第6話 「持垣秋行」(@mochiaki032107 様)

 かきたいものが、多すぎる。


 ミステリーを知って、こんなにも心躍るものがあるのか、と思った。夢中で読んで、読んで、読んで、ふと、嗚呼、かきたい。そう、思った。


 自分が心奪われた世界を、誰かに伝えたい。恋文のように、思いの丈をぶつける。絵であれば伝わるだろうか。文字であれば見つけて貰えるだろうか。いくつもの投稿を重ねて、意見を募って。この心の揺れを、ときめきを、もっと伝えるためにかき続ける。


 幾重にも張り巡らす伏線は、読者こいびとへの抱擁。読者こいびとが帰ってしまわないように、じらしと甘えの量を慎重に量る。じりじりと焼け付くような応酬。クライマックスに、謎解きという名の贈り物を渡す。カタルシス。読者こいびとの脳を満たす、甘やかな痺れ。


 もっと、知りたくないかい?


 後朝きぬぎぬの文のように、物語の「終わり」で後ろ髪を引く。ミステリーは、僕の世界は、もっともっと奥がある。読者こいびとの反応を観察して。先達の知恵を受け取って。かきたいものは、いくらでもある。


 さあ、どこからかこうか。

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