文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
【インフィニット視点】超帝国最強vs結社のくノ一
【インフィニット視点】超帝国最強vs結社のくノ一
異世界生活十八年六十一日目 場所ウェヴナンツ小国
ウェヴナンツ――超帝国マハーシュバラの南東に位置する小国で、今なお併合を回避している唯一の国家と言える。
この国に俺達――超帝国マハーシュバラ・国防陸軍の
「まさか、ここまで戦えるとは思っていなかったでござる。拙者、ちと甘く見過ぎていたでござる」
この冗談みたいな口調で話す小娘は、ユウキ=ミコヒダリというらしい。
エルフとドワーフのハーフで、ヴァパリア黎明結社の暗殺部門長を名乗った。
この国は今や完全にヴァパリア黎明結社の支配下に置かれている。奴らの目的が我々の監視である以上、このままおめおめと見逃す訳にはいかない。
「全知全能を殺すべく、天をも内包した大地の果てより顕現せよ。星々を砕く百の首で理不尽を殺せ――〈
起動コードを呟き、〈
あの小僧に負けてから、新たに工廠の連中に作らせた俺の新たな力――今の俺ならば、あの小僧を粉砕することも容易だろう。
「それが、噂の〈
「厄介……それでは、まるで勝てると言っているようだな」
「愚問、でござるよ?」
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NAME:御子左優姫
LEVEL:20000(DESPERADO)
HP:5000000/5000000(+60000)
MP:4000000/4000000(+60000)
STR:6000000(+60000)
DEX:6000000(+60000)
INT:28000(+60000)
CON:4000000(+60000)
APP:72000(+60000)
POW:4000000(+60000)
LUCK:4000000(+60000)
JOB:
TITLE:【神出鬼没のくノ一】、【エルフとドワーフの血を受け継ぐもの】、【美しき殺人者】、【闇を渡る者】、【黎明結社暗殺部門部門長】、【
SKILL
【片手剣理】LEVEL:10000
→片手剣の真髄を極めるよ! 【片手剣】の上位互換だよ!
【暗殺剣理】LEVEL:10000
→暗殺剣の真髄を極めるよ! 【暗殺剣術】の上位互換だよ!
【投擲】LEVEL:10000
→投擲が上手くなるよ!
【無拍子】LEVEL:10000
→無拍子が上手くなるよ!
【躱避】LEVEL:10000
→攻撃を躱すのが上手くなるよ! 【回避】の上位互換だよ!
【神速縮地】LEVEL:10000
→神速の領域に至った速度で相手と距離を詰めるよ! 【迅雷縮地】の上位互換だよ!
【重縮地】LEVEL:10000
→【縮地】を連続で行えるよ!
【忍術】LEVEL:10000
→忍術を会得するよ!
【密偵】LEVEL:10000
→密偵の技術を得るよ!
【変装】LEVEL:10000
→変装が上手くなるよ!
【暗躍】LEVEL:10000
→暗躍が得意になるよ!
【潜伏】LEVEL:10000
→潜伏が上手くなるよ!
【隠形】LEVEL:10000
→隠形が上手くなるよ!
【無音移動】LEVEL:10000
→忍び歩きが上手くなるよ! 【忍び歩き】の上位互換だよ!
【尾行】LEVEL:10000
→尾行が上手くなるよ!
【森羅魔眼】LEVEL:10000
→森羅万象を見通す魔眼を得るよ! 【看破】、【邪眼】、【魔眼】、【瞳術】、【透視】、【千里眼】の上位互換だよ!
【物理無効】LEVEL:10000
→物理を無効にするよ! 【物理耐性】の上位互換だよ!
【衝撃無効】LEVEL:10000
→衝撃を無効にするよ! 【衝撃耐性】の上位互換だよ!
【魔法無効】LEVEL:10000
→魔法を無効にするよ! 【魔法耐性】の上位互換だよ!
【状態異常無効】LEVEL:10000
→全ての状態異常を無効にするよ! 【状態異常耐性】の上位互換だよ!
