文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
シチリアのマフィア風の名前の男が「者共、出合え出合え!」と叫ぶことは恐らくファンタジー以外ではあり得ないだろう。
シチリアのマフィア風の名前の男が「者共、出合え出合え!」と叫ぶことは恐らくファンタジー以外ではあり得ないだろう。
異世界生活七十日目 場所水の街アクアレーティア、ヴィッツィーニファミリーのアジトB2F
「頼もー? ……何を頼むのだろうか? 道場破りじゃねえしな。ボスの首? んなもんいらねえよ。血で汚れるし」
ヴィッツィーニファミリーのボスの部屋の扉をとりあえず蹴破ってみた。
中は貴族に匹敵するほど豪奢な作りだった……明らかに稼いでいるな、コイツ。
「なんだ貴様!! この俺をヴィッツィーニファミリーの首領、カロジェロ=ヴィッツィーニと知っての狼藉か! 者共、出合え出合え!!」
いや、絶対こんな小物じゃねえよ。本人様に謝れって感じだよ。
というか、出合え出合え? 時代劇? 悪代官とかと後ろで繋がっているのだろうか? ……「おぬしも悪よのう」的な?
いや、ここは西洋風? な異世界だからこのセリフを言う相手は貴族様か? ……もしくは、アレクとかその周辺の奴?
「……悪徳奴隷商人はなかまをよんだ! しかしだれもあらわれなかった!! いや、まあそりゃそうだよね。俺が全部倒したもの。知ってた? 二階は血の洪水……ってほどではないけど結構血塗れになっているよ? 行くなら緑の服を着ていくのをオススメするけど? 補色残像を少しは和らげてくれるんじゃね?」
「――まさか、俺の仲間を殺したというのか!? あれだけの数をたった一人で!!」
「いや、俺一人じゃないっすよ。一階は今頃白崎さん達が制圧している筈だから。だから、俺がやったのはほぼ二階だけ?」
「……二階、だけだと! 二階にはヴィッツィーニファミリーのメンバーの八割が居た筈だ!! それを全部お前一人で!! 何者だ! 貴様!?」
「……俺? 俺は能因草子、ただの通りすがりの旅人だよ」
「能因草子……だと! 新参のフランシス=ホーキンスの奴隷商人組織を壊滅させた【惨虐の偽善者】ッ!!」
……ん? 【惨虐の偽善者】? 偽善者って善良であると偽る人のことだよね?
なのに惨虐なの? 善人の皮を被ってないじゃん。
……調べたら俺のTITLE欄に【惨虐の偽善者】が追加されていた。
なんだよ! この矛盾した称号!!
「まあ、いっか。……えっと、カロジェロだっけ? お前を捕まえて水の街アクアレーティアの領主に突き出さないといけないから、とりあえず意識を失ってもらおうか? 〝痛みを理解したまえ〟――〝ダイレクト・ペイン〟」
タンスに小指をぶつけた時の千倍の痛みを精神に直接流して気絶させた。
そのまま〝
「何者だ! ……って、草子殿? こんな夜更けにどうしたんだ?」
出迎えてくれたのはシャリナだった。目を擦っている……ここの警備、本当に大丈夫か?
