第25話 「斜志野九星」(@74n09se1 )様

 「アクション!」


 魔法の一言。脳内の俳優キャラクター達が弾かれたように動き出す。彼等の躍動を、台詞を、文字というカメラで写し取る。視線の動き、見ているもの、背景、時には効果音。


 手に汗を握って見つめる画面。暴れる怪獣と、華麗に戦うヒーロー。息を呑んで、次の展開を待つ。彼等と一緒に戦っているような没入感。マシーン、ロボット、ガジェット、AI。機能を詰め込んだ小さな端末には、機能以上の夢が詰まっている。


 時には切り口を変えて、怪獣側から撮ってみる。観客に気づかせずに怪獣視点を描けるのは、小説ならではの醍醐味だ。読み進める毎になんだこれ?となり、オチでやられた!と笑い、画面を閉じてからも後を引く。


 映像作品ほど劇的ではないが、じんわりとした余韻を残す。読み手の想像力を刺激して、一緒に作品を作る。想像の余地が残る所に、文章の可能性がある。


 さあ、このプロットをどう描こうか。読者あなたは、この文章からどんなシーンを思い浮かべるだろう?


 「カット!」の一言まで、もう少し。

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