【即死無効】LEVEL:10000
→即死を無効にするよ! 【即死耐性】の上位互換だよ!
【因果無効】LEVEL:10000
→因果干渉を無効にするよ! 【因果耐性】の上位互換だよ!
【ヴァパリア黎明結社共通語】LEVEL:1000
→ヴァパリア黎明結社共通語を習得するよ!
ITEM
・オリハルコンの忍刀
→オリハルコン製の忍刀だよ!
・苦無×999
→苦無だよ!
・風魔手裏剣×999
→風魔手裏剣だよ!
・忍装束
→忍装束だよ!
・黎明結社のペンダント
→ヴァパリア黎明結社のシンボルである六芒星に十字架を合わせた意匠のペンダントだよ!
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小娘に【森羅魔眼】を発動し、ステータスを確認してはみたが……妙だな。
DESPERADO……こんな表記は見たことがない。
先手必勝――妙なことをやられる前に先に潰そう。
「第一の特殊武装
光を刀身へと変化させる特殊武装。リーチの短い武装だと思われるかもしれないが、【究極挙動】を持つ俺にとって最も扱いやすいのは使い慣れた刀剣のような武器――これを使った時の俺に勝る剣士は存在しない。
「へぇ、面白い武装でござるな。――忍法・火遁の術」
王道だな。苦無に炎を纏わせ、投げてきたか。
「この程度の攻撃を無力化するなど、造作もないことだ」
前世で
「第三の特殊武装
鏃型の砲台を空中に展開し、小娘に向ける。
そのまま一斉掃射……ん? あんまりダメージ無さそうだな。というか、無傷。
「第四の特殊武装
恒星エネルギーを収束し、貯蔵、そのエネルギーを収束発射、拡散発射、多角攻撃など様々な性質で放つことができる特殊武装。
一応、空に打ち上げておいてはみたが、実際に使うつもりは無かった。
「もう、酷いでござるよ! しばらく前が見えなくなっていたでござる!!」
そこに立っていたのは、無傷の小娘……そんな、バカな。
「何故、ここまでの攻撃を受けて生きていられる」
「それは企業秘密でござるよ? まあ、教えたところでお主に辿りつける筈ないでござるが……では、そろそろ死んでもらうでござる」
小娘の姿を見失った! ちっ、【隠形】か!!
「第一の特殊武装
敵の姿を捉えることはできていないが、これだけの斬撃を【飛斬撃】で飛ばしつつ、【斬痕】を使って斬撃を残していけば多少は小娘を止めることも――。
「……なんだと」
あの小娘は平然と斬撃の中を突き進み、俺の前にやってきた。
「あれれ? 予想外でござるな。どうやら、もっと歯応えがある敵だと思った拙者の過大評価だったようでござる……では、死んでもらうでござる」
忍刀を振りかざす小娘――素早く
刃が突き刺さる。刺されたのは腹だったが、HPのあるこの世界ではどこを刺されようともダメージが蓄積し、最終的には死に至る。
……次第に意識が遠退いていく。走馬灯が脳裏を過る。
筋骨隆々なアフリカ系アメリカ人ケリー・ブランクス解放軍中尉、紳士を気取ったイギリス人サー・エドワード・ブリアーズ解放軍中尉、せっかちなフランス人シュゼット=ルモワーニュ元解放軍中尉、銀髪のロシア人リュドミラ=コシェレワ解放軍少尉、道服を身に纏った
…………西村、坂口。
俺が初めて指導役を引き受けた二人の新人自衛官――
俺は少しずつ彼らの方に行きかけ……二人に止められた。
……まだこっちに来るなってことか。
二人は喋れないのかジェスチャーで俺の足元を指差した。
……これは、足枷か? 遥か後方まで鎖が伸びている。
あの二人はこれを壊せと言っているのか?
必死に引っ張っても全くビクともしない。壊すといったって武器を持っていないんだから、壊すなんてできない。
いや、そもそもこれは本当に鎖なのか? 鎖という形に具象化されたもっと別の、存在の不確かなものではないのか?
