文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
普段他人を煽っている悪魔に限って煽られ耐性は低いのだろうか?
普段他人を煽っている悪魔に限って煽られ耐性は低いのだろうか?
異世界生活百四十八日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、魔王領キムラヌート
翌朝、俺達は魔王領アィーアツブスを出発し、
いつも通り詰所に行くと魔族から敵意の視線を……あれ? 向けられない!? なんで怯えているの!?
「あっ、あの……もしかして能因草子御一行様でしょうか?」
八尺様……なのか? 二メートル四十センチほどの女騎士が怯えながら聞いてきた……というか、「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ……」とか言わないの? というか、なんで怪異が怯えているの? というか、魅入った人間を数日のうちに取り殺してしまうんじゃないの! なんで取り殺されそうに怯えているんだよ! 取り殺す側だろ、お前!! 俺はただのモブキャラじゃァァァァァァ!!
というか、他のメンバーの種族が
「はじめまして、能因草子です。……というか、よく知っていましたね、俺達のこと」
「魔王領バチカルから念のために能因草子と名乗る人間の皮を被った厄災が来るかもしれないので、もしやってきた時には丁重に対応をしろと……あれ、これ言っちゃだめな奴でした! ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ……!?」
「全く……
いや、お前も大概だと思うんだけど? メリーヌ=ドロレス。
「一応、こちら書状になります。魔王軍幹部九人分です」
「なるほど……では、こちらは魔王軍幹部様にお届けしてきますね。謁見の準備ができるまではメリーヌさんが担当しますので、暫し一服してお待ちください」
八重羽が一人で城に向かい、メリーヌは他の魔族に引き継ぎをしてから俺達を連れて喫茶店に入った。
というか、目が泳ぎまくっているし、ブルブル震えているし、出刃包丁握りしめているし、色々と大丈夫? というか、もしかしてそれで刺されるの!? 俺!!!
「とりあえず、みんな好きなものを頼むといいよ。金に糸目はつけない……って、モブキャラが言っていい台詞じゃない気がするけど」
「品書の上よりついでに、全っ部持ちきたまへ」
「…………あっ、はい」
ジューリアよ。もっと慎みを……いえ、なんでもございません。
ジューリアが先制攻撃を仕掛けたのが遠慮を無くしたのか、白崎達も注文を始めた……いや、今回もかなりの散財になりそうだな。まあ魔法薬を流して金を稼ぐか。
「本当によろしいのですか? 私までご相伴に預かって」
「どうぞどうぞ、ここまで来たら一人増えるのも関係ないですよ。あはは……」
「いや、本当に大丈夫ですか? 見たことの無い金額になっていますよ! 店員さんもびっくりしていますし……それに、この店は魔王領キムラヌートでも上級の店なので……やはり、ここは魔王領キムラヌートの経費で」
「流石にジューリアさんの分の支払いまではお願いできませんよ。これだけの額を経費で落とせば流石に魔王領キムラヌートの領民がキレるでしょうし。あれですよ、鴨が葱背負って金を落としに来たぜ、ヒャッハーとでも思っておいた方がいいんですよ。あっ、俺はロー・ティーセットでテネグロをグラン・テネグロに変えてください」
さらりと最も高いセットを注文しつつ(総金額は全品注文のジューリアに遠く及ばない)、スマホを取り出して読書……。
「草子御一行様、謁見の準備が……って、えっ?」
「あっ、謁見ですが会計が終わるまでお待ちください。……もしよろしければ、八重羽様もいかがですか? 丁度財布の紐も緩んでいるのでチャンスですよー」
「あっ、では私もご相伴に……」
◆
『フハハハハ! よくぞ参った、厄災の男よ! む……やはり見えぬか。それに悪感情も食えぬようだな……では、標的を変えよう。そこの厄災の男に釘付けで毎日どうやって外堀を埋めようかとばかり考えている娘どもよ。汝らは決して結ばれぬ……それだけの美貌があるのだからそんな攻略不能な
城内を一瞬で阿鼻叫喚に陥れたのは、ストライプの入った青のスリーピースに黒と白に分かれた仮面の悪魔だ。
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NAME:ヤルダバオート
LEVEL:800
HP:1000000/1000000
MP:1000000/1000000
STR:1000000
DEX:1000000
INT:1000000
CON:1000000
APP:300000
POW:1000000
LUCK:-30000
残機:残り99999体
JOB:
TITLE:【魔王軍幹部】、【
SKILL
【ヤルダバオート式殺戮光線】LEVEL:600
→ヤルダバオート式殺戮光線を放つよ!
▶︎ 【収束型殺戮光線】LEVEL:600
→収束型のヤルダバオート式殺戮光線を放つよ!
▶︎ 【拡散型殺戮光線】LEVEL:600
→拡散型のヤルダバオート式殺戮光線を放つよ!
【悪魔乃外観】LEVEL:600
→部分的な悪魔形態化ができるよ!
