文学少年(変態さん)は世界最恐!? 〜明らかにハズレの【書誌学】、【異食】、にーとと意味不明な【魔術文化学概論】を押し付けられて異世界召喚された筈なのに気づいたら厄災扱いされていました〜
【書誌学】とは書籍の形態・材料・用途・内容・成立の変遷等の事柄を科学的・実証的に研究する学問であって異世界もののスキルではない筈だ。……断じて。
【書誌学】とは書籍の形態・材料・用途・内容・成立の変遷等の事柄を科学的・実証的に研究する学問であって異世界もののスキルではない筈だ。……断じて。
老害のタブレットを奪い取った俺は、その内容を確認した。
まず、人によって基礎ポイントというものが存在し、そのポイントをステータスに割り振るか消費して武器やスキル、職業や称号、アイテムを得ることが可能らしい。
ちなみに、俺の保有ポイントは100だった。……う〜む、比較の対象がいないので多いのか少ないのかイマイチ分からない。
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◆ステータスの振り方
・ステータスに直接ポイントを振る
・10ポイント消費して3D6(六面ダイスを三回振る)
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なんでここでTRPG!? ……おっと、取り乱してしまった。
しかし、これは難しい。五以上、五以上、一以上を出せば元は取れるが、変な目が出てしまえば10ポイントを消費した意味がなくなる。
ステータスの加算については武器やスキルを習得、職業や称号を選んだ後にアイテムと吟味しながら考えるとして次に武器欄を確認する。
武器は単体とセットの二種類があり、単体は聖剣エクスキャリバー、聖剣デュランダル、聖槍ロンギヌス、五叉槍ブリューナク、聖槍トリシューラ、聖楯アイギス、聖鎧アキレウス、魔剣ダーインスレイヴ、魔剣レーヴァテイン、魔剣グラム、魔剣フリークダイアモンド、妖刀ティルフィング、ケリュケイオン、雷霆槌ミョルニル、魔法書ネクロノミコン、聖書テスタメント、魔弓ガーンディーヴァ、ニーベルングの指輪、隠れ頭巾、
勿論、有名どころは全てグレーアウトしていました。いや、なんで魔剣フリークダイアモンドとかまで売れているの!! あれって、「相手は死ぬ、自分も半分死ぬ」って意味の魔剣だよ!! ……うん、きっと普段からオタクを馬鹿にしている知識のない不良達が選んだんだな。……ごしゅーしょーさまです(棒)
単体には目ぼしい物がないので、セットへ。ちなみにこちらはセットで100ポイントとお得です。
おお、アイテム詰め合わせ《
残っているのはアイテム詰め合わせ《
武器は後回しにして、スキルの項目へ。
スキルの値段は種類毎に異なるようで、武器系スキルが10ポイント、戦闘系スキルが10ポイント、戦術系スキルが5ポイント、運動系スキルが5ポイント、魔法系スキルが10ポイント(全属性適正なのは100ポイント)、耐性系スキルが10ポイント(全属性耐性は100ポイント)、生産系スキルが5ポイント、学術系スキルが5ポイント、芸術系スキルが5ポイント、商業系スキルが5ポイント、労働系スキルが5ポイント、魔力系スキルが10ポイント、特殊系スキルが10ポイント、チートスキルが100ポイントらしい。
……やっぱりほとんどグレーアウトしていた。武器系スキルはほぼ全滅。残っているのは【杖術】だけ。
戦闘系スキルも同じく。残っているのは【回避】だけ。……ど〜せ勝てないんだし、逃げ回れと。巫山戯んな!
戦術系スキルは完全に全滅。あれ、【撤退】まで売れてる? 確かに逃げの一手が後々戦況を変えることもあるけど、スキルで手に入れる必要あるの? これ。
運動系スキルは【立体移動】とか【悪路走破】とか【縮地】とか【登攀】(クライミングのことだよ♪)とかあるのに全部売り切れていた。
やっぱり異世界ものの定番魔法系スキルと死にたくないからなのか耐性系スキルは全属性を含めて全滅。
生産系スキルは意外と売れ残っていたけど、【木工】、【革細工】、【調合】、【骨細工】、【硝子細工】、【贋作】じゃ戦闘には使えないし、やれることも限られているだろう。
ちなみに、某ラノベで地位を築き上げた【錬成】は売れていました。オタク辺りが購入したのかな?
学術系スキルも売れ残っているな。使えそう【〇〇語】系は全滅しているけど、【算術】、【鑑定】、【推理】、【実験】、【検証】、【解剖】、【礼儀作法】、【暗号解読】、【応急処置】、【考古学】、【生物学】、【地質学】、【天文学】、【博物学】、【物理学】、【薬学】、【心理学】、【法律】、【書誌学】、【魔術文化学概論】が残っている。
……うん、大概使えない。【法律】とか異世界じゃ通用しないだろうし。
【礼儀作法】とか……そりゃ、王侯貴族に謁見するとかなれば必要だろうけど、ラノベじゃあるまいしそんなことにはならないだろう。
てか、【書誌学】って何? あれは書籍の形態・材料・用途・内容・成立の変遷等の事柄を科学的・実証的に研究する学問であって異世界もののスキルではない筈だ。
まさか、異世界に行ってまで『はなだの女ご』の題名について検討するの? 花田か縹か?