これは……もしや、俺の運命だとでも言いたいのか?
運命か……西村と坂口がゲリラに殺されたのが運命だというのなら、俺にとってそれは因縁の相手だ。
そして、そんな二人に似た大黒と栗花落に合わせたのもまた、運命と言うのなら、あれほど残酷な敵は存在しない。
俺達は確かにあの世界で死に、生まれ変わった。そして、再会を果たした。
あの時のように、運命が再び俺達の道を塞ぐのならば、今度こそ運命を破壊してやる!!
――鎖の砕け散ったような音を聞いたのは、その瞬間だった。
◆
突き刺さった刀剣を抜き去り、地面に捨てる。
俺を殺したと思っていたらしい小娘は、幽鬼でも見たような驚愕の表情を浮かべていた。
「……もしや、
「なるほど、これがヴァパリア黎明結社の強さの秘密ということか。確かに、限界を超えなければお前達に勝つことはできん……それを強く実感させられた」
これで俺は小娘にダメージを与えられる。確証がある訳ではないが、なんとなくそう思う。
限界を超え、因果の果てに至った今の俺ならば、どんな理不尽な運命をも覆せる気がする。
運命の外側に自らの足跡を刻む――これが、
「……最早、出し惜しみは無しでござるよ! 拙者の超越技――使わせてもらうでござる!!」
「ほう、超越技というものが使えるようになるのか。スキルとはまた違うもののようだな」
落ちた忍刀を拾い、再び【隠形】を使う小娘。
「第一の特殊武装
さっきの攻撃が効かなかったのは、超越した存在を限界の存在する俺では傷つけられないという理屈が働いたからだろう。だが、その理屈はもう存在しない。
確かに、小娘を斬った……その筈だが、その傷が見間違えだったように完全に消えている。
一切勢いが消えないまま小娘が迫る……ちっ、陸戦型のテューポーンでは空に逃げることはできない。
「困惑しているでござるな! これこそ、拙者の超越技――Schrödinger's catでござるよ! 剣を受ける瞬間の拙者には斬撃を受ける拙者と受けない拙者が重ね合わせになっているのでござる。それと同じように攻撃をする時は躱される、攻撃に成功するの二つの事象が重ね合わせになっているのでござる。拙者の超越技はそんな重ね合わせの未来から最良のものを選び取るというもの。拙者はインフィニット殿の斬撃を受けない選択肢を選んだのでござる」
シュレーディンガーの猫のように確定されていない状態から、その結果を自由に選び取る能力か。
……厄介だな。
「いくら
確かに、今の俺の力ではSchrödinger's catを突破することはできない。
が、俺の超越技を使えばどうだ?
まだ見ぬ俺の超越技。もし、それが自らの
俺が【究極挙動】の原型となった自身の剣技を振るい、多くの戦いを生き抜いてきたからだ。
そして、そのまま
刹那、小娘の身体に真一文字の傷が浮かび上がる。
「……どういう、こと、で、ござるか? 拙者のSchrödinger's catを突破する術は無い筈」
「愚問だな。可能性があるのであれば、可能性ごと切ればいい。俺の斬撃はお前を斬るのと同時に全宇宙、全世界線、全パラレルワールドに存在するお前を同時に切り裂いた。全てのお前という存在に同時に干渉し得る斬撃――絶対切断とでも名付けようか?」
小娘に後二、三撃浴びせたら沈んだ。
この世界には
「第四の特殊武装
光の柱に包まれた小娘は跡形も無く消し飛んだ。
◆
「……流石は
俺を出迎えたのはかつて栗花落佳奈の記憶を持つエルフの女――いや、かつての名を捨て、栗花落佳奈として生きることを決意した今の彼女を、今更エルフの名で呼ぶ必要はないか。
ステータスからもエルフだった頃の名は消え、「栗花落佳奈」の五文字が書かれている。
「……奴は
超帝国マハーシュバラ、超皇帝シヴァ=プリーモ。彼こそ、佳奈の恋人である大黒壬解放軍軍曹の記憶を持つ存在だ。
