5.支部長室に呼ばれて今度は普通に冒険者登録できました。

 異世界ガイア生活一日目 場所自由組合冒険者ギルド カセドラ支部


「初めまして、自由組合冒険者ギルド カセドラ支部で支部長をしているジョセフ=ドゥです。草子君、ジューリア君、ヱンジュ君、布都御霊君、ユエ君、ウコン君……でいいかな?」


 支部長室で待っていたのは、七三分けの髪型で黒縁眼鏡をかけたサラリーマンのような風貌の男だった。

 てっきりオカマさんが出てくると思ったが……いや、とんでもない化け物が出てきたな。


 目に宿る光は鋭く冷たい。手にこびり付いた死臭といい、沢山の命を奪ってきたことがよく分かる。


「能因草子です。この度は貴重な時間をお割き下さりありがとうございます」


「いやいや、礼には及ばないよ。僕も歴史的瞬間に立ち会えるかもしれない――本当に支部長冥利に尽きるってものだよ。……さて、本題に入ろうか」


 ジョセフは五枚のステータスプレートに触れ、魔力を流した。

 ステータスプレートに黄金の輝きが宿り、収束するとともに「金ランク」という文字が浮かび上がる。


「ジューリア君、ヱンジュ君、布都御霊君、ユエ君、ウコン君――僕は君達を金ランク冒険者として認めるよ。このステータスプレートは身分証になる。身分証の他には、武器屋や防具屋での割引など特典もあるから是非利用してもらいたい。……さて、問題は草子君――君だな」


 計測中にステータスプレートがぶっ壊れたという前代未聞。

 そりゃ、困るよなぁ。俺は割と困っているよ?


「僕達には君の強さを確認する術がない。君が例え金ランク以上の力を持っていても、それを文字として見ることはできないという訳だ」


「まあ、そのステータスプレートを改良して適応できるようにすれば何にも問題はないんですけどね」


「…………はっ? ステータスプレートを改良? アーティファクトを改良できると本当に思っているのかい?」


 半信半疑なジョセフからステータスプレートを受け取り、【主我主義的な創造主】を使って改良を重ねる。……これでよし。


「本当にそんなことでステータスを測れるようになるのか?」


「まあ、問題ないと思いますよ? とりあえず触れて魔力を流すだけで表示される仕様に変更したんで、早速魔力流させてもらいます」


=================

能因草子 (永遠の)16歳 男 レベル:1

天職:運命の特異点・必勝の神殺し・終わらせる者・魔導の頂点・慈愛の大聖女・精霊の巫女姫・人の形をした厄災・全てを見通す聖眼・万象を解析する者・異界からの来訪者(禍殃) 職業:― サブ職業:―

筋力:Unmeasurable

耐久力:Unmeasurable

魔力:Unmeasurable

魔耐力:Unmeasurable

神威:Unmeasurable

敏捷:Unmeasurable

体力:Unmeasurable

知力:Unmeasurable

幸運:Unmeasurable

技能:言語理解・神殺し・聖眼[+精霊視Ⅻ][+妖精視Ⅻ][+ 怪異看破Ⅻ][+妙見Ⅻ][+邪心看破Ⅻ][+視力向上Ⅻ][+視界向上Ⅻ][+能力看破Ⅻ][+解析Ⅻ]・剣技[+一刀流][+二刀流][+斬撃速度上昇][+抜刀速度上昇][+無拍子][+飛斬撃][+究極挙動]・全属性魔法[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]・回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収][+身体強化]・精霊術【+火属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動]・【+水属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動]・【+氷属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動]・【+風属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動]・【+地属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動]・【+聖属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+回復効果上昇][+回復速度上昇][+状態看破][+回復範囲上昇][+回復距離上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費神威削減][+神威効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+付加発動][+遅延発動][+浄化速度上昇][+浄化範囲向上][+浄化距離向上]・ 【+闇属性適性】[+発動速度上昇][+威力上昇][+持続時間上昇][+連続発動]・気配遮断[+偽影][+幻惑]・高速魔力回復[+瞑想]・惑星魔法・空間魔法・時間魔法・非物質魔法・改変魔法・情報魔法・因果魔法・概念魔法

所持品:エルダーワンド・万天照らす日輪の大杖アマテラス龗神の宿し冽流の宝剣クラオカミノカミ雷神の宿し霹靂の迅槍タケミカヅチ焱神の宿し爀焔の刀剣ヒノカグツチ……

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「……うむ、確かに紙に書かれた情報と一致する。しかし、改めて見せられると疑いたくなるな……また、仕方ない。君も金ランクとして認めるよ。本当は天災級とか、災禍級とか、災厄級とか、災害級とかが相応しいと思うんだけどね」


