の超越技の怖いところだな。
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【時空無効】LEVEL:1
→他者の時空干渉を無効化するよ! 時が止まった中でも自分だけが動けるよ! 【時空耐性】の上位互換だよ!
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【自然影響無効】LEVEL:1
→自然影響を無効化するよ! 属性攻撃の無効化と熱変動の影響の無効化など、自然に干渉するありとあらゆる攻撃、自然現象の影響を無効化できるよ!
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「えっと……何の話だったっけ? まあ、俺も【即死】の上位互換の【全体化即死】に【死の宣告】と【死纏】を統合して上位互換化した【冥府之神】があるし、時間攻撃をされたところで今獲得した【時空無効】と【時空ト矛盾之極神】でどうにかなる。……ぶっちゃけ不良のどこを恐れろって話だよね?」
あれ? マハーシュバラ組が揃って内緒の相談ですか? いや、聞こえているよ? 佐伯よりもコイツの方がヤバイんじゃないかって? ……ただのモブキャラを何でそんなに恐れるのかね?
「あっ、【四感超化】に【地獄耳】と【絶対音感】があるからヒソヒソで話していても聞こえているよ? それに、裏の六神通で心の声が聞こえるし、未来攻撃の予測とかも可能だから。まあ、白崎さん達なら不良の掃除くらい余裕だろうし、どうせマハーシュバラに行くんだから手伝うって方向性で……どうっすか? リーダー」
「草子君、何度も言うけどこのパーティのリーダーは草子君であって、私などでは断じてないから。草子君がいない時と女子会の時だけ纏め役をやっているだけだから!! それに、ロゼッタさんとかレーゲン君とか私よりもリーダーに相応しい人がいるのに、何で私なの!?」
「白崎さんはどう考えても頼りになるクラス委員長ポジションですから、折角なのでお願いしたいといつもお任せしているのですわ」
「右に同じ」
確かにレーゲンやロゼッタも主人公ポジションだし、リーダーをやれる器ではあるけど……“熾天大天使地母神”様には敵わないかな。
「とりあえず、今から一旦俺の屋敷に戻って追加メンバーの装備を整えつつステータス調整をするから、それが終わったらリーダーの白崎さんを中心に国家同盟から依頼された地点で奴隷商人掃討をヨロシク」
「……草子君はどうするのよ? 一緒に行動しないの?」
「いや、前の休暇中に奴隷商人のアジト一つを壊滅させてきたんだけどさ。捕らえた奴隷商人が言うには、奴隷商人達が所属する裏商人ギルド会議には【黒蜥蜴】、【影法師】、【暗躍卿】、【死の商人】などと呼ばれている闇商人がいるらしくてな。まあ、その顔を見たことはなく、本当は男か女かも分からないみたいだけど。裏商人ギルド会議自体はその裏商人ギルドCEOの奴隷である白猫の獣人少女が務めているらしいが、これが物凄い辣腕で隷従の首輪を付けている奴隷だと侮った奴らはその毒の盛られた敬語で全滅させられるそうだ……まあ、子猫と商人って組み合わせで嫌な予感を抱いているんだが。ちなみに、今回の件は国家同盟には報告していない」
「……草子さん、まさかと思いますが
「いや、あの二人とは似ても似つかねえよ、多分。……少なくとも今回の件はお前らにだって任したくない。俺の予想が確かなら、アルルの町から付き合いのある行商人さんが奴隷商人のバックにいる可能性が高くなる……ってか、それと同時にヴァパリア黎明結社が絡んでいる可能性が高まるんだけどな……アイツらがこれだけ巨大な裏商人のネットワークに絡んでいない訳がないと思うから?」
「確かに……草子さんの言う通り絡んでいない方が不自然です。……草子さん、それでも私は草子さんについて行きたいです。……草子さんが好感を抱いている行商人さん……その方と草子さんの死闘を見届けるべき人が必要だと思いますから」
「……まあ、リーファさんがそこまで言うなら。国家同盟と掛け合ってメンバー配置を変えてもらってくるよ……たく、これほどの戦力を一箇所に集中させたらキレられると思うけどな」
「……でも、問題ないんじゃない? 親玉を叩きに行くならこれくらいの人数が必要だと思うし」
ちなみに国家同盟に掛け合って白崎達の配置換えを求めたら呆気なく承認された。「草子殿にも何か考えがあるのだろう」とセリスティアが言っていたが……すみません、ただリーファ達がついて行きたいって希望しただけです。
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