「えっと、お届け物? 物じゃなくて人だからお届け者? なんだかお尋ね者っぽいな? まあ、お尋ね者なんだけど。ということで、これ、ヴィッツィーニファミリーの首領カロジェロ=ヴィッツィーニ。気絶しているからお早めに牢に繋ぐことをオススメするよ」
「……まさか、こんなにも早く捕えるとは。ちなみに、他のヴィッツィーニファミリーのメンバーは?」
「面倒だったから地面の染みにしてきたよ? ありゃ、もう事故物件だから使い道なさそうだけど」
「……まさか、あれだけの数を殺したのか?」
「いや、殺さず無力化することもできたけど、手加減って面倒なんだよね。その辺り、ご迷惑をおかけします」
「こちらとしてはヴィッツィーニファミリーを壊滅させてくれただけで、感謝しても仕切れない。その手段についてまで文句をつける立場ではないさ」
とりあえず、これで報告終わりっと。
「それじゃあ、俺は奴隷を解放してくるんで」
「すまないな。明日の朝、そっちに何人か人を送る。……と、そろそろ交代の時間だ。私も失礼するよ」
シャリナと別れだ俺は〝
「
地面に向かって縁を描くようにエルダーワンドを動かしてから中心を突き、出現した魔法陣から飛び出した巨大な切っ先が床を砕く……まあ、階段があるところに移動するの面倒だからね。
降りた先には、どこまでも続く檻……囹圄ではなさそうだ。
「……ɾeda? moɴjatɕiinʲio、makananotɕitaɴsadʑioiɰako、nona?」
瑠璃色のセミロングくらいの髪が特徴的な端正な顔立ちの三、四歳くらいの女の子ってところか?
けど、普通耳がある場所にヒレっぽいものがついているし、手足には水掻きのようなものがある。
水掻きについては人間にもちょっとはあるけど、かなり退化しているからな。ヒレに関してはどこの人間を探しても多分見つからないだろう。
しかし、言語が分からないな。【智慧ヲ窮メシ者】を使ってもInternational Phonetic Alphabet――国際音声記号でしか表記されないし。
いや、自力で翻訳はできそうだけど面倒だからな。とりあえず、まずはステータスを確認してみるか。
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NAME:ミュナ=トリアイナ AGE:3歳
LEVEL:3 NEXT:60EXP
HP:90/90
MP:40/40
STR:30
DEX:35
INT:13
CON:30
APP:60
POW:30
LUCK:12
JOB:-
TITLE:【海棲族の姫君】
SKILL
【海棲語】LEVEL:1
→ 海棲語を習得するよ!
【水操作】LEVEL:1
→水を操作するよ! 【水刃】、【水移動】の上位互換だよ!
ITEM
・ボロ切れ
→ボロボロの布切れだよ!
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後120あります。
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要するに【海棲族の姫君】ってことか? そういえば、錬成師が主人公の異世界モノにも海人の幼女が出てたっけ? まあ、関係ないけど。
で……なんで姫様が奴隷落ちしてんの? 警護の人達、何してたの!!
とりあえず、まずは会話をできるようにしないといけないな。
「〝言霊よ、我と汝を隔てる言葉の壁を壊し給え〟――〝シェア・ラングウィッジ〟」
俺とミュナの言語を共有したことで、俺は【海棲語】を、ミュナは【マルドゥーク語】、【クライヴァルト語】、【マハーシュバラ語】、【エルフ語】を習得した。(俺のはすぐに統合されたけど)
「……誰? お兄ちゃんも怖いおじさん達の仲間、なの?」
なるほど。俺達の耳には海棲語ってのは日本語を逆から読んで、それをIPAに変更したものだと聞こえるんだな。
あんまり複雑じゃないし、やろうと思えば翻訳できるけど。まあ、面倒だし。
「いや、違うよ? 俺は能因草子。奴隷になっている人達を助けに来た、ただの旅人だよ」
