第28話 『ぱぶりっくにっぷる』(あるる @aruru_ru_ru)

僕らは双子。名前は、右と左。


最初は僕ら二人、一緒に育って、一緒に大きくなってた。

だけどある時から、右だけ構われるようになったんだ。ご主人様は、それを止めなかった。そしたら、右だけがどんどん、どんどん、育っていくんだ。僕はちょっと寂しかった。


そしたら、最近。


ご主人様が、僕ら双子の話を沢山お外でするようになったんだ。


みんな、僕のことをどうやって育てるかとか、いっぱい考えてくれてるみたい。

僕も右みたいに、成長できるかなぁ。

でもご主人様は、右が成長しすぎて困ってるんだって。なんでだろうね。そしたら僕は、育たない方が良いのかなあ。


でも、右に追いつきたいから、僕頑張るよ。






という話を、書いて欲しいと冗談で言ったら本当に書かれてしまった。


ツイキャスは恐ろしい場所だ。俺はいま、それをひしひしと実感している。尊厳というか、威厳というか、そういうものを全て置き去りにして、皆を笑わせたくなってしまう。


正直、オフ会――そんなものがあるかは分からんが――でどんな顔をして皆に会えばいいのか分からない。


三十路を過ぎてもこんな話ばかりしているが、なかなか充実したSNSライフを送っている。

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