「こんな人畜無害なモブキャラを捕まえて皆様ひどいですね……どう考えてももっと恐るべきことはあると思うんだけど……」


「正直、このタイミングで君みたいな化け物に暴れられたらたまったものじゃないから、金ランクの称号くらいなら何回でも用意するよ」


 別に金ランクの称号は一つで充分だと思うけど……しかし、なんか嫌な予感がするな。

 ジョセフ、かなり疲れた顔しているし……一瞬見せた現実逃避の表情が全てを物語っている。


「あの……俺達でよければ手伝いますよ? ジョセフ支部長、割と大きな仕事を抱えて絶賛現実逃避中みたいですし。……ヱンジュさん、それでいいですか?」


「急いではいませんし、私は別に引き受けてもいいですよ?」


「本当ですか!? いや、助かったよ。割と荒れててね。本気で困っていたんだ。そうだ、君達を金ランク冒険者チームと見込んで僕から指名依頼を出させてもらうよ。……と、その前に君達に会ってもらいたい人達がいる。……モットー」


「はっ!」


 モットーが支部長室を去ってから数分後、二人の少年少女を連れて戻ってきた。

 しかし……これはまた面倒なことになりそうだな。



 入った来たのは二人の少年少女だった。

 どちらも学生服ブレザーを来ている。

 異世界ガイアの高校出身、在学……とかは無さそうだし、雰囲気的に地球から異世界ガイアに召喚された地球人かな?


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◉波戸場裕翔 17歳 男 レベル:12

天職:盾使い 職業:冒険者(青) サブ職業:―

筋力:1400

耐久力:1400

魔力:300

魔耐力:1400

敏捷:1400

体力:1200

知力:140

幸運:200

技能:盾技[+風碧盾][+不可視盾][+竜巻盾] [+幻影盾][+反射盾][+鎖盾][+敵愾盾][+拷問盾][+盾攻撃][+呪・生贄盾][+呪・憤怒盾]・絶武圏[+遠隔発動][+拒武圏]・UNIQUE・言語翻訳

所持品:皮の盾・制服

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小野寺美春 17歳 女 レベル:10

天職:治癒師 職業:冒険者(青) サブ職業:―

筋力:1000

耐久力:1000

魔力:1000

魔耐力:1000

敏捷:1000

体力:1000

知力:1000

幸運:100

技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・光属性適性[+消費魔力減少][+効果上昇][+持続時間上昇][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動][+無詠唱]・言語翻訳

所持品:癒しの杖・制服

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 冒険者としての等級は最低ランクの青。天職は盾使いと治癒師か……盾の勇者は成り上がれるのか? ……勿論金ランクにだよ??


「初めまして、波戸場はとば裕翔ゆうとさんと小野寺おのでら美春みはるさんですね。俺は能因草子、とある頭のおかしい老害に異世界召喚されて異世界カオスという世界に転移し、紆余曲折を経て異世界ガイアに転移してきたただのモブキャラです。しかし、17歳というと高校二年生ですか?」


 ということで、馴れ馴れしく話しかけてみることにした。

 いや、割と緊張しているっぽかったんで。


「能因草子さん……貴方も地球からの転移者なんですね。しかし、よく俺達のステータスが分かりましたね」


「まあ、性格上会った人間のステータスは丸裸にしないと気が済まないので。ほら、どんな力を持っているか分からないと何されるか分かりませんでしょう? 初っ端から【爆裂魔法】を撃たれたら流石に死んじゃいますから」


「……草子以外は」


 ジューリアよ。……お前は俺のことをどんな風に見ているんだ?


「とりあえず、現状を話してもらってもいいでしょうか? まあ、大方どっかの国に勇者召喚され、オタク特有の勘から危険だと判断した裕翔さんは美春さんを連れて召喚した国から逃走――以後、自由組合冒険者ギルドに身を寄せさせてもらっている。と、まあこんな感じでじょうか?」


「よく私達の事情が分かりましたね。もしかして、クローヌ王国と通じているのかしら?」


 美春と裕翔の視線が鋭くなる。裕翔は美春を守るように盾を翳し、美春は杖を構えた。


「はい、情報追加ですね。クローヌ王国に勇者召喚され、オタク特有の勘から危険だと判断した裕翔さんは、美春さんを連れて召喚した国から逃走――以後、冒険者ギルドに身を寄せさせてもらっている。と、まあこんな感じでじょうか? まあ、ぶっちゃけ勘だったんだけどね。俺の勘は何故か当たるんだよ。記憶している無数の判例テクスト――地球に居たらラノベを書くくらいにしか役立たない知識がこっち――異世界カオスや異世界ガイアでは何故か役立つ。……ああ、二人の行動は正しいよ。俺は、いや俺達は君達の敵さ。なんせ、俺達は君達を召喚するように神託を下した神を自称する異世界人――魔導文明サドォリュムの大企業Homesteading the Noosphere industry、通称HNI社元課長、フェアボーテネ・エヒト・フリュヒテをこの手で抹殺――まあ、簡単に言うと神殺し? これをするために来たんでね」