「言葉が通じるようになった。これってお兄ちゃんがやったの?」
「まあ、そんなところかな? 今、檻を壊すからちょっと待っててね」
エルダーワンドを剣に変形させて一振り――檻がぶっ壊れた。まあ、そんなに強固じゃないし。
ミュナはまだ警戒心を残していた。そりゃ、ずっと人間に恐ろしい目に遭わされてきたからね。人間不信にもなるよ。
逃げられないように【瞬間移動】で近づいて隷従の首輪と手枷足枷を破壊した。
「これでオーケー?」
「……えっ? いつの間に? お兄ちゃん、何者なの?」
「ただの旅人だよ? まあ、勇者パーティに所属はしてるけど? ……ちょっと傷が酷いね。〝嗚呼、惨き戦場よ! 戦に身を投じ、生命を散らした殉教者達よ! 戦火に焼かれ焦土とかした大地よ! せめて、せめてこの私が祈りましょう! いつまでも、いつまでも、祈り続けましょう〟――〝
とりあえず、適当な【回復魔法】を掛けて傷を癒した。
服とかに関しては後で他の奴隷のものと一緒に用意すればいいだろう。
「それじゃあ、俺は今から他の奴隷を助けに行かないんだけど、ミュナさんはどうする?」
「……えっ、なんで私の名前を知っているの?」
あっ、しまった。初対面だから普通は名前を知らない筈だよね。
「俺には【鑑定】ってステータスを見るスキルがあるんだ。だから、ミュナさんの名前を知ることができたんだよ」
「そうなんだ! お兄ちゃん、凄いんだね!」
……良かった、変な疑いを掛けられたら面倒だからね。
その後、ミュナを連れて俺は檻を回った。やることはミュナの時と全く同じだ。
囚われている奴隷は二千人、うち獣人が最も多く千百人、人間が三百五十人、ドワーフが二百六十人、エルフが二百人、海棲族が九十人というところだった。
「草子君、もう奴隷解放終わっちゃったの?」
おっ、聖達も来たみたいだ。服も含めて傷一つない――まあ、この程度の相手に伝説の勇者様御一行が遅れを取る筈ないよな?
「……それで、この子達が?」
「まあ、そういうことになるね。とりあえず、俺達じゃ捌き切れないし、水の街アクアレーティアだけでも無理だろうから……一応考えはあるけど」
前回は三百人だったから、単純計算で約七倍。
それだけの人数に前と同じようなやり方をするのは流石に無理そうだ。
「とりあえず、白崎さん達にはこの子達の服の大きさを聞いてメモに纏めてから人数分の服を揃えてきて欲しい。とりあえず、虹金貨出すから足りなかったら立替払いで。……んじゃ、俺はアクアレーティア伯爵邸に行ってくるんで」
アクアレーティア伯爵邸に〝
「……お兄ちゃん、行っちゃうの?」
あれ? 何この状況? どゆこと? どなてんの?
要するに……懐かれた? んなばかな? だってモブキャラだよ?
結局最後まで離してくれなかったので一緒に連れて行くことになった。
幼女誘拐に見えるかもしれないけど、断じて違うから! ……というか、イセルガが羨ましそうに眺めていたんだが……俺は断じてロリコンじゃねえ!
アクアレーティア伯爵邸に移動すると、衛兵の一人が応対してくれ、中に案内してくれた。
どうやら、ヴィッツィーニファミリーのアジトには既に何人か人を派遣してくれたらしい。シャリナは仮眠を取っているそうだ。
案内された部屋は応接室。応対してくれたのはヨハン。つまり、ミュナがいること以外は前回と同じだ。
「やあ、草子殿。話は聞いているよ。一晩でヴィッツィーニファミリーを壊滅させてしまったようじゃないか。……アクアレーティアの悪夢をたった一日で……正直なところ今でも信じられないよ。……ところで、その娘は?」
ヨハンの視線にミュナは怯えて隠れてしまった。
「この娘は奴隷として捕らえられていた海棲族のお姫様です。なんかよく分からないけど、ついて来ちゃいました」
「……よく分からなくないよ? お兄ちゃんと離れると心細くなるからだよ」
「……ははは、草子殿には色々な人に慕われる、そんな才能があるのかもしれないな。……しかし、海棲族のお姫様か。これ、間違いなく海洋国家ポセイドンとの国際問題だな」
海洋国家ポセイドン……確か、海棲族の国だっけ?
