文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
【相沢秀吉視点】LUCKが∞で【運率操作】を使えば例えば確率が地球では160万分の1の隕石落下による死亡を確定させて更に自分だけは生き残ることだってできる。
【相沢秀吉視点】LUCKが∞で【運率操作】を使えば例えば確率が地球では160万分の1の隕石落下による死亡を確定させて更に自分だけは生き残ることだってできる。
異世界生活一日目 場所???島(無人島)
無人島だから食べられるものは限られている。まずは食料を調達することから開始した。
無人島といえばココナッツ。実際にこの無人島の海岸でもすぐにココヤシらしき木をいくつか見つけることができた。
といってもココナッツがなっているのは椰子の木の遥か頭上。僕ほどの頭脳が無くてもココナッツを採るのが困難なことは分かる筈だ。……もし、あれを簡単に採れるというならそいつはよほどの莫迦か実際に採ってしまう筋肉馬鹿だ。結局莫迦だ。僕みたいなインテリはまず身体ではなく頭を使うのだよ。
まず石を投げてみるとする。小石くらいでは椰子の実を落とせるというのは計算的にも不可能に近いし効率が悪い。大きな石を投げるのは僕の膂力では不可能だ。……インテリは自分を鍛えるんじゃなくて、身体を鍛えている奴を使うんでね。そっちの方が効率がいいし。
石投げは無理だと分かったので、次はロープを使ってみる……と言いたいところだが、ロープはない。
木に登るために幹に傷をつけるという手もあるが、こっちもナイフが無いから不可能だろう。……あの老神、こんなことになるならせめてサバイバルグッズくらい無償で用意しろよ。素人がサバイバル知識とグッズ無しに無人島でサバイバルって、いくら僕が天才でも不可能だから!
となると、残る手は超常的な現象を起こせる非現実的な異能――魔法に頼るしかない。
とはいえ、魔法には得てして呪文が必要だったり何かしらの行程を踏む必要がある。何もヒント無しで即魔法を使うのは不可能だろう。……ああ、刃を発生させる魔法とかあればな。
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〝風よ、刃となれ〟――〝
【風属性】初級魔法。現在のステータスで使用可能。
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よく分からないが、最適解が出たようだ。もしかしてこれが異世界の仕様なのだろうか? 或いはスキルのおかげなのだろうか? 確かスキルの中に【叡智(魔法)】ってのがあったけど、アレは欲しい魔法を瞬時に検索して表示してくれるスキルなのかもしれない。……まあ【鑑定】スキルがないから調べようがないけど。
しかし、これなら戦い方の幅が広がる。この検索システムと僕の頭脳があればあの巨大な蛇にも負けない筈だ。
「〝風よ、刃となれ〟――〝
呪文を唱えたら手から風の刃が放たれ、椰子の実に命中して落とした。
〝
とはいえ、これで水分を得ることができた。本当は天然水が飲みたいところだが、異世界にペットボトル入りの水などある筈がないから仕方ない。……いや、美味しい水なら生み出せるんじゃないだろうか? 魔法で。
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〝清き水よ、溢れろ〟――〝
【水属性】初級魔法。現在のステータスで使用可能。
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やっぱりあった。……この調子なら無人島生活も生き抜けそうだ。……なんでインテリの僕が苦労して異世界無人島で生活しないといけないんだろう? あの老神の考えは天才の僕をもってしても理解不能だ。
◆
攻撃手段が得られたので密林の探索を再開する。
前回は巨大な蛇から逃げ出すという僕にあるまじき失態を晒してしまったが、今回はそんな失態は絶対に演じない。
密林を進むと前回同様巨大な蛇が現れた。しかも、今回は三体――前回より厄介だ。
あの蛇を倒せる攻撃魔法は何か無いのか?
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〝真紅の炎よ、槍となって貫け〟――〝
【火属性】初級魔法。現在のステータスで使用可能。
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「〝真紅の炎よ、槍となって貫け〟――〝
突如中空に現れた炎がまるで意思でもあるかのように自ら形を変え、炎の槍へと変わる。
その数全部で三つ――狙った通り蛇の数とぴったりに創り出すことができた。流石は僕。
炎の槍は一撃で巨大な蛇を貫き、絶命させた。槍で貫かれたところからはどろりと身体が溶けている。……自分でやっておいてアレだけど、相当グロい。
巨大な蛇への報復は果たしたが海岸に戻る前にもう少し森を探索するとしよう。
密林にはバナナやドラゴンフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ドリアン、パパイア、カクタスペア、スターフルーツなどがなっていた。
森を移動すると突然見るからに飢えた狼が茂みから現れた。
現れるなり「ガルゥゥゥゥ!」という唸り声とともに襲い掛かってくる。――ッ! 速い!