 武器を収める美春と裕翔、殺気を放つジョセフとモットー。対照的やなぁ……。


「……草子君、君はこの世界にどれだけのフェアボーテネ教徒がいるかを知っているかい。それらを敵に回して……あっ、別に問題ないのか?」


「神殺し 星ごと滅す? アンシャルで? ……やるなら星ごと皆殺しにするよ? でも、別にそんなことしてもヱンジュさんは喜ばないでしょ? ヱンジュさんの話からフェアボーテネって奴はゴミだということが分かっている。まあ、大方裕翔さんと美春さんは表向きは別の理由だけど、裏にはこの世界という名の盤上の駒の一つとして召喚したという理由がありそうだからね。まあ、教徒全てを相手する必要はないと思うけど、その召喚を主導した狂信者達辺りは消しといた方がいいような気がしないでもない。……まあ、神様っているかいないかが問題じゃなくて、心の中に居ればそれで問題ないのだから、神様の首フェアボーテネを挿げ替えれば割と問題無さそうだけど」


「確かにここまで浸透しちゃっていると神殺しを達成したところで、非難の的にしかならないですよね。草子さんのお考えに私も賛同したいと思います」


 よし、ヱンジュから同意も得られたことだし、大体の神殺しプランは決まったな。


「ってことで、モットー秘書室長とジョセフ支部長にはくれぐれもこのことは内密にしてもらわないと。もし、バラされるようなことがあったら俺達の策に支障が出るからね。もし、断るのなら、今この場でフェアボーテネがいかなる人物なのかをうちのエンリに頼んで小一時間ほど紹介してもらうよ?」


【了解です。……フェアボーテネに関するデータを圧縮……】


「いや、別にやれとは言ってないよ? 約束できないのならやるって脅しをかけているだけで」


「…………分かったよ。僕達では君を止められない。僕は敬虔なフェアボーテネ教徒という訳でもないし、ほとんど慣習みたいなものになっているからね」


「私も今の話は聞かなかったことに致します。死ぬのは怖いですので」


 なんか、別の理由で説得に成功してしまったみたいだ。……なんか、そこはかとなく嫌な気分。


「で、クローヌ王国の勇者召喚と面倒な自称神様のことは分かった。でも、自由組合冒険者ギルドの支部長様が頭を抱える問題は裕翔さんと美春さんが神の意向に背いたからって訳じゃないでしょう?」


「その通りだよ。自由組合冒険者ギルドというのは中立の組織だ。組合ギルドに宗教の価値観を持ち込むこと勿れ……まあ、割と持ち込んでいる人はいるけどね。僕が草子君に殺気を向けたのはこれまでの秩序が崩壊するからだ。大きな戦争が起こることを僕達冒険者は望んでいない」


「だが、それは人間同士での話。魔人族・・・と人間の戦争は避けるつもりはないみたいだな。……まあ、勇者召喚が行われたのも、人間と敵対する魔人族や魔物をどうにかするためって話だろ? で、その魔人族はなななんと! 人間と魔物を交配させて生み出した存在だったのでしたってオチ。自称神様は人間と魔人族が争うゲーム盤を眺めて、優越感を感じていたいんだろうね。モブキャラの俺にはさっぱり分からない価値観だよ」


 一番話について来られそうな裕翔まで絶句しているが、気にしない。気にしないったら気にしないのだ。


「草子君、君はこの世界に転移してからそう日は経っていないんだよね?」


「あっ、一日目っす。……しまった、ブルックの町で身分証を提示するの忘れてた。まあ、このステータスプレートを見せに行かないといけないんだけど。……そういえば、ジョセフ支部長は異世界を渡る時の最大の嫌なことってご存知ですか?」


「……なんだろうね?」


「正解はお金ですよ。前の世界で使えていたお金が転移後の世界では使えないって話。諭吉さんや一葉さんや野口さんはまあ、当然だけど、異世界カオスの虹金貨とかこっちじゃ全く通用しないからね。ってことで、後で良かったら両替屋を紹介してください。色々見たいんで」