えっ、マイナー過ぎて知らない? 『堤中納言物語』の作品の一つだよ。
そして、【魔術文化学概論】については全く分からない。まず、魔術文化学って何ってところからスタートしそうな学問だな。一体何をするんだろう? というか、これスキルだった。
まあ、使えそうな【鑑定】スキルが残っているのは良かった。要検討だな。……寧ろなんでみんな選ばなかったんだろう? 甚だ疑問だ。
芸術系スキルは【早口言葉】と【滑舌】、【腹話術】だけ売れていた。魔法の詠唱に使えると踏んだ奴がいたのだろうか? この応用は結構上級者向けだし、オタクLevel.10辺りが選んだのだろう。……オタクにLevelが存在するかは分からないが。
商業系スキルはほとんど売れ残っていた。売れたのは【ポーカーフェイス】くらいか。……絶対に商業に使う気ないだろう。
労働系スキルも似たり寄ったりだ。売れたのは【乗馬】と【騎乗】、【監視】、【捕縛】、【調教】……捕縛と調教は仲間の女子でも調教するのかな? R18指定になりそうだし、やめて頂きたい。
こっちには【解体】があったけど、【解剖】とは何が違うのだろうか? 組み合わせると効率が良くなる、とか?
魔力系スキルは全滅だった。【魔力操作】とか【魔力付与】とか【魔力制御】、カッコよかったのに……残念。
特殊系スキルは【罠解除】、【罠利用】、【罠発見】、【発掘】、【宝物発見】、【宝箱開錠】、【宝物庫】、【詐術】、【拉致】、【暗殺】、【早着替え】、【陰謀】、【冤罪】、【証拠隠滅】、【潜伏】、【隠形】、【忍び歩き】、【変声】、【性技】、【睦言】、【誘惑】、【危機感知】、【空間把握】、【望遠】、【俯瞰視】、【暗視】、【光量調整】、【慰撫】、【脅迫】、【千里眼】、【性転換】がグレーアウトしていた。
今までのパターンから察するに大方不良達が仲間の女子か貴族令嬢を奴隷に落とすためにスキルを選んだのだろう。
……あれ、そうなると【性転換】が売れている意味が分からなくなるな。まさか、クラスメイトの男子を【性転換】させて奴隷に落とそうという特殊性癖ッ! ……いや、アイテム詰め合わせ《
スキル系最後は待っていましたチートスキル。
【経験値アップ】、【模倣】、【完全掌握】、【即死】、【魅了】、【傀儡】、【運率操作】……はい、全部売り切れです。
まあ、そうだと思ったよ。寧ろ売れ残っていたら不思議だよ。
なんかヤバそうなのばかりだな。どれもヤバイけど、一番は【即死】と【運率操作】かな。だって、【運率操作】って、一パーセントでも可能性があれば、それを百パーセントにすることができるとか、そんな感じだろう? 解説表示されない仕様だから分かんないけどね。
次は職業、一律100ポイント。アイテム詰め合わせにもあった
あるのは、セットでも売れ残っていた
なんでこれだけ平仮名! というか、ニートってあまりにも場違いだろうッ! 異世界でニートやって一体どうするの? 魔王討伐とかそういう目的で召喚したんでしょう! ニートして働かないとか召喚した意味ないじゃん。それくらいなら地球に還せよ(二回目)。
次は称号。【魔を導く者】、【雷を従える者】、【千の魔術を操る者】、【這い寄る混沌】など厨二心を刺激するようなものが多種多様に取り揃えられている。
というか、【這い寄る混沌】ってクトゥルフ神話のナイアーラトテップの別名だよね。ネクロノミコンといいクトゥルフ神話リスペクトなのかな?
勿論、全部グレーアウトしていました。まあ、当然ですよね。
最後はアイテム。ファンタジーゲームではお馴染みの
なんと
という感じです、以上。……まあ、分かっていたけど良いものは全部取られているよ。
これ、異世界に行っても速攻で死ぬよね。
「ねぇ、そこでノートに内容纏めて終えたところで、俺がどんどん殺気立っていくことに気づいて怯えている老害さん? どういうことかな。これって、婉曲的に死ねと申している? 絶対この残り物から選んでも即刻死ぬよね。……これ、完全にvery hardだよ。『very hardで待ってるわ』って奴? 強い傭兵さんが雇えても本人死んじゃったら意味ないよね。というか、そもそも傭兵さん居ないから雇えないよね!」
≪……そうは言われても早い者勝ちだから仕方ないのじゃ。それに、これはお主達の前に召喚した者達もこのスキル表から取った故の状況……既にお主達が来た時には無かったスキルも沢山あったのじゃ≫
「つまり、遅いから仕方ないと。……へ〜え。折角理解者が現れてようやく人生が楽しくなってきたというところで無理矢理異世界に召喚されたかと思えば、この残り滓みたいなスキルで異世界に行けと。しかも、更にこの中から選べ、と!」
≪……流石にそこまで酷いことは言えぬ。そこでじゃ、ルールをいくつか破ることになるが、この残りのスキルを全部お主にやろう!≫
「………………はぁぁぁぁぁ! ちょっと待てよ、老害!! スキルとか職業は組み合わせが重要であって、明らかに外れなにーとを筆頭に絶対に使わないだろうってスキルとか【魔術文化学概論】っていう意味が分かんないスキルまで全部持ってけと!!」
しかし、言い終わらないうちに俺の持っていたタブレットの文字が全てグレーアウトした。……マジで。
≪後、お主が要望した通り召喚の目的と情勢について纏めておいた。……本当に口下手で済まぬのう≫
老害からルーズリーフを手渡された。結構高価そうな奴だった。
≪さあ、時は来た! その扉から異世界への一歩を踏み出すのじゃ!!≫
老害は止まらない。「ほら、とっとと行けよ!」というように話を終わらせる。
仕方なく俺は扉を開けて、一歩を踏み出した。
≪そういえば、その扉によって転送される先はランダムじゃ! まあ、なんとかなるじゃろう≫
老害の爆弾発言に「ふざけるな! 召喚した奴らが烏合の集どころか、ただの遭難者になってるだろうが! ――このクソ仕様が!!」と叫びながら俺は光に吸い込まれた。
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