▶︎【鋭利な鉤爪】LEVEL:600
→悪魔の持つ鋭利な鉤爪を顕現するよ!
▶︎【万力の豪腕】LEVEL:600
→悪魔の持つ万力の豪腕を顕現するよ!
▶【疾風の豪脚】LEVEL:600
→悪魔の持つ疾風の豪脚を顕現するよ!
▶【堕ちたる翼】LEVEL:600
→悪魔の持つ堕ちたる翼を顕現するよ!
▶︎【煉獄の緋衣】LEVEL:600
→悪魔の持つ煉獄の緋衣を顕現するよ!
▶︎【紅蓮の緋衣】LEVEL:600
→悪魔の持つ紅蓮の緋衣を顕現するよ!
【見通ス王】LEVEL:600
→因果を超越していない相手の行動、思考、過去、未来を見通すことができるよ!
【脱皮】LEVEL:600
→脱皮が上手くなるよ!
【仮面憑依】LEVEL:600
→仮面を被った人物を意のままに操ることができるよ!
【利己的な造物主】LEVEL:600
→様々なものを作れるよ! 作ったものは自分しか使えないよ!
【ジュドヴァ=ノーヴェ語】LEVEL:600
→ジュドヴァ=ノーヴェ語を習得するよ!
【掣肘】LEVEL:600
→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!
【覇潰】LEVEL:600
→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!
ITEM
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口調や悪感情を喰らうところは地獄の公爵様と同じだが、人をからかい騙した時に発する怒りや羞恥、失望などの悪感情という限定されたものではなく、殺意も含めた悪感情全般を好むらしい……ほうほう。
というか、それ……白崎達にやるのはマズイと思うぞ? もう、限界スレスレみたいだし。
「いや、残機99999体いるみたいですけど、白崎さん達相手に勝負を挑むのは危険なんじゃないでしょうか? ステータスを上げまくった身体にまだ慣れていないようですが、それでも純粋な戦闘力は上でしょうし、このままだと部下二人からも殺されると思いますよ?」
メリーヌは出刃包丁を飛び出してゴルゴの人の目になっているし、八重羽はどこからともなくチェーンソーを出して「この悪魔殺したら人間から討伐報酬出ますかね?」と笑顔で言っているし……だからダメだって言ったんだよ? 「ヤの字の事務所に爆竹投げちゃダメだって」……あれ? これ言ったの大陸商業ギルド総長にして盗賊ギルドの元締めの〈
「……ところで純粋な興味から来る疑問なんだけど、〝DIES IRÆ〟で残機って一掃できるのかな?」
『フハハハハ! 厄災の男よ!! 見通すまでもない――我輩を消し去れば後々困るのはお前だぞ? それと、我輩を討ち取って討伐報酬を得ようとしている小娘どもよ! 諦めて働くがよい!! 我輩を倒したところで討伐報酬は得られぬぞ――何故ならお前達も魔族なのだから……なっ、討伐報酬を受け取れるだと!?』
なんでこの人……じゃなかった魔族、自爆しているんだろう?
というか、みんな怒りっぽいな。きっと小骨が足りないんだよ……あの仮面カルシウムが豊富みたいだし齧ったらどうかな?
「んじゃ、これ以上引き延ばすと一触即発になりそうだから話をとっとと進めさせてもらうよ。書状の返事をお聞きしたい」
『勿論、委細承知である! 本来ならば焦らしに焦らして悪感情を貪りたいところだが、厄災の男からは食べられぬし、ここで機嫌を損ねられたら我らの大損である。結界を賭けた模擬戦も行おう――このまま暴れられると残機を消し飛ばされてしまいそうだからな』
というか、〝DIES IRÆ〟ならカラススレイヤーさんを殺せるんじゃない? 今気づいたけど。
「では、始めましょうか? と、その前に――俺は〝
「もしかして……それは、私に〝
「ん? いいや? 別に学ぶことを強制する気はないから、もし必要なら見て覚えればいいんじゃないかな? 俺は学ぶことを強制したりしないよ――結局自分がどうなりたいか、そのために頑張るという意思があるか、これが無ければ意味がないからね」
エルダーワンドを杖の形状のまま構え、エンリに指示を出す。
【――システム起動。《神代空間魔法・夢世結界》の発動、完了しました。耐性及び無効スキルの無効化、
中空に画面が生まれ、エンリの姿が映し出される。
『フハハハハ! 先手は我輩だ!! 喰らって死ぬがよい!! 《ヤルダバオート式殺戮光線》!!』
予想通り戦闘開始直後に放ってきた仮面の悪魔の方の代名詞――
だが、残念だったな。先手を取ったのはお前ではなく、俺なのだよ。
『なっ…………くっ、やるではないか! 《ヤルダバオート式殺戮光線》を無力化するとは! そんな汝にはこのデミえもん人形を授けよう。友人に自慢すれば羨ましいがられること間違いなしだ。フハハハハハハハハハ!』
「いや、なんでデミえもん人形なの!? ちびち●緋雪ちゃん人形とかブタ●サ人形とかバ●ル君人形なら分かるけど、まさかのデミえもん!? 世界征服始めちゃうの!? というか、この世界でもヤルダバオトとデミウルゴスは同一視されているの!?」
『フハハハハハ! デミウルゴスとは神の名を騙る時に使うもう一つの我輩の名である!! かつて、我輩がこの世界に召喚される前――
えっと、なんだっけ? この異世界カオスとは別の世界で神界の使徒たる天使とその敵対者たる悪魔とが衝突した神界史史上最大の対戦。
で、その時のラファエルの宿敵が神を騙る偽の造物主――デミウルゴスだったって言ってたような……もしかしなくても、こいつぅ?
