三章 『聖水物語』

このままでは安倍野は消えてしまう。加護池は○○大学出身の頭をフル回転させ解決策を探した。安倍野が射精すれば寺山ハートになり、安倍野を生かしたくば安倍野をインポのままにさせておくしかない。この究極の選択肢に加護池は今までにないほど頭を悩ませた。安倍野を救いたい。だが、それでは寺山ハートに支配されたままになってしまう。「どうすればいいんじゃ…はっ!」

加護池は一つの解決策を見出した。それは、安倍野の精子を自身の中に取り込むことで寺山だけを自分の体に取り込むというものだ。そうすれば自分はインポになってしまうが安倍野を救うことは可能。加護池は安倍野を救うべく、もう一度射精させるためにケツを使った。


そして加護池の計画通り寺山(安倍野)は加護池のケツに向かって盛大に射精したのである。だがここで予想外の事態が起こってしまう。安倍野の膀胱を最近務め始めた大池が謝って射精と同時に尿を排出してしまったのである。このことがきっかけで安倍野の膀胱の排出口は開きっぱなしとなり尿が溢れ出して寺山が排水口に流されてしまったのである。これには寺山も激怒して、怨霊となり排水口から浮かび上がってきた。そして、安倍野は寺山の怨霊に取り憑かれ、再びインポに戻ってしまったのだ。


もう無理なのか。加護池は絶望の淵に立っていた。その時、安倍野の愛人こと阿僧が訪ねてきた。「俺なら安倍野を助けることができる」阿僧は加護池にそう言ったあと、ある策を提案してきた。それは、前立腺担当の寺山ハートと松田太郎の肛門の職務を交換するという案だ。 寺山ハートを説得することができれば、その案は成功する。「しかし、一体どうすれば寺山を説得できるのか…」加護池はまたもや頭を悩ませる。「寺山に肛門の素晴らしさを知ってもらえれば見込みはあるんだけどなぁ」阿僧の深く臭いため息が事態の深刻さを駆り立たてている。


だが加護池はやるときはやる男。こんな場面でも完璧な方策を練っていた。そして最高の手段を思いついた。それは、「阿僧が力づくで寺山を道連れに肛門へ連れていった隙に松田を無理やり前立腺の職務に就かせる」というものだ。もしこれが上手く行けば安倍野のインポは治り、松田の肛門での不祥事によって起こっていた安倍野の下痢便も治るに違いない。いよいよ阿僧が寺山を前立腺から引き離す戦いの膜が上がろうとしていた。

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