「両替屋か……自由組合冒険者ギルドでよければ、受け付けるよ」


「助かります。金とルピを交換してもらえればそれでいいんで。……さて、話は戻りますけど、俺は勘で話しています。似たような事例を頭の中から引っ張り出し、話しつつ会得した情報を追加して再演算を行う。例えばAというラノベだけでは説明できない事象もAとBというラノベの内容を照らし合わせれば説明できるかもしれない……まあ、そんなところです。まあ、今までは割と修正せず憶測だけで問題なく行っていたんですけどね。……さて、話は戻りますけど自由組合冒険者ギルドの支部長様が頭を抱える問題は裕翔さんと美春さんが神の意向に背いたからって訳じゃないでしょう? そして、魔人族だけが理由じゃない。魔人族は異世界の勇者様が討伐してくれる筈ですからね」


「参ったな……その通りだよ。僕達は今、魔人族の他に複数の脅威と戦っている。……そもそも、召喚勇者に与えられた役目は魔族の討伐の他に旧神々――元々この地で崇められた神々を倒すことだった」


「……まあ、大体そうだとは思っていたよ。ヱンジュさんの頃から既にフェアボーテネは自然神の討伐に動いていた。……いや、しっかし四百年も経っているのに未だに神様全滅させれていないとかプスクス」


「草子さん……自然神というのは強力な力を持っています。それが呪いを宿し禍穢神になればより強力になります。……まあ、《黄昏の大罪トワイライト・シン》と比べてしまえば大したことはないように見えてしまいますが」


「まあ、《黄昏の大罪トワイライト・シン》は神すら内包する世界だからね。あれ、実は相当強いんだよ? 比較対象が悪過ぎる。……超古代文明マルドゥークの兵器が無かったら負けてたし。……ん? もしかしなくても、勇者御一行様は自然神を殺すために向かい、中途半端にダメージを与えた結果、禍穢神にしてしまった……そんな感じ?」


「……その通りです」


 あっ、マジで……風向きが変わったと思ったらそう来たかー。

 ジョセフ支部長が頭を抱えている理由はその禍穢神……まあ、大体そんなところか?


自由組合冒険者ギルドの金ランクには招集をかけている途中だよ……といっても空間跳躍なんてできないからね。君達に出したい指名依頼というのは、その禍穢神の討伐ということになる。……難しいとは思うけど」


「いや、いいっすよ? こっちにはお祓いのプロがいますし」


「お祓い……というよりは、精霊の巫女ですが、禍穢神の怒りを鎮めさせることはできます」


「ってことです。まあ、最悪の場合は異世界カオスの最高位の【神聖魔法】――〝霊体崩壊エーテリアス・デイスインティグレーション〟で魂諸共消し飛ばしますので、問題ないです」


「流石はミント正教会の誇る最高位の大聖女アーク・ピュセルなり。草子に任せれば問題はあらず」


「……あの、草子さん。草子さんって男ですよね? でも、大聖女アーク・ピュセルはどう考えても女性限定……一体どういうことなんですか?」


「裕翔さん……君のような勘のいい奴は嫌いだよ」


 カタリナはミント正教会に潜入するために仕方なく演じたんだからね(ノリノリでやっていたのとは絶対にヒ・ミ・ツ♡)。


「では、ジョセフ支部長――両替の件、よろしくお願い致します。裕翔さん、美春さん、お二人はどうします? 同郷の連中の尻拭い……まあ、嫌ですよね」


「まあ、顔を知っている連中ですし、俺達が見て見ぬ振りをする訳には行きませんから」


「私も……面倒だけど、あの莫迦達が仕出かしたことの火消しをしないといけないわ。……でも、私達にはその力はない」


「決まりですな。……とりあえず、ステータスプレートがあると割引されるという武器屋や防具屋に行ってみるとしよう。そこでめぼしいものが無ければ俺に考えがある。嫌われる人には嫌われるパワーレベリングだけど、この世界はこれはゲームであっても、遊びではない……まあ、ゲームの要素はあってもゲームですらないんだけど。死ねば本当に死ぬマジモンのデスゲームだ。デスゲームという名の現実リアルだ。ステータスは高い方がいい。勿論、大変だけどすぐに勇者を越えることができる……多分。で、どうする」


「勿論、やります。やらせてください」


「お願いします」


「いい覚悟だ。……ってことで、この二人少しの間借りますね」


 交渉成立だな。……とりあえず、現時刻と座標をエンリに取得させておくか。

 その後、俺は青褪めたジョセフから三億ルピを金と交換で受け取り(ジョセフだけでは対応できず、途中から知り合いの両替屋を三人ほど呼び寄せていた)、裕翔と美春と共に商業都市カセドラへと繰り出した。


 ちなみに、ブルックの町の詰所にはキャスリンが、商業都市カセドラの検問には自由組合冒険者ギルドの職員が行ってくれた模様。決して面倒だったから顎で使った訳ではない。俺が頼むまでもなく、勝手に自体が進行していたのである……だから、批難するのはマジでやめてください!!

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