第24話 「湖月もか」(@Moka_Koduki )様

 報われない想い。叩き落とされる手。


 うつつは、そんなもので溢れている。だからせめて、物語ゆめは優しく紡ごう。傷ついた者を、そっと癒やすように。いつか、こんな風にあなたの手を取ってくれる人が来るように。


 「ここ」ではない世界に場を借りて、紡ぐのはどこまでも「ここ」の「あなた」・・・・・・いや、「わたし」の話。逃避、と後ろ指をさされても構わない。生きるためには、生に踏みとどまるためには、綺麗事が必要だ。


 優しく、優しく。もし、どうしても優しく出来ない程の痛みなら、せめて美しく。


 そうして紡いだ物語が、読み手あなた書き手わたしをくるんでゆく。繭のように、揺りかごのように。物語を読み終わったゆめからさめた時、わたしたちは明日へ踏み出す力を得る。蝶の羽で構わない。破れたら、また新たなはなしを紡ごう。


 泣きながら、この物語を手に取ったあなたが。

 眉間にしわをよせて、この物語を手に取ったあなたが。

 読み終わった時には、ふっと笑っていると良い。


 もし、泣きたいのに泣けないくらい疲れているのなら。

 読み終わった時に、素直に泣けると良い。


 そんな読み手あなた書き手わたしのための優しい物語ゆめ。風雨にさらされて、強張ってしまった心を和らげる繭。今日は、どんなはなしを紡ごうか。

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