「〝真紅の炎よ、槍となって貫け〟――〝
なんとかギリギリのところで炎の槍を放って倒すことに成功した。……後少し遅かったらやられていたな。僕の大切な頭ががぶりと。
◆
密林を歩きながらステータスを確認する。歩きスマホみたいだけど、勿論周囲警戒は怠らない。
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NAME:相沢秀吉 AGE:16歳
LEVEL:9 NEXT:290EXP
HP:190/190
MP:210/210
STR:510
DEX:180
INT:151
CON:130
APP:10
POW:130
LUCK:2
JOB:-
TITLE:【這いよる混沌】
SKILL
【全属性魔法】LEVEL:5
【恐怖耐性】LEVEL:1
【機械作成】LEVEL:1
【報連相】LEVEL:1
【暗躍】LEVEL:1
【変身】LEVEL:1
【冷笑】LEVEL:1
【狂気】LEVEL:1
【叡智(魔法)】LEVEL:5
【叡智(機械)】LEVEL:1
【傀儡】LEVEL:1
【模倣】LEVEL:1
【運率操作】LEVEL:2
ITEM
・学生服
NOTICE
・通知一件
→未使用のポイントが後450あります。
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【全属性魔法】と【叡智(魔法)】のスキルレベルが上がっていた。
やっぱり僕の予想通り魔法検索には【叡智(魔法)】のスキルを使用していたようだ。
ここまで使ったスキルは【全属性魔法】と【叡智(魔法)】と【運率操作】――他のスキルも早いうちに色々と試しておいた方が良さそうだな。
後、気になるのは【運率操作】がどれほど応用が効くスキルなのかだ。あらゆる確率を変動させられるのであれば、巨大な蛇から逃げる時に使ったような回避率を上昇させるような小さな確率の変動を引き起こせるか? ……もし、もっと様々な応用を効かせられるとなれば、戦術の幅が一気に広がる。僕の頭脳と組み合わせれば最早敵無しだ。
早速【運率操作】を試してみる。魔獣に遭遇する確率を一パーセントに。流石に
【運率操作】のおかげか敵の出現確率が大幅に下がった。というか、全くと言っていいほど遭遇しなくなった。流石は僕、この機転は誰にも真似できないだろう。
◆
密林を歩いて三十分、そろそろ海岸に戻ろうと思った時だ。
一体の魔獣が姿を現した。
その姿に僕は不覚にも絶句してしまう。これまで出てきた魔獣はどれも地球にいたものと酷似していた。それ故に、僕はこの世界の魔獣が元の世界のものに近いものだと思い込んでいた。
だが、奴は違った。あんな異形、地球に存在する筈が無い。
――見た目はどことなく猟犬に近い。しかし、身体の至る所から太く曲がりくねって鋭く伸びた注射針のような触手と呼ぶべきものが生え、更に身体の所々を青黒い煙のようなものが覆っている。青みがかった脳漿のようなものを全身から滴らせた、不浄の権化。
名は知らない。【鑑定】が無いから詳細を調べることができない。
もし、オタク達ならコイツの正体を看破できたかもしれない。……インテリたるこの僕がオタク如きに負けるなど、なんたる恥辱。
猟犬は次の瞬間、姿を消した。完全にこの場から消えた訳ではない。あの猟犬は飢えに飢えていた。僕を
嫌な予感を感じた僕は素早く【運率操作】を発動して回避率を百パーセントに。更に、【模倣】を使ってあの猟犬が使ったスキルを模倣できないか試してみる。
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Skill Log
【模倣】により、スキル【時渡り】を獲得。
【模倣】による獲得のため使用制限あり。使い切った場合に【模倣】による再度獲得不可。
【時渡り】LEVEL:1(残り15回)
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さっきのスキルは【時渡り】だったのか。だが、これで【模倣】の使い方が明らかになった。
しかし、【時渡り】への対策はできない。相手がどこに飛んだか分からないからだ。
くそ、どうすればいい。あの猟犬が飛んだのは未来か、過去か。
突然猟犬が背後から飛び掛かってきた。触手を伸ばして僕を搦め捕ろうとする。――ちっ、飛んだ先は未来か!
だが、回避率を百パーセントにしていたから猟犬の触手は勝手に僕から逸れてあらぬ方向に伸びていった。
やはり、【運率操作】は因果干渉能力。その可能性が一パーセントでもあれば、選び取って確定することができる運命選択スキル。
ならば、猟犬! 見せてやるよ! この天才的な僕の前にひれ伏すがいいッ!
「【運率操作】、因果干渉による幸運変動。――僕の
そして、もう一つ。【運率操作】には使い方がある。
運という概念そのものの操作。僕は僕のLUCKを∞にすることで、これから行う作戦をより確実なものにすることにした。
だが、それでも完璧かどうか分からない。この慎重居士の僕が一か八かの勝負に出るなんて、かつての僕には想像もつかなかっただろう。
「【運率操作】、因果干渉による確率変動。――宇宙空間にあるスペースデブリがこの島の猟犬目掛けて落下する確率を百パーセントに。隕石落下によるダメージを僕が受けない確率を百パーセントに!」
地球において、人が一生の間に局地的な隕石、小惑星、彗星の衝突で死亡する確率は160万分の1らしい。アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズにあるテュレーン大学の地球科学教授が計算したものだが、僕が計算しても同じ答えになったからまず間違いないだろう。
この異世界において、その確率が同じだとは言えない。フェルミ推定を使うにも情報が足りない。
だが、これだけは言える。その確率がゼロパーセントでないならば、その事象は必ず起こりうる!!
◆
天から灼熱を纏って落下する隕石は猟犬のいた地点に落下して巨大なクレーターを作り出した。
しかし、僕は落下地点のすぐ近くにいたにも関わらず無傷。突如吹いた突風に吹き飛ばされて落下地点から逃れることに成功した。……あまりにも非科学的でご都合主義な事象だが、その確率が一パーセント以下でも確かに存在するのだから、実際に起こっても何ら不思議ではない。
どうやら、結果のみを指定するだけでも、その事象を引き起こすために必要な事象を引き出し、確率を変動させて確定させることができるようだ。
猟犬は跡形もなく消し飛んだ。隕石が真上から落下しても死なないとなればもう打つ手が無かった。……全くとんだ背水の陣だよ。僕みたいなインテリエリートがすることじゃない。こんな危険は二度とごめんだ。
さて、そろそろ暗くなってきたし一旦海岸に帰るとするか。少なくとも今はあそこが一番安全だしね。
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