第22話 「薄井雲」(@kumo_usui 様)
生命の赤。欲望の白。
人が死ぬ姿。無残に、屠られるように、命が散りゆく姿。
悦楽に喘ぐ姿。濃密に、徒花のように、命が爛熟する姿。
所謂「生」を直接描くのではなく、その輪郭をなぞる。語られない部分、行間から、「生」の姿が滲み出る。
華やかな名前と設定を覆う、薄墨のような虚無感。生と死を見つめて、搾取する者と搾取される者を見つめて、今日も筆を進める。
あるいは、そんなモノは見たくないと言われるかもしれない。
あるいは、グロテスクと言われるかもしれない。
それでも私は、この問いから目を、筆を、逸らさない。
いったい、美しいとはどういうことだろう。正しいとはどういうことだろう。秩序とは、生きるとは、どういうことだろう。
時には、問うことに疲れて。時には、作品への反応に一喜一憂して。
やはり、此処に戻ってくる。
まだ、先は見えない。
醜いもの、邪悪さ、歪み、無秩序、混沌、死、そんなものが真っ先に目に飛び込んでくる世界で、私は生きている。
筆で道を探る。
何か美しいもの、何か正しいもの、何か生きるに値するものを求めて。
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