「まあ、それ以前にドワーフやエルフ、獣人達との関係も悪化する話だが……」
「それについてはなんとかして来ますよ。俺も流石に奴隷全員をどうにかできないですから、丁度各種族にそれぞれの奴隷のことを任せようと検討していたところですし」
それぞれの種族は、人間と同じように共同体を作り上げている。
ドワーフの場合は、自由諸侯同盟ヴルヴォタット内にある武装中立小国ドワゴフル帝国、エルフの場合はリーファの生まれ故郷であるエルフの里、獣人の場合はアルドヴァンデ共和国に存在するという獣人小国ビースト、そして海棲族の場合は海洋国家ポセイドン。
とはいえ、これら国と人間の関係はそれほど良好ではない。ミンティス教国ほどではないにしろ、他の人間の国も武装中立小国ドワゴフル帝国や獣人小国ビースト、海洋国家ポセイドンからは警戒されている。
それに、今回は奴隷っていうかなりデリケートな問題が絡むから交渉は難航しそうだ。
唯一の救いはファンタジー作品では最も高潔さを重んじ、俗世間から離れた堅物集団――エルフとの交流を持っているということだ。
まあ、こっちの世界のエルフは俺達が思い浮かべていた奴らとは明らかにかけ離れていたけどね。リーファを見れば一目瞭然だ。
「奴隷の内訳は獣人が千百人、人間が三百五十人、ドワーフが二百六十人、エルフが二百人、海棲族が九十人……つまり、人間以外をそれぞれの国に任せれば人間の割り当ては三百五十人になる。こっちも俺がなんとかしてもいいけど……」
「それくらいは私に任せてくれ。人間の奴隷三百五十人、責任を持って普通の暮らしができるようにしよう」
これで、人間の奴隷に関しては目処が立った。
「さて、残るは獣人、ドワーフ、エルフ、海棲族か……」
「えっと、エルフは知り合いにエルフ族の族長一家がいるんで、その辺りの交渉は問題ないです。まあ、断られたら終わりですけどね。残った獣人とドワーフ、海棲族については……残念ながら直接的な交流はないので。ただ、前に助けた奴隷の中に冒険者をやっているドワーフと獣人がいるので、その二人に当たってみたいと思います。海棲族は……まあ、お姫様がいますし」
「……何から何まですまないな」
「いえいえ。それより、俺達がアレクをぶっ潰したら、ヨハン様の大仕事が待っていますからちゃんと気持ちを作っておいてくださいね」
「分かっている。……しかし、今でも夢じゃないかと思っているよ。長年、あの腐り切った国の幻影に悩まされてきた私達が、真の意味で自由になれる日が近づいているとは。その時はまた力を貸してくれ」
「勿論ですよ」
俺とヨハンは固い握手を交わすと、俺とミュナは〝
◆
「という訳で、武装中立小国ドワゴフル帝国、獣人小国ビースト、海洋国家ポセイドンの三国を巡ることになった。その前にエルフの里に行く訳だけど」
「……本当に仕事が早いわね」
柴田が溜息を吐いた。……いや、効率よくやっているだけだから。そもそもモブキャラの仕事が早い訳ないだろう? もし、そんなにできる奴ならモブキャラにならねえよ!
「まあ、優先順位的に王族がいる海洋国家ポセイドンを目指すべきだろうけど」
「……お兄ちゃん。私達のことは最後でいいよ。まずは他の子達を助けてあげて」
何という献身的な姿なのか。聖女か、聖女なのか!!
