第2話 「普通」

普通とは何なんだろうか?

異常と普通との境界線は何なんだろうか?


そんな事は僕にはわからない。

でも一つだけ知っているのは、僕が異常側の人間だと言う事だ。


《僕の両親は精神疾患だった》

そのことを知ったのは、随分後の話で、僕が19歳の時だった。

それまで、確信に近い違和感は感じて居た。


「僕の両親は掃除をしない人だった」

「料理をしない人だった」

「よく布団の中で昼間くるまって寝ている人だった」

「よく夫婦喧嘩をする人だった」


そんな僕はよくおじいちゃんの部屋に、泣きながら逃げて居た。

だからなのか僕はおじいちゃん子だった。



《遠足が嫌いだった》

「僕の両親は料理ができない、けど遠足ではお弁当がいる」

「僕のお弁当はいつでもぐちゃぐちゃで、デザートがご飯とよく混じって居た」


「幼稚園で、ご飯は残さず食べなさいと教えられて居た僕は、甘すっぱいご飯を吐きそうになりながら食べて居た」


「幼稚園の先生がそれを見て、《私のを食べる?と言われたが断った悔しかったから」


「何となくその頃から、感じて居た僕は親に愛されて居ないんだと……」


《泣かない子供、笑ってる子供》

「僕はずっと笑ってる子供だった、泣けない子供だったのだ少なくとも人前では泣けない子供だった……」


「いじめ子と言うのは他人が苦しむ姿を見て嘲笑する生き物だ」

「だから弱さを見せては行けなかった、何をされてもヘラヘラ笑って居た」

「気持ち悪がられても、無知されても、弄ばれるよりはましだったから」


《普通の子供、そうじゃない僕》

「こんな僕が普通じゃないのはわかりきっているだろう」

「わかっていただけたと思う」

「今はどうかと言うと、今もそうだ……普通じゃない。」


「一度は就職したけど未だに学生をやっているのもそのためだと思う、馴染めなかった、そして僕も《精神疾患しなったうつ病だ》」


「こんな僕が生きていく方法はすごく限られて居て、幸せになる方法はもっともっと狭き門だ。そんな門に挑戦する気力もそんなに残ってないのだ」


「僕は一人で生きて、一人でのたれ死ねばいいと思って居た」

「つい最近までは……」

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