なんか随分ヘイト溜めていたみたいだし、ここで召喚して敵討ちをさせてやるか?
『むっ? 今、汝、良からぬことを企んだか?』
「いや、いっそラファエルさんを召喚して敵討ちをさせてあげよっかなって思ったけど、〝
『フハハハハハハハハハ! あの神などという存在意義のない連中に仕える愚かな使徒を召喚するとは――つくづく天使も地に堕ちたではないか!! これは最高! 悪魔を簡単に召喚される雑魚と称した天使が、召喚されるとは、なんとも愉快! 愉快!!』
「………………とりあえず、天使と悪魔は仲良くした方がいいと思うんだよね。それと、オレガノさんもウコンさんもちょっと癖が強いけど根底は割と善人だし、ミントさんもいい人だと思うんだよね。悪く言うのはやめてくれないかな? 一応、友人だし。あっ、
『フハハハハハハハハハ! 神に崇めるのではなく対等に接する人間がいるとは!! これは失敬。友人を悪くいうのは最低の行為であるな…………しかし、その
う〜ん、ちょっと嫌な予感がするな。あの老害も昔は凄かったって話をオレガノもミントもウコンも口を揃えて言うけど、それって
もしかして、
アイツになんらかの思惑があって、老害の皮を被っていたとしても俺には関係ない。
その思惑に乗って道化のように踊ってやる。まあ、モブキャラなんでね――主人公みたいに無駄なことに抗うことはしないのさ。
『ところで、汝は一体何をしたのだ? 一度目に《ヤルダバオート式殺戮光線》を無力化し、二度目に床を溶岩に変え……《悪魔乃外観:堕ちたる翼》を発動していなければ今頃残機が一体減って……いや、負けてしまっていたぞ』
「えっ、知りたい? 知りたい? 知りたいよね? 知りたいよね? 教えてあ〜げない❤︎」
『…………ほほう』
あれ? 煽るのが趣味のヤルダバオートさん、煽り耐性は無かったのかな?
「ねぇ、今、どんな気持ち? 全く原理の分からない攻撃について説明してもらえると思ったのに、既の所ではぐらかされた時って、どんな気持ち? ねぇ、ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ちなの? ねぇ、ねぇ」
『「「『「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――ウザっ!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」』」」』
三十二ヘイト、頂きました! これ、喜んでいい奴?
「……草子さん、この状況でミ●ディさんぶち込むってこれ以上カオスにするつもりですか?」
「いや、煽ったら効くんじゃないかって思って。実際に効いたね……他の人の方が効いているみたいだけど。まあ、解説を求めている人もいるみたいだし、特別に種明かしをするよ。一回目は一部の空気に光を屈折する性質を
「……二回目のは分かるけど、一回目のは本当に凄いよね? それってどこに配置したらどう屈折するかを全て計算していたってことだから」
「ロゼッタさん、【叡慧ト究慧之神】が計算しているんで問題ないですよ。さて……俺は〝
『むっ? 外からの援護というのはアリなのか?』
「いや、ルールに規定されていないから問題ないんじゃない? 聞かなかったそっちが悪い……」
『…………フハハハハハ! それは失敬。こちらが確認をしなかったのが落ち度――ならばここでの援護が最後だとルールに追加して頂こうか!?』
「勿論」
まあ、俺も突然の思いつきだし、それを実現するためにルールの空白を利用させてもらったんだけど。
『だが、攻撃の手は止めんぞ! 《悪魔乃外観:鋭利な鉤爪》、《悪魔乃外観:万力の豪腕》、《悪魔乃外観:疾風の豪脚》、《悪魔乃外観:煉獄の緋衣》』
一気に筋肉が盛り上がった腕と脚、鋭く伸びた鉤爪、そして燃える炎の衣。
なるほど、これがヤルダバオートの本領ということか。
「草子さん、できました」
「おっ、ありがとうレーゲン。なかなかの刀だ」
「ありがとうございます」
結界の外から投げて渡された黒刀二本。それを手に取ると――。
(〝付与は新たな境地に到達した。環境を変え、気候を変える力は最早付与術にあらず〟――〝
さあ、ここからが〝
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