あの男は、誰よりも佳奈のことを大切に思っている。佳奈が強く志願しなければ、そのまま妃に迎えられていただろう。
「私だけ戦わないという選択肢はありませんから。階級は低いですが、私だって解放軍のメンバーだったんです。……それに、ストレリチア=サン・バエ・ドキュの名を捨て、彼女の人生を奪った私が何もしないのでは、彼女に申し訳が立ちませんからね」
佳奈が
これに関しては佳奈一人ということではなく、俺と壬(超帝国マハーシュバラが、まだ帝国マハーシュバラだった頃の中でも初期にいたメンバー)を除けば全員に共通することだ。
確かに、ストレリチアの家族にとって栗花落佳奈という人格は最愛の娘を奪った仇のような存在に映っているだろう。
前世の記憶を取り戻すことで、全く別の、得体の知れない存在になってしまったのだから。
まあ、それに対して俺がとやかく言うつもりはないが。佳奈自身が選んだのならば、それに対し他人にとやかく言う権利はない。
「よっ、隊長さん! そっちは終わったか?」
「ヨミ隊長、こちらは全て制圧を完了致しました」
魔族の中でも、雪女や吸血鬼のような固有名詞が与えられていない、所謂魔族出身のケリー・ブランクスと、金髪を靡かせた貴族風の雰囲気を醸し出すエルフのサー・エドワード・ブリアーズが戻ってくる。
流石にこの二人がヴァパリア黎明結社の雑兵如きに負けることは無いだろう。
「こっちも終わったわ。……それで、まだ全員揃ってないの?」
次に来たのは虎の獣人の女性に転生したシュゼット=ルモワーニュ。
せっかちな性格で、優雅を求めるエドワードやおっとりとしたリュドミラとは相性が悪い。
「ようやく終わりましたわ。ちょっと敵に手間取りまして」
「遅い!! 高が
「……シュゼットさんは短気過ぎますわよ。もしかして、生き急ぐのは短命だからですか?」
「……ッア!? リュドミラ、もう一回言ってみろ!!」
「…………五月蠅い。面倒ごとを増やすな。これ以上、俺に手間を取らせる気か?」
この二人は面倒ごとの要因だ。少しは静かにしてもらいたい。
「西の制圧、完了しました。……また、お二人は揃って雷を落とされたようですな」
前世でも現世でも道服を身に纏った細目のドワーフ、
「雑兵狩り、ご苦労だった。こっちは、暗殺部門長を倒すことに成功し、ヴァパリア黎明結社の力を暴くことに成功した。連中の強さの秘密は限界を超えた先の存在――
「……なるほど、それならば納得がいきます。ヴァパリア黎明結社が強大なのは、勇者や魔王などとは文字通り段階が違うからなのですね。……そして、それを倒された逢坂隊長は、その領域に達したと」
「――マジか! どうやってやったんだ!!」
ケリーはすぐに飛びついてきたか。まあ、ノリがいいのがコイツの個性だが。
「その方法を見つけるのもお前らの仕事だろう?」
「ヨミ隊長が素直に教えてくれる筈がありませんよ。この方は傲慢に道を開き、その背中でもって私達に道を示してくださるのですから」
「…………エドワード、今俺の悪口を言わなかったか?」
「さあ、なんのことでしょう?」
……相変わらず食えない男だな。
「そろそろ戻るか、超皇帝陛下もお待ちだ」
「早く行くわよ! 時間は有限、無駄にする訳にはいかないわ!!」
「おっ、おい待て! ……たく、せっかちな奴だ」
「それが、シュゼット様の良さというものでございますよ。ケリー様」
「……聖人君子だな、昌勲は。アンタに許容できないことはあるのか?」
「勿論、私にも許容できないものはございますよ? ヴァパリアなどという世界を思い通りに操り、人の心を弄ぶ存在を私は許容できない。だから、皆様と共に行動しているのでございます」
拱手をしながらにこやかに微笑む昌勲。……昔から変わらないな、コイツは。
さて、俺達も戻るとしよう。我らが皇帝――
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