第18話 「桃原カナイ」(@kasy33141xo 様)

 たとえば、こんな反逆。


 ほんの小さなことだ。重力に逆らう、既定路線に抗う、何かを作ってみる。


 そう、この反逆対象は、何でも良かった。ただ、できれば、「みんなが知っているもの」そして、「素敵なイメージがあるもの」が良かった。


 そして、選んだのが世界第一位のベストセラーである聖書バイブル。自分を信仰している日本人にも、創作ネタとしては、大人気だ。ネットで無料公開されているデータから、面白そうなネタを探す。黙示録。創世記。あー、あの作品の描写、ここの話だったのか。そんな事を思いながら、ページを繰る。


 そして、ふと気がつく。固有名詞としての「ルシファー」は、聖書のどこにも登場しないということに。


 語られない者。語ることを避けられる者。


 それは、日本このくにに於いては強者の証でもある。孤高の強者。荒ぶるもの。逆らう者。


 自分以外の「絶対God」を信じない私にとって、魅力的なキャラクターがどんどん立ち上がってくる。そして、その対となって駆け抜けるヒロインわたしの姿も。空が神聖視される世界で、空を目指す異端者の令嬢。それから、彼女に振り回されながらも付いてきてくれる従者。


 ああ、胸が高鳴る。


 思い描いた世界を、ゆっくりと紡いでゆく。じわじわと、物語の輪郭がにじみ出てくる。さあ、次はどんな話にしようか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る