「……まあ、ミュナさんがそう言うなら、武装中立小国ドワゴフル帝国、獣人小国ビーストを先に巡ることにしようか。その前にまずはエルフの里で受け入れを獲得しないといけない訳だが」
「交渉は任せてください! 私は族長の娘ですから!!」
そういえば、エルフの里は族長を世襲ではなく投票で選ぶようになったんだっけ? まあ、俺が提案したんだけど。
で、第一回の投票で選ばれたのがオーベロンだった。つまり、現役でリーファは族長の娘ということになる。
「……というか、未だに謎なんだけど、リーファさんって本当にエルフなの? 実は耳長族だって話はないの? エルフ特有の高貴さってのがないんだよ。まあ、他のエルフにも高貴さは無かったけど」
「草子さん、酷いです! 私はちゃんとエルフです!! そりゃ、腐女子ですけど……でも、そもそもですよ! 誰がエルフは腐ってはいけないって決めたんですか! エルフだって男達が絡む姿をはぁはぁいいながら見たいんです!!」
白崎達があからさまにドン引きし、ロゼッタが咄嗟にミュナの目と耳を塞いだ。
うん、絶対情操教育的に良くない。特に、リーファ、イセルガ、アイリスの変態三巨頭は。
聖はまだ良識があるからね。たまに爆破と誰かを驚かせたい衝動に駆られるけど。
「まあ、その辺りは任せるよ。今回の旅はそこまで長くならないし、何人か残って奴隷の様子を見ておいて欲しいんだけど」
その瞬間、女子達の目に闘志が宿った……えっ、え? どゆこと?
その後、激闘があった。激闘としか形容できない争いがあった。
その結果、旅のメンバーが俺、聖、リーファ、白崎、北岡、ロゼッタ、イセルガ、ミュナに決まったのだった。
ちなみに、ミュナはまたも「離れたくない」と服を引っ張ってきたので仕方なくだ。
居残りメンバーにもヤバい奴が残っているが、それについてはレーゲンやミュラ、クリプと言った良識人に任せることにしよう……まさか、魔法少女のマスコットに良識人と言う日が来るとは思わなかったよ。
「それじゃあ、行くか」
と言っても向かう先はエルフの里じゃないけど。
〝
「能因先生、お帰りなさい!」
ギルドに〝
……気づくの早くね?
エルフのライアとドワーフのリーシャもその後に続いた。
「よっ、お前ら。今日は三人に依頼があって来たんだ。ちゃんと冒険者ギルドを通して出すからランクも上がるぞ」
「能因先生……私達は先生に救われました。その恩返しができるなら、報酬は必要ありません」
リーシャよ。貰えるものは恩師からだろうとなんだろうと貰っておくべきだぞ。
世の中ってのは遠慮したら負けなんだから。
「お前ら三人――チームトライアードを凄腕金ランク冒険者と見込んでの依頼だ。……それと、これは人生の先輩からの忠告だが、特例を許せば将来きっと後悔する。善意につけ込む存在ってのはどこの世界にもいるものさ。これは、人間に限ったことじゃない。だから、例え相手が師匠でも金を取れ。まあ、俺は尊敬されるようなことをした覚えはないけど。俺はぶん殴った責任を果たしただけだし」
「能因先生にとっては些細なことかもしれませんけど、実際に私達は救われました。……でも、能因先生がそう仰るのであれば、依頼として受けるのが礼儀というもの。分かりました」
イオン達も納得してくれたようだ。
「んじゃ、俺はギルマスに面会してくるから」
イオン達と一旦別れ、俺はミュナと共にギルドの受付に向かった。
ちなみに、ミュナも白崎達と一緒にこの場に留まってもらおうとしたのだが、強く服を引っ張られて露骨に離れたくないと主張してきたので諦めた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。どのようなご用件ですか?」
「指名依頼をしたい。ギルマスに面会させてくれ」
指名依頼を出すためにはギルマスに会う必要がある。
「失礼ですが、貴方は?」
「能因草子、ただのモブキャラだよ」
「……能因草子。し、失礼しました! 今取次を致しますので!!」
受付嬢は血相を変えて中に入っていった……えっと、俺って冒険者界でどんな評価をされているの? 俺って冒険者でもないただの旅人Aだよ!!
「……能因草子様ですね。ギルドマスターから面会の許可が出ましたので、どうぞこちらへ」
露骨に緊張した受付嬢(さっきとは別の人)に連れられ、俺は冒険者ギルドの奥へと進んでいった。
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