龍王祭 ―Evolution―
異世界生活百三十二日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、クマルスの町
近くにあったクマルスの町に向かい、そのまま小さな食堂に入った。
道中、多くの魔族から鋭い視線に晒されたが流石に石を投げられるまではいかなかった。間違いなく鶫のおかげだな。
店内に入っても状況は全く改善しない。
魔族の感情は外敵に対する敵意と人間に対する恐怖。
俺達が座ったテーブルにやってきた店員の抱いている感情は後者のようだ。
「ご、ご注文は」
「……怯えるなって言っても流石に無理か。……えっと、とりあえずこのおススメって奴を一つ。ジューリアさんは?」
「同じものによし」
「では、私も本日のオススメランチにしよう」
「か、畏まりました!!」
うん、看板娘ちゃん落ち着こうか。看板娘ちゃんのファンと思われる男性魔族とオバサマの視線が痛い。さっきより遥かに殺気が増しているんだが。
「じゃあ、早速聞かせてもらうとするか。……五箇伝って幹部クラスが御自ら陣頭指揮を執るってことは相当なことがあるんだろ?」
「……本当は優雅に昼食を取っている暇はないんだがな。……
「人間との共存を望む竜とそれに反対する竜との間で起きた戦争的な何かか? あっ、人間に竜の力を付与して対抗するのはやめた方がいいよ? 本物の竜になった人間に竜が全滅させられて終結するだろうから」
「……お前は一体何の話をしているんだ? 私が話しているのはドラゴンの王を決める祭りのことだ。ドラゴンが多く生息する
なるほど……
「まあ、なんとなく理解したよ。要するにドラゴンのオールスターをぶっ潰して、もし〝龍王〟に即位しているドラゴンがいたらそいつをぶっ殺りにすればいいんだろう?」
魔族達がギョッとした表情を浮かべていたが、多分気のせいだろう。
「……恐ろしくはないのか?」
「恐ろしい? ……〝龍王〟と魔王ってどっちが強いんだ?」
「それは勿論、魔王様だ」
「俺は魔王を倒すつもりでいる。だけど、俺とジューリアの真の狙いは魔王よりも遥かに強大な力を持つとある秘密結社の部門長だ。俺や超帝国マハーシュバラのインフィニット大将軍と同じ因果を超越した存在だ。……なんでその俺が、バグったモブキャラが〝龍王〟如きを恐れなければいけないんだ? 意味分からないだろ?」
「そういえば、私の攻撃も通用していなかったな。……それが、因果を超えた存在の強さということか」
「ああ……だけど、魔王軍を強化するために俺と同じ領域に引き上げようなんて絶対に考えるなよ。……才能の限界を超えさせるための非人道的な計画に繋がりうる。だが、そんなことをすれば多くの命が失われるだろうし、間違いなく失敗するだろう。この領域に至るためには、強いエゴが必要だ。大切な人を守りたい、理不尽な運命を壊したい……そういうものがあるものだけが、俺達と同じ領域に至る。……あっ、魔王領エーイーリーの魔王軍幹部様との勝負は耐性を全て無効化する特殊な結界を使うし、HPがゼロになっても死なないルールを適応するから特に気にしなくてもいいよ」
今度は鶫も驚きの表情で固まったんだが……いつの段階で驚いたのだろうか?
「……ヘズティス様と全力で戦ったにも拘らず、ヘズティス様が死んでいないのはその結界のおかげか」
「まあ、そういうことになるね。……まあ、もう少し自重した方がいいかもしれないって戦いになったけど。……正直、あの結界を使わずに本気の死闘を繰り広げていたら大変なことになっていたと思うけど。二人目のお客様が厄介な相手で……流石に殺意が湧きましたよ。他人の記憶を弄び、シャルミット=シャーヌフという一人の魔族を殺した
ユーゼフの件とシャルミットの件――俺は今回の敵に二つ借りがある。
勿論、
「行方不明のシャルミット殿を救った――それが、ヘズティス様がお前達を認めたきっかけということか」
「別に認められたとは思っていないし、あのセクハラ
例え多くの命を踏み潰しても必ず地球に帰る――その生き方に共感しろとは言わないし、されたいとも思わない。
「お、お待たせしました」
「おっ、来た来た。良心的な価格でこのボリューム」
ご飯っぽいものと汁物、サラダと野菜炒めとローストビーフとフルーツ……相当良心価格だよね、これ。
下町だからできたこと、だな。
「……美味なり」
「だな。……やっぱり、旅の醍醐味といえば旅先の料理と新たな出会いだよな。ズルして色々なものをすっ飛ばしたら、こうやって旅の楽しみを味わうことはできない。やっぱり旅といえば徒歩だ。馬車とか使うのは邪道だよな」
「……草子だったか? 徒歩で旅をするというのは非常識だと思うのだが。ニンゲンの世界でも馬車を使うのが一般的なんだろう?」
