第20話 「田宮U」( @tmyn6120 様)

【とある大学の研究室から発見された貴重な文字資料である。映像、および、朗読音声の形で保存する。】


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たらり。試験管から黒いが這い出る。


アルファベット表の上に身体を移し終えたは暫し戸惑うように身体を震わせる。やがて、ゆっくりとアルファベットを捕食し始める。


ごうん、ごうん、という機械類の重低音をベースに、レポートを作成する私のリズミカルでありながら、気まぐれに緩急をつけるメロディが加わる。


白、黒。


ピアノ、楽譜、書物に、スケッチ。


素敵なものは、白黒で出来ている。


素敵な、素敵な、私の傑作。たらり、ぬるり、ゆらり。


次から次に、文字を食べて、まだ足りないと言わんばかりに移動速度を増す。

「活き活きとした描写」「文字が生きているかのよう」・・・・・・そんな陳腐な褒め言葉も、これで本物になる。


なにせ、文字が生きているのだから。


おや、部屋中の本を食べてしまうとは、悪い子だ。思った以上の成長ぶり。図鑑類から、動物の形を学んだか。


・・・・・・?


がPC画面に貼り付いている。かなりの大きさに成長している。インクを吸収すると、サイズも変更されるらしい。新たな発見だ。文字として認識できるものになら何にでも反応するのか?


まさか。此処に表示されているのはインクではなく、0と1の配列で出来たデータだというのに、食べようと    のか?原 的に不 能な ずでは  か。


やめ 、こ で 資料 残せな !


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【資料はここで途絶えている。以上で報告を終わる。】

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