七章 『現世物語』

チュンチュンチュチュンチュン……(小鳥のさえずり)

「んん…はぁああ」

暖かな日差しを浴びて体を伸ばす。

「なんだぁ…夢かぁ…」

随分とおぞましいものを見ちゃったな。

「夢は夢。さっ、今日もお仕事頑張るか」

男は身支度を済ませて椅子に座る。

「おっ、今日は朝から気合入ってんな!仕事にも精がでるよ」

「それは良かったわ、あなた」

食卓に並ぶ朝食を平らげる。

「それじゃ俺は仕事に行ってくるよ。今日は夕方には帰るから待っててね」

「わかりました」ニッコリ

行ってきますのキスを交わしドアを開ける。

「それじゃ行ってくるよ。照恵」


こうして家を出た男はいつも通りの一日を送ろうとしていた。そして、いつも通りの一日を過ごした。特に何も起こらなかった。その晩、特に変な夢を見ることはなかった。ひとつ変わったことというと、少し変に思うことはあった。何を見ても、考えてもちんぽが勃たない。

「まあ、気のせいだな」

男は深く考えず、こういうものだったと思い、ちょっとインポな普通の日々を過ごし、平穏な家庭生活を送り、いくつもの年月を経た…。

はずだった……


チュンチュンチュチュンチュン……(小鳥のさえずり)

「んん…はぁああ」

暖かな日差しを浴びて体を伸ばす。

「なんだぁ…夢かぁ…」

随分とおぞましいものを見ちゃったな。

「夢は夢。さっ、今日もお仕事頑張るか」

男は身支度を済ませて椅子に座る。

「おっ、今日は朝から気合入ってんな!仕事にも精がでるよ」

テレビを見ながら朝食を平らげる。

多くのニュースが報道される中、男は不意に画面に違和感を覚えた。

(なんだか、このニュース見たことある)

日付を見てみると……

「ブフッ!!」

「あらやだ、あなた大丈夫?」

「あ、ぁぁ。大丈夫だ」

「(なんということだ。日付が戻っている。しかも、あの悪夢を見た日付だ)」

そう、男はこの時まだ理解していなかったのだ。自分が見た夢の意味を……


な、なんでや…なんでや……

男は嘆く。嘆けどもどうにもならないとはわかっている。だが嘆く。だが男はわからない。何故日付が夢の世界と同じなのか、あの悪夢の意味は何なのか。男は考えるのをやめて己の体に問うてみる。だが答えはインポしかなかった。男はこの際、夢や現実や、インポやちんぽやどうでもよくなっていた。そんなことより、あの悪夢のせいで知り合いの顔を見ることが出来ない上に、目覚めが悪く、どうも調子が悪い。おかげで仕事では失敗の連続、係長からの痛々しい命令ときて、とうとう会社に行くことさえも嫌になってしまっていた。

「はぁ~、どうしたんや、俺」

男は病んでしまう……


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