「いや、魔獣が出現する世界で馬車を使うと戦闘開始までにタイムラグができるだろう? 幸い、人間の世界にも魔族の世界にも山を除けば一定の距離で町や村があるし、上手く使えば徒歩でも問題ないと思うんだけど……みんな保守的だからな」
さて、後はデザートのフルーツか。
「おっ……甘いな、これ。レッドシャインフルーツっていうのか。……これってどっかに売ってたりするのかな?」
「レッドシャインフルーツなら、普通に市場で売っているぞ。……ニンゲンの国にはないのか?」
「人間の方ってなんか元の世界と生態系が似ているんだよね。で、レッドシャインフルーツなんてものは聞いたことがないから多分ないんじゃないかな? ちょっと甘さが強い気もするし、ヨーグルトと組み合わせたら上手く調和しそうだけど。……まあ、俺如きに見つけられるのなら、商人の目があるナシャンダも目をつけるだろうし、ザナッシュも看板商品として売りに出すだろう。……問題は商人って種族は一筋縄ではいかないということか。まあ、俺は関係ないからいいけど」
まあ、【空間魔法】の使い手の特権て奴だな。希少な魔法なんだし、これくらいは役立ってくれないと。
◆
異世界生活百三十二日目 場所ジュドヴァ=ノーヴェ魔族王国、
クマルスの町から徒歩二時間。俺達は
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NAME:ワイバーン=エヴォリューション
LEVEL:1000
HP:100000/100000
MP:100000/100000
STR:120000
DEX:150000
INT:10000
CON:100000
APP:300
POW:100000
LUCK:15000
SKILL
【
→竜の爪は全てを引き裂くよ!
【
→竜の尾は全てを砕くよ!
【
→竜の鱗はあらゆる攻撃を防ぐよ!
【
→竜の息はあらゆるものを焼き尽くすよ!
【
→竜の翼はどこまでも飛べるよ!
【
→竜の感覚は全ての生き物の中で最も鋭いよ!
【灼熱の牙】LEVEL:1000
→灼熱を纏った牙で噛みつくよ! 【噛み砕く】の上位互換だよ!
【凍てつく牙】LEVEL:1000
→凍てつく冷気を纏った牙で噛みつくよ! 【噛み砕く】の上位互換だよ!
【雷の牙】LEVEL:1000
→雷を宿した牙で噛みつくよ! 【噛み砕く】の上位互換だよ!
【頭突き】LEVEL:1000
→頭突きが上手くなるよ!
【脅嚇】LEVEL:1000
→脅嚇が上手くなるよ! 【威嚇】の上位互換だよ!
【嗅覚】LEVEL:1000
→嗅覚が鋭くなるよ!
【咆哮】LEVEL:1000
→咆哮で仲間に居場所を知らせたり、威圧できるよ! 【遠吠】の上位互換だよ!
【掣肘】LEVEL:1000
→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!
【覇潰】LEVEL:1000
→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!
ITEM
-----------------------------------------------
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NAME:ワイアーム=エヴォリューション
LEVEL:1000
HP:200000/200000
MP:100000/100000
STR:120000
DEX:120000
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APP:300
POW:100000
LUCK:15000
SKILL
【
→竜の尾は全てを砕くよ!
【
→竜の鱗はあらゆる攻撃を防ぐよ!
【
→竜の息はあらゆるものを焼き尽くすよ!
【
→竜の感覚は全ての生き物の中で最も鋭いよ!
【灼熱の牙】LEVEL:1000
→灼熱を纏った牙で噛みつくよ! 【噛み砕く】の上位互換だよ!
【凍てつく牙】LEVEL:1000
→凍てつく冷気を纏った牙で噛みつくよ! 【噛み砕く】の上位互換だよ!
【雷の牙】LEVEL:1000
→雷を宿した牙で噛みつくよ! 【噛み砕く】の上位互換だよ!
【猛毒の牙】LEVEL:1000
→猛毒を宿した牙で噛みつくよ! 【毒の牙】の上位互換だよ!
【頭突き】LEVEL:1000
→頭突きが上手くなるよ!
【突撃】LEVEL:1000
→突撃が上手くなるよ! 【突進】の上位互換だよ!
【捨て身】LEVEL:1000
→捨て身攻撃が上手くなるよ!
【奇襲】LEVEL:1000
→奇襲が上手くなるよ! 【不意打ち】の上位互換だよ!
【躱避】LEVEL:1000
→攻撃を躱すのが上手くなるよ! 【回避】の上位互換だよ!
【穴掘り】LEVEL:1000
→穴掘りが上手くなるよ!
【潜伏】LEVEL:1000
→潜伏が上手くなるよ!
【脅嚇】LEVEL:1000
→脅嚇が上手くなるよ! 【威嚇】の上位互換だよ!
【嗅覚】LEVEL:1000
→嗅覚が鋭くなるよ!
【咆哮】LEVEL:1000
→咆哮で仲間に居場所を知らせたり、威圧できるよ! 【遠吠】の上位互換だよ!
【掣肘】LEVEL:1000
→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!
【覇潰】LEVEL:1000
→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!
ITEM
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NAME:ドレイク=エヴォリューション
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SKILL
【
→竜の爪は全てを引き裂くよ!
【
→竜の尾は全てを砕くよ!
【
→竜の鱗はあらゆる攻撃を防ぐよ!
【
→竜の息はあらゆるものを焼き尽くすよ!
【
→竜の翼はどこまでも飛べるよ!
【
→竜の感覚は全ての生き物の中で最も鋭いよ!
【竜の加護】LEVEL:1000
→竜の加護だよ! 竜系スキルの効果を上昇させることができるよ!
【頭突き】LEVEL:1000
→頭突きが上手くなるよ!
【脅嚇】LEVEL:1000
→脅嚇が上手くなるよ! 【威嚇】の上位互換だよ!
【嗅覚】LEVEL:1000
→嗅覚が鋭くなるよ!
【再生】LEVEL:1000
→失った部位を再生できるようになるよ! 【体力回復】の上位互換だよ!
【咆哮】LEVEL:1000
→咆哮で仲間に居場所を知らせたり、威圧できるよ! 【遠吠】の上位互換だよ!
【掣肘】LEVEL:1000
→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!
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→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!
ITEM
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NAME:アンフィスバエナ=エヴォリューション
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SKILL
【
→竜の爪は全てを引き裂くよ!
【
→竜の尾は全てを砕くよ!
【
→竜の鱗はあらゆる攻撃を防ぐよ!
【
→竜の息はあらゆるものを焼き尽くすよ!
【
→竜の牙はあらゆるものを貫くよ!
【
→竜の翼はどこまでも飛べるよ!
【
→竜の感覚は全ての生き物の中で最も鋭いよ!
【頭突き】LEVEL:1000
→頭突きが上手くなるよ!
【脅嚇】LEVEL:1000
→脅嚇が上手くなるよ! 【威嚇】の上位互換だよ!
【嗅覚】LEVEL:1000
→嗅覚が鋭くなるよ!
【咆哮】LEVEL:1000
→咆哮で仲間に居場所を知らせたり、威圧できるよ! 【遠吠】の上位互換だよ!
【掣肘】LEVEL:1000
→掣肘が上手くなるよ! 【威圧】の上位互換だよ!
【覇潰】LEVEL:1000
→覇潰が上手くなるよ! 【覇気】の上位互換だよ!
ITEM
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いきなり汎●機竜三体か……って違う? アンフィスバエナはいなかったな。
なんか、全部にエヴォリューションとついているが……どの辺りがevolutionしたのだろうか? 俺、ワイアームとドレイクとアンフィスバエナは見たことがないからよく分からないな。
「鶫さん、何体引き受けてくれる?」
「何を言っている! こんなもの、一体ずつ倒すしかないだろ!!」
「……了解。んじゃ、ジューリアさんも一体引き受けてくれ。残りは俺がやるからさ」
「了解なり」
ジューリアはワイバーン=エヴォリューションを、鶫はワイアーム=エヴォリューションを、それぞれ相手するらしい。
「〝双星顕符〟」
「――太極光闇飛斬」
流石にジューリアでもワイバーン=エヴォリューションを一撃で仕留めるのは無理か。
ん? ワイバーン=エヴォリューションが口を開いた? 【
ジューリアの
「妖華一刀流・桜吹雪」
鶫は鞘から妖刀紅桜-狂咲-を抜いたか。……ん? 桃色っぽい光が宿っているな。
もしかして、ステータスにあったSP……これを使った【妖術】という奴か。
高速の突きがワイアーム=エヴォリューションの鱗を削っていく。その時に弾けた妖力はまるで桜の花弁みたいだ。
もしかしなくても、これが桜吹雪という名前の由来だな。
「さて、俺もそろそろ戦うとするか。【魔法剣・
【法則掌握】を発動して不可視の加重でワイバーン=エヴォリューション達を地面に落としてから【究極挙動】で斬り捨てる。
死体は全部俺の屋敷に転送しておくか。
「ジューリアさん、鶫さん。ヘルプいる?」
「……まさか、もう終わったのか?」
「いつものことなり……我の方は一人なになどせらる」
「私の方も問題ない。……少し時間はかかるがな」
その後、ジューリアと鶫は数分掛かりでワイバーン=エヴォリューションとワイアーム=エヴォリューションを倒し、俺達は山の奥へと